1.大腸がんの特徴

  • 胃がん・肺がんを超えて、日本で一番罹患率の高いがんです。50歳代から増加し、毎年約15万人前後発症しています。
  • 化学療法の進歩により、治療成績の向上が著しいがんです。
  • 早期で発見できれば、ほとんど治る予後のよいがんなので、大腸検診をしっかり受けましょう。

高齢化や脂質摂取量の増加に伴い、大腸がんが増えています!

「大腸がん」は長さ約2mの大腸に発生するがんの総称です。大腸がんの70%は「直腸」と「S状結腸」に発生しています。

大腸の形態

大腸イメージ図

大腸は腹部にある約2mの臓器で、食べ物の残りかすをため、水分を吸収しながら、便をつくる働きがあります。小腸に近い「結腸」と肛門近くの「直腸」に分けられます。
そのうち"がん"ができやすいのは、直腸とS状結腸です。

がん罹患数(全年齢)

部位別がん罹患数(2019年)
がん罹患数
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

大腸がんは胃がん・肺がんを超えて、一番かかる人が多いがんです。

年齢別にみた大腸がん患者率(2019年)

年齢別にみた大腸がん患者数(2002年)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

大腸がんにかかる年齢は、50歳代から増加しはじめ、高齢になるほど高くなります。男性に多い傾向がみられます。
女性がかかるがんで最も多いのは"乳がん"ですが、一方で女性のがん死亡原因の第一位は大腸がんですので、女性にとっても危険性が高いがんなのです。

日本で大腸がんが増えている要因

食事やライフスタイル等の環境要因の関わりが大きいと考えられています。

  1. 食生活の欧米化
    食生活の欧米化によって、脂質や動物性たんぱく質の摂取量が増え、炭水化物や食物繊維の摂取量が減っています。そのため便が大腸内に停滞する時間が長くなる傾向があります。
  2. 運動不足
    モータリゼーション(自動車交通)の発達により、日本人の歩数は確実にへっています。そのため、発がん物質が、大腸粘膜に長く滞在してしまい、影響を受けると考えられています。
  3. 高齢化
    多くのがんでいえることですが、細胞の老化の影響で高齢になればなるほど、発症する人の数も増えます。

少ないけれど、あなどれない遺伝性の大腸がん

大腸がんの発生には、遺伝的因子よりも、食生活等の環境因子のほうが大きな影響を与えていると考えられています。しかし、なかには遺伝的要因で発生することが明らかになっている大腸がんもあります。

  1. 家族性大腸ポリポーシス
    若い年代で大腸に数百個から無数のポリープができ、放置すれば100%がん化する遺伝性の病気です。大腸がん全体の約1%を占めています。
  2. 遺伝性非ポリポーシス大腸がん
    ポリープを伴わない大腸がんで、「親子等の近親者に大腸がんの人が3人以上いる」「大腸がんの発生が2世代以上にわたる」「そのなかに50歳未満で大腸 がんと診断された人がいる」という条件がそろった場合に、この病気の可能性が高いです。大腸がんの全体の約5%を占めています。

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