昔から「お酒は百薬の長」ともいわれ、適量であればむしろ体に良いといわれていますが、実際は、適量といっても個人差がかなりあります。また、適量以上の飲酒をすると逆に体に悪い影響を与えます。自分の適量を知ることが、お酒と上手に付き合うコツです。
ここでは「お酒の上手な飲み方」についてお話しします。
みなさんは、自分の適量を意識して飲んでいますか?
適量とは、お酒の中に含まれるアルコールが体に及ぼす「酔い」の程度で考えます。お酒を飲むと、アルコールは人体に吸収され、血液に入ったアルコールは循 環されて脳に到達します。すると、アルコールが脳の神経細胞に作用し、活動に必要なエネルギー源を不足させ、脳の働きを抑制し、麻痺させるといわれていま す。そして、その結果として酩酊状態になります。
アルコールの血中濃度により、さわやかな気分になってストレス発散もできるし、それとは正反対の死につながることもあるのです。
体に及ぼすお酒の目安量を以下に示しますが、個人差(※)が大きいので、ご自分がどのくらいのお酒を飲むと、「さわやかな気分になる」~「ほろ酔い気分になる」程度の適量なのかを日ごろから把握しておくことが大切です。いつもの自分の酔い方を確認してみましょう。
※肝臓でアルコールを分解しますが、このときに肝臓から出るアルコール分解酵素の働きの強さは、ある程度遺伝で決まっています。さらに、体重が多いほど処理能力があるので一般的に女性より男性のほうがアルコールに強い傾向になります。
上 手 な 飲 み 方 |
A.爽快期 |
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![]() 酔いの状態:さわやかな気分になる・皮膚が赤くなる・陽気になる 【アドバイス】 この程度の「酔い」では、二日酔いもなく気分転換のよいお酒といえるでしょう(この程度のアルコールは、だいたい3時間かけて体内で分解されるといわれています) 。 |
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B.ほろ酔い期 | |
![]() 酔いの状態:ほろ酔い気分になる・理性が失われる・脈が速くなる 【アドバイス】 この程度の「酔い」では、遅い時間まで飲んでいると二日酔い になることもあります。早い時間で飲酒を切り上げることが大切です。(この程度のアルコールは、だいたい6~8時間かけて体内で分解されるといわれています。)他人に迷惑をかけていないか、自分の酔い加減と相談してみましょう。 |
以下は、できれば避けたいものです。
避 け た い 飲 み 方 |
C.酩酊初期 |
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![]() 酔いの状態:気が大きくなる・大声でがなりたてる・怒りっぽくなる・立てばふらつく |
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D.酩酊期 | |
![]() 酔いの状態:千鳥足になる・何度も同じことをしゃべる・呼吸が速くなる・吐き気やおう吐がおこる |
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E.泥酔期 | |
![]() 酔いの状態:まともに立てない・意識がはっきりしない・言語がめちゃくちゃになる |
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F.昏睡期 | |
飲酒量:ビール10本以上、日本酒1升以上程度 酔いの状態:ゆり動かしても起きない・大小便はたれ流しになる・呼吸はゆっくりと深い・死亡 |
(出典:社団法人アルコール健康医学協会「アルコール血中濃度と酔いの状態」より)
お酒を飲む直前に、牛乳やヨーグルトをとると、胃の粘膜を保護し、急速なアルコールの吸収を抑えるので悪酔いを防げるといわれています。
お酒は、意外とカロリーが高く、内臓脂肪(ビール腹)に直結してしまいます。
お酒1合で240キロカロリーと言われており、これは、ごはん軽く1杯と同程度です。お酒を飲むときは、カロリーも気にしてみましょう。
アルコールは、おもに睡眠中に肝臓で分解されます。体重60kgの人が6~8時間の睡眠中に分解できる量は、日本酒だと2合以内です。睡眠時間4時間の人 では、日本酒1合以内です。それ以上のお酒を飲んだり、毎日飲酒が続いたり、睡眠時間が短くなったりすると、肝臓はアルコールを分解しきれなくなり、肝機 能障害を引き起こす原因となります。
おいしいお酒と長く付き合うためには、少なくても週に2日は連続して休肝日をつくり、肝臓を休ませましょう。
いかがでしたか?お酒には良い面もありますが、同時に悪い面もあります。以下に、楽しく上手にお酒と付き合うための10か条をご紹介します。
次は、「アルコールについてもっと知ろう」でお酒がもたらす影響についてみてみましょう。