2.早期発見と予防方法

予防の意義

早期発見によって、こんなに大きなメリットが!

  • 治療の負担が軽減します
    大手術にならず、身体への負担が軽くてすみます。
    手術後、化学療法等の補助療法が基本的には必要ありません。
    術後の生活や運動制限が軽くてすみます。
  • 精神的効果
    治るということで、精神的負担が軽減できます。
    ボディイメージの変化(乳房切除 等)による精神的負担が軽減できます。
    家族にかける負担や心配が軽くてすみます。
  • その他の効果
    回復が早く入院日数が短くなり、医療費が安くてすみます。
乳がん予防の3つの段階
一次予防 乳がんにならないための確実な予防法は、今のところありません。
二次予防 早期発見・早期治療が最善の対処法です。
三次予防 適切な治療を受けて、生活の質を保ちながら、病気と共に生きることが大切です。

早期発見の方法

  1. 検査を受ける
  2. 乳房自己触診
  3. 生活習慣で予防する

1.検診を受ける

越えたくない2センチの壁

厚生労働省は、40代以上の女性に、2年に1回の乳がん検診をすすめています。
一般的に乳房のしこりに気付く場合は、2~3cm程度(1円玉大)になっている場合があります。
病気による影響が最も少なく、病気前の生活に近い状態に戻るために、是非とも2cm未満の早期がんの段階で見つけることが大切です。

乳がんの段階(ステージ)
病期   大きさ
0
ステージ0~1のイメージ 非浸潤がん(しこりが1mm~1cmで、乳がんが乳腺の中にとどまっている状態の極めて早期のがん)、あるいはパジェット病で、きわめて早期のがん


I
しこりの大きさが2cm(1円玉大)以下で、わきの下のリンパ節や他の臓器への転移がない
IIa
ステージ2のイメージ しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節転移し、そのリンパ節は固定されておらず動く、またはしこりの大きさが2cm~5cm大でわきの下のリンパ節や他の臓器への転移がない
IIb
しこりの大きさが2cm~5cmで、わきの下のリンパ節転移し、そのリンパ節は固定されておらず動く、もしくは、しこりが5㎝以上でリンパ節や他の臓器への転移はない。
IIIa
ステージ3のイメージ しこりの大きさが5cm以下で、わきの下のリンパ節に転移し、そのリンパ節は固定されて動かないか、リンパ節が互いに癒着している。または、わきの下のリンパ節には転移はないが胸骨の内側のリンパ節に転移があるもしくは、しこりの大きさが5cm以上で、わきの下あるいは胸骨の内側へ転移がある。
IIIb
しこりの大きさや、リンパ節転移の有無にかかわらず、しこりが胸壁にがっちり固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり、皮膚が崩れたり、むくんでいる。
しこりがない炎症性乳がんもこの病期から含まれる
IIIc
しこりの大きさにかかわらずわきの下と胸骨内側のリンパ節の両方に転移がある。
または、鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある
IV
  骨、肺、肝臓、脳等の臓器に転移している段階

※0期~Ⅰ期までを早期がんといいます。
特に0期でみつけると、治療前とほとんど同じ生活に戻ることが可能です。
そのためには、マンモグラフィや乳房エコーによる乳がん検診が欠かせません。

早期発見の大きなポイントは「乳がん検診の受診」です。
そして検診は一度きりではなく、定期的に続けることが一番大切です。

2.乳がん検診の種類

  • マンモグラフィー検査
    乳房を板にはさんで、X線撮影をする検査です。
    40歳以上の方は、マンモグラフィーが推奨されています。
    マンモグラフィーでは早期乳がんのサインである“石灰化“を、2~3㎜大で発見することが可能です。
  • 乳房超音波検査
    超音波による画像検査です。痛み等検査による苦痛がありません。
    乳腺が発達している若い方は、マンモグラフィでは内部の状態が写りにくいために、39歳以下の方は乳房超音波検査(エコー)と医師による視触診が実施されることがあります。
    エコーは詳細な乳腺の構造を写し出すことができますが、 “石灰化”を見つけるのはマンモグラフィにはおよびません。

3.乳がん検診で異常が出たら

婦人科や一般外科、内科ではなく、乳腺外科や乳腺専門外来を受診されることをお勧めします。

参考サイト

4.乳房自己触診のススメ

乳がんは、1cm大まで成長するのに10年以上かかりますが、1cmから2cmに成長するのに2年もかかりません。
乳房のしこりは5mm程度~1cm程度 の大きさになると、自分で注意深く触るとわかるようになります。
月1回の乳房自己触診を実施することは、早期発見に有効です。

乳がん自己触診法

予防の方法

生活習慣

脂質は控えめにし、目安は一日に摂取する総カロリーの20~30%以下におさえましょう。
野菜や果物、食物繊維を多く含む食品を積極的に取ることも大切です。
また、大豆や大豆製品等、イソフラボンを多く含む食品は、乳がんを予防する可能性があると考えられています。

適量飲酒をこころがけましょう。特に女性の適量は男性の半分量と言われていますので、飲みすぎないように注意が必要です。


たばこと乳がんの関係について、世界レベルでの一致した見解は未だありませんが、2005年に厚生労働省が行なった研究では、閉経前の女性において、喫煙や受動喫煙によって乳がんになりやすいという結果がでています。禁煙は、乳がんだけでなく、他の多くの病気を予防します。

定期的な有酸素運動は、がんを予防する効果が期待できます。おすすめはウォーキングです。いい靴さえあれば他にはなにもいりません。しっかり手を振って颯爽と歩くようにしましょう。
≪推奨される身体活動量の目安≫
歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行いましょう。また、息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分程度行いましょう。
※65才以上の高齢者については強度を問わず、日常の生活での活動も含む身体活動を毎日40分行うことを推奨しています

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