2022年度 指導・監査等の実施状況
保険医療機関等取り消し18件
― 対前年度比8件の減少 ―
厚生労働省は、2022年度の「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」をまとめた。22年度に保険医療機関、保険薬局の指定取り消し処分を受けたのは、取り消し相当を含めて全国で18件、対前年度比8件減。保険医等の登録取り消しは、取り消し相当を含めて全国で14人、対前年度比2人減。指導・監査等の実施による返還金額は19億7261万円にのぼった。
日本の医療は、そのほとんどが保険診療である。医療機関や薬局は、厚労省の地方厚生(支)局長に保険医療機関等の申請をして、指定を受ける。医師、歯科医師、薬剤師も、登録の手続きにより、保険医等として保険診療に従事できる。
行政当局は、保険診療が常時適正に実施されているか指導・監査等を行う。極端で悪質な不正の場合には、保険医療機関等や保険医等を取り消す。処分を受けた医療機関等、医師等は処分期間中、保険診療ができない。処分前すでに廃止、登録抹消をしていても、「取り消し相当」として同様の取り扱いを受ける。
22年度の保険医療機関等の指導・監査等の実施状況をみると、保険医療機関等と保険医等、合わせて次のとおりとなっている。▽個別指導1505件 ▽新規個別指導6742件 ▽適時調査2303件 ▽監査52件。新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を十分に講じるとともに、地域の医療提供体制の維持に配慮した上で実施。新規個別指導については、2021年度以前の未実施分も含めて実施することとしたため、いずれも対前年度比で増加している。
監査の結果、取り消し・取り消し相当の処分を受けたのは、全国で保険医療機関等が18件、保険医等が14人だった。また、保険医療機関等取り消し18件のうち、不正発覚のきっかけとなったのは、保険者や医療機関従事者、医療費通知に基づく被保険者等からの情報提供によるものが12件で半数以上を占めた。
診療報酬・調剤報酬請求のうち、詐欺や不法行為にあたるのが不正請求。不正のおもな形態は次のとおり。
▽架空請求=実際に診療していない者に対し、診療したように請求 ▽付け増し請求=診療行為の回数・日数、数量、内容等を実際に行ったものより多く請求
▽振替請求=実際に行った診療内容を、保険点数の高い他の診療内容に振り替えて請求 ▽二重請求=自費診療を行って患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも診療報酬を請求 ▽その他の請求=医師数、看護師数等が医療法の標準数を満たしていないにもかかわらず、入院基本料を減額せずに請求―など。
指導・監査の結果、不正または不当請求が確認され、返還された金額は、19億7261万円にのぼった。内訳は、指導で10億1632万円、適時調査で8億345万円、監査で1億5283万円となっている。

