6月の理事会から
6月7日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。
1.中央情勢
(1)経済財政諮問会議
社会保障分野における経済・財政一体改革の重点課題とマイナンバー制度の利活用拡大について、骨太方針に向けた提言がなされている。
①強靭で効率的な医療・介護提供体制の構築
②医療・介護分野でのイノベーション創出に向けた環境整備
③社会保障制度の安定性・持続性の確保
④DXの利活用を通じた徹底的な行財政効率化と効果的な子育て支援の推進
また、骨太方針の骨子案のなかで、健保組合に関係するものとしては、少子化対策・こども政策の抜本強化や、持続可能な社会保障制度の構築が挙げられる。
(2)財政審の基本認識
少子化対策の成否は、中長期的な日本経済の成長力や財政・社会保障の持続可能性に大きく影響する、国家の命運を左右する取り組みであり、真に効果的な対応が求められる。恒久的な施策には恒久的・安定的な財源の確保が必要であり、歳出・歳入両面で、幅広い観点から検討を深めるべきとしている。
なかでも、少子化対策については、社会全体の構造や意識を変えていくことが不可欠。医療については、効率的な医療提供体制を確保すること。介護については、ICT機器の活用や経営の大規模化等に取り組みつつ、現役世代等の保険料の上昇を抑制するため、給付範囲の見直しや、2割負担の範囲拡大等について速やかに結論を出すことが明示された。
(3)医療費の動向
2022年4月~2023年3月における被用者保険1人当たり医療費は、対前年度比6.62%増、健保組合1人当たりは同6.51%増と、高い伸びが続いている。また、新型コロナウイルス感染症にかかる医療費は、7275.9億円と高額となっている。
(4)マイナンバーカードと保険証の一体化に向けた今後の取り組み
5月31日付厚生労働省保険局長通知により、資格取得届への被保険者の個人番号等の記載義務が法令上明確化された。加えて、保険者は、事業主による届出から5日以内に被保険者等の資格情報等の登録を行うことも明記された。これは、書類に不備がない場合の取り扱いであり、5日以内に登録することが困難な事情がある場合は、必要最小限度の所要日数が認められる。
今後の検討課題として、
①2023年6月以降の健保組合における新しい運用等の課題点
②保険者による既登録者データの点検作業を促すため、対象保険者にどのような支援・働きかけが考えられるか
③今後誤登録を発生させないために、どのような対策が考えられるか
④今後、資格取得届等に記載する氏名や住所を住民票上のものに合わせる必要があるか
―などが挙げられる。
(5)今後の検討事項
健保連は、2025年以降、高齢化がピークを迎える2040年頃までに必要な改革に向けて、これまでの提言等も踏まえて、2024年春から夏を目途に新たな提言を策定することを目指す。特に、
①かかりつけ医機能の充実と健保組合の関わり方
②医療の高度化への対応と持続性確保のための保険給付の効率化
③多様な働き方の包摂、適用拡大の推進・新たな被用者の制度の創設
④働き方の多様化を踏まえた個人最適化した健保組合のサービスの提供とそのための体制強化
―の4点を優先的に取り組む。
(6)都道府県連合会の組織強化
今までのパイロットスタディを踏まえ、全国各地区において組織強化や会員組合へのサービス向上につなげる事業の共同化等の取り組み目標を設定し、全国展開につなげる。
2.本部委員会報告
(1)保険者機能推進委員会
6月1日に開催。議題は3点。
①特定健診・特定保健指導の現状と各保険者の取り組み事例
②第3期データヘルス計画および第4期特定健診・特定保健指導に向けた対応
③保険者機能強化に向けた今後の方向性
(2)交付金交付事業委員会
5月31日に開催。議題は2点。
①高額医療交付金の交付基準の見直し時期
②高額医療交付金の早期交付に向けた第三者行為にかかる交付手続きの一部見直し
(3)ICT委員会
5月30日に開催。主な内容は、オンライン資格確認にかかる誤登録の問題と、今後の確認作業について。また、事務局から2023年度に予定されるシステム改修にかかる補助金事業などについて報告された。
3.大阪連合会活動
(1)広報委員会
5月22日に開催。かけはし6月号の編集概要について報告された。
(2)報告事項等
川隅専務理事から、次の4点について報告があった。
①マイナンバーカードと保険証の一体化に関する実態調査等への協力のお礼
②8月2日、決算総会および永年勤続者表彰式を開催予定
③ビジネス誌への健保組合に関する記事の掲載
④国会における今後の法案審議にかかる衆議院解散の可能性