2.がんの動向

参考:がん対策推進企業アクションHPより

①日本人の「2人に1人」が、がんになっています

アメリカでは減っているがんによる死亡が、日本では増えています。
日本人は毎年およそ100万人強が死亡しており、そのうち34万人くらい、つまり「3人に1人」ががんで亡くなっています。
欧米では、「がん登録」といって、がんのデータを登録して、科学的に分析する仕組みができていますが、日本では、この仕組みが進んでいません。たとえば、昨年、何人の日本人が乳がんになったかという問いに、正確な答えを出せないのです。これでは、がんに正しく向き合うことはできません。
「がん登録」が行われてこなかったわが国では正確な統計がないのですが、それでも、おおざっぱに言って、日本人の「2人に1人」が、がんになっていると言えます。
2人に1人が「がん」になり、3人に1人が「がん」で死ぬ。日本は、世界トップクラスの「がん大国」と言えます。

"がん" は昭和56年より日本人の死因の第1位で、現在では、年間36万人の国民が“がん”で亡くなっています。

主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移
主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移グラフ
引用:「厚生労働省令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より

厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)

主な死因の構成割合
厚生労働省 平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)
引用:「厚生労働省令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より

②がんの死亡数が多い部位(2022年)

  1位 2位 3位 4位 5位  
男女計 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸8位
男性 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸10位

③がんの罹患数(全国推計値)が多い部位(2019年)

  1位 2位 3位 4位 5位  
総数 大腸 乳房 前立腺 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位
男性 前立腺 大腸 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位
女性 乳房 大腸 子宮 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸7位
②③の出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

④会社員の死亡のなんと半分は、がんによるものです

がんは年齢とともに増えますから、老化の一種ではあります(生きているだけで遺伝子にキズが積み重なり、免疫細胞の働きも落ちます)。
しかし、若いからといってがんにならないわけではありません。
日本では、毎年およそ70万人が新たにがんに罹患していますが、その3分の1にあたる22万人が働く世代(20~64歳)です。会社員の死亡のなんと半分は、がんによるものです。

⑤がんは、不治の病ではありません

いま、がんの5年生存率は6割近く。半分以上が治ります。さらに、早期発見なら約9割が治癒します。
例えば、早期の胃がん、大腸がんならほぼ100%、早期の乳がんなら9割以上が治ります。2人に1人ががんになる時代、「がんを抱えたまま生きる」が普通になるのです。会社としても、貴重な人材を守るためには、「がん対策」が重要です。

⑥仕事とがん治療を両立する時代

会社帰りに病院でがん治療。以前は長期入院が主流でしたが、いまではがん治療は、入院より通院が主流です。
早期の胃がんや大腸がんなら、内視鏡による日帰り手術ができることもあります。放射線治療なら、1回の照射時間は数分間。多くが通院で可能です。
抗がん剤も、吐き気を抑える制吐剤などの開発で、副作用は以前ほどではありません。外来での治療も増えています。
以前はむずかしかった、仕事とがん治療を両立する道が開かれつつあります。

⑦働き盛りの女性に増えているがん

現役世代では、女性のがん患者数は男性を大きく上回ります。
働き盛りの女性のがんの罹患率は20代では男性の約1.6倍、30代では男性の約3倍に増えています。

男女別の年代別がん罹患率(2019年)

男性は胃、女性は乳房が最多

男女の年代別がん罹患率
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
年齢階級別がん罹患率推移(2019年)

【子宮頸部】

年齢階級別がん罹患率推移

【乳房】

年齢階級別がん罹患率推移
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

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