3.診断と治療

検査

検査は、結果をみながら1.から順に進みます。

1.細胞診

綿棒の先で子宮の入口付近の“頸部”の細胞を採取します。ほとんどの場合、痛みはありません。

コルポスコピー検査

コルポスコピーとは子宮頸部を拡大してみるカメラのことで、これを使って行う検査がコルポスコピー検査です。一般的には細胞診分類※1(ベセスダ分類※2で表記されている場合もあります)でクラスIIIa以上の場合に実施します。 がんができやすい部位(移行帯)というのがあり、そこに3%酢酸溶液を塗ると、異常部分が白くなり観察しやすくなります。

※1:細胞診分類
分類 推定される状態 取扱い
クラスI 正常 年1回の定期細胞診
クラスII 炎症はあるが正常 6ヵ月後細胞診
クラスIIIa 悪性を少し疑う 直ちに精密検査
(コルポスコピーを使っての
狙い組織診)
クラスIIIb 悪性をかなり疑う
クラスIV 極めて強くがんを疑う >
クラスV 悪性である
※2:ベセスダ分類とクラス分類対応表
ベセスダ分類 クラス分類 内容 取扱い
NILM クラスI 異常なし 年1回の定期検査
クラスII 炎症あり
ASC-US クラスII/IIIa 軽度病変の疑い HPV検査、もしくは6ヵ月以内に細胞診の再検査
ASC-H クラスIIIa/IIIb 高度病変の疑い 精密検査
LSIL クラスIIIa 軽度病変
(HPV感染、軽度異形成の疑い)
HSIL クラスIIIa/IIIb/IV 高度病変
(中等度異形成、高度異形成、上皮内がんの疑い)
SCC クラスV 扁平上皮がんが疑われます
AGC クラスIII 腺異型または腺がんの疑い 専門医受診
AIS クラスIV 上皮内腺がんの疑い
Adenocarcinoma クラスV 腺がんの疑い
Other malig クラスV その他悪性腫瘍の疑い
3:組織診

コルポスコピーにより、視覚的にがんが疑わしい所見が見られた場合は、その部分を狙って組織 を採取(組織診)して検査することで、より正確な診断ができます。

分類 組織 状態
軽度異型性 異型性細胞
(がんになる前)
消失しやすいがん化しやすいがん化
中等度異型性
高度異型性
上皮内がん がん細胞
浸潤がん

診断

  • 確定診断
    一般的には、コルポスコピーによる視診、医師による触診、組織診で診断を行ないます。それでも診断できない場合は、円錐切除を行なって病理検査を行ないます。
  • 進行度の診断
    診察、婦人科内診、膀胱鏡や直腸鏡、画像診断(MRI等)、血液腫瘍マーカー等で診断します。
病期と主な治療法
病期 主な治療法
0期(異形成)または上皮内がん 前がん状態(異形成)か、あるいはがんが上皮内にとどまっている 高周波治療
レーザー治療
円錐切除術
単純子宮全摘出術(閉経後や妊娠・出産を希望しない場合)

I期 Ia1 がんが子宮頸部にとどまっていて、深さが3㎜以内で、広がりが7㎜を超えないもの 円錐切除術
単純子宮全摘出術(附属器切除)
放射線療法(腔内照射)
Ia2 がんが子宮頸部にとどまっていて、深さが3㎜を超えるが5㎜以内で、広がりが7㎜を超えないもの
Ib がんが子宮頸部にとどまっていて、Ia1、Ia2以外のもの 広汎子宮全摘出術
(症状によっては放射線療法や化学療法を併用)
II期 がんが子宮頸部を越えて広がっているが、骨盤または膣壁の下1/3には達しないもの
III期 がんが骨盤壁にまで達していて、がんと骨盤壁との間の隙間がないもの。または膣壁への広がりが下1/3に達するもの 放射線療法(腔内照射と外照射の併用)+化学療法
IV期 IVa がんが膀胱や直腸の粘膜に広がっているもの 放射線療法+化学療法
IVb 小骨盤腔をこえて、肺のような遠隔臓器にがんの転移があるもの 化学療法

治療

治療方法 説明
外科療法 レーザー治療 レーザー光線を患部にあて治療します。光に反応し、かつ、がん細胞に集まりやすい物質を注射し、低出力光線でその物質を活性化させてがん組織を破壊する方法と、高出力でがん病巣に広く照射し破壊する方法があります。
高周波治療 レーザー光線を用い、がん組織を殺します。
手術療法 円錐切除術 がんが見つかった子宮頸部の組織を円錐状に切除します。生検組織をとる診断的意味の他に、早期がんでは治療的意味も含んでいます。術後は、妊娠・出産が可能です。
単純子宮全摘出術 がんに侵された子宮のみを摘出します。
広汎子宮全摘出術 患部を子宮と膣の一部を含め,骨盤壁近くから広い範囲で切除します。子宮頸がんに関連する所属リンパ節も同時に切除します。
放射線療法 体外から放射線を照射する外照射と、がん細胞の認められる領域にチューブを通して、放射線を出す物質を入れて治療する腔内照射とがあります。単独で治療する場合と、外科療法や化学療法と併用する場合があります。

化学療法 抗がん剤による治療で、飲み薬や注射薬等の種類があります。外科療法や放射線療法と併用される場合があります。

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