歯に関する様々な病気

口は、最初に食べ物を受け入れ体内に送り込むための重要な入り口です。食べ物を消化しやすいように噛み砕く歯は、常に清潔にケアする必要があります。
よく噛む事が少なくなり、歯に対する意識の薄れがちな現代。まずは、歯に関する様々な病気と、それによって起こる弊害を知っておきましょう。

口臭のお話

日経産業新聞に載った記事の中に、欧米のビジネスマンは「日本人の口はくさい」と指摘しているという非常にショッキングなものがありました。
日本人はキスをする習慣がないため息のケアがおろそかになっているのではないでしょうか。口臭の原因のほとんど(約80%)は口の中の細菌、歯垢や舌苔に 住み着いた細菌が出すメチルメルカプタン等の物質によるものです。それが虫歯や歯周病の原因でもあります。

口臭の原因について

もっと詳しく知りたい方は関連ページをご覧ください。

歯を失うことと噛むことの意味

40歳代以降は虫歯や歯周病の進行で、歯を失う人が増えていきます。また、現代は1度の食事でかむ回数が非常に減少しているとの報告があります。
弥生時代には約4000回だったのが、太平洋戦争前は約1400回に、現在は約600回に減っていると言われています。

弥生時代には約4000回だったのが、太平洋戦争前は約1400回に、現在は約600回に減っているイメージ

歯が抜けて噛めなくなると起こること

  1. 奥歯1本抜けてなくなると、噛む効率は20%低下し、胃腸への負担が増し、唾液の分泌が減るので、口の中の細菌が増殖しやすくなります。
  2. 正常の噛み合わせができなくなると、肩こり、頭痛、耳鳴り等さまざまな症状の原因になると言われています。
  3. 言葉の正しい発音ができなくなります。以前テレビで話題になった100歳の双子の姉妹は1人が5本歯が残っていて「ひゃくさい」と発音できていたそうですが、もう1人はまったく歯がなく、「しゃくしゃい」と発音されていたそうです。
  4. 噛むことは脳血管、神経に刺激を与えボケ防止や肥満予防にもなります。
歯が20本以上ある人の割合
歯が20本以上ある人の割合グラフ

歯垢と虫歯と歯周病の話

歯の構造図歯垢(プラーク)は口の中の常在菌と食べ物の糖分によって作られた細菌のかたまりです。この細菌は大量の酸を出して歯の表面のエナメル質を溶かします。これが虫歯です。
さらに放置すると象牙質、歯髄まで侵食がすすみ歯が抜け落ちてしまいます。
最近では、歯周病が生活習慣病や全身の疾患との関係についても指摘されるようになってきました。

  1. 歯周病菌が血管内に入り心内膜炎等の心臓病を起こす。
  2. 血管内に歯周病菌が入り定着し、マクロファージ(免疫細胞の一種)が集まって動脈硬化を起こす。
  3. 歯周病菌の周りに血小板が集まり、血栓を作りそれが剥れ心臓の血管に詰まると心筋梗塞を引き起こす。
  4. 高齢者等は、歯周病菌が気管から肺へ侵入すると誤嚥性肺炎を起こす。
  5. その他、早産、腎炎、神経痛、アレルギー疾患との関連も指摘されている。

※タバコと歯周病:タバコに含まれる有害物質が歯周組織に悪影響を及ぼし、歯周病を進行させ、治りにくくしていると言われています。

厚生労働省の調査によると日本人1人の平均虫歯数は15.7本(平成11年歯科疾患実態と調査により)で、4人に1人が歯槽膿漏等の歯周病にかかっているとのことです。虫歯や歯周病予防のためには原因となる歯垢(プラーク)の除去が第一です。毎日の歯磨きはもちろん歯科で専門家にプラークコントロールをしてもらうことが大切です。

最後に「歯の病気の予防法と治療」について説明します。

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