1.乳がんについて

増えている乳がん

乳がんは、最近は日本でも増えており、日本人の約20人に1人が乳がんにかかると言われています。欧米では年齢を重ねるごとに発症数が増加しますが、日本では閉経前の比較的若い世代に多く発症するのが特徴です。
年齢的には、30歳頃から乳がんにかかる人が増えはじめ、40~50歳くらいで最も多くなります。また、最近では20代でかかる人も増えています。

がん罹患数の順位(2019年)
  1位 2位 3位 4位 5位  
総数 大腸 乳房 前立腺 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位
男性 前立腺 大腸 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位
女性 乳房 大腸 子宮 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸7位
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
年齢階級別罹患率 乳房(2019年)
年齢階級別罹患率 女性 乳房(2015年)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

乳がんとは

乳がんは乳腺に発生する悪性の腫瘍です。
大人の女性の乳房は乳頭を中心にして、乳腺が放射線上に15~20個存在します。
それぞれの乳腺は小葉にわかれ、小葉は乳管という管でつながっています。
乳がんの90%はこの「乳管」から発生します(乳管がん)。一方で、小葉から発生する乳がんが5~10%存在します(小葉がん)。
この他に特殊型の粘液がん等もあります。男性の乳がんも女性の1/100くらいの確率で、50~60歳に最も多くみられます。

乳がんになりやすい人

以下のような方は、一般的に乳がんになりやすいと言われています。
より積極的に乳がん検診を受診されることをお勧めします。

  • 初経年齢が早く、閉経年齢が遅い(つまり月経期間が長い)
  • 出産歴・授乳歴がない
  • 初産年齢が遅い、出産回数が少ない
  • 高身長、閉経後の肥満(標準体重の20%以上)
  • 40歳以上
  • 飲酒習慣がある
  • 乳がんの家族歴(特に母親、姉妹)
  • 良性乳腺疾患の既往がある
  • マンモグラフィ(乳がん検診)で高密度所見がある
  • 閉経後にホルモン補充療法を受けた

乳がんの症状

乳がんである方のほとんどが「乳房のしこり」で受診しています。そのうち15%程度は痛みを伴いますが、一般的には痛みを伴わないしこりが乳がんの特徴です。

そのほかに

  • 乳頭からの分泌物(ミルク色の分泌液ではなく、血液の混ざった分泌物が片側だけから出る)
  • 皮膚のくぼみやひきつれ
  • 痛み(生理周期とは無関係の痛み)
  • 乳房の左右差
  • 乳房の近くにあるリンパ節の腫れ(鎖骨の上下、わきの下等)
  • 症状が全くないこともある

乳がんは、乳房の症状のみで、体重減少や食欲低下等の体調変化、全身の症状はほとんどありません。
乳房に注意をはらわないと、症状に気づくことは難しいのです。
逆に、乳房に対して注意をはらうことで、自分で発見できるがんだと解釈できます。

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