4月の理事会から
4月12日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。はじめに、出席者の交代があった理事組合(日東電工)の紹介があった。
1.中央情勢
(1)産科医療補償制度
2022年1月の改定に伴い結成された「親の会」による、改定前に対象外となった子供も遡り、剰余金を活用した補償を求める働きかけが行われている。健保連は、過去に遡っての対応は制度存続の根幹にかかわる問題であり、運営の持続性・安定性を揺るがすことになること、結果として現役世代の負担が増加する事態は避けたい、との意見を述べた。制度の運営主体である日本医療機能評価機構(産科医療補償制度運営委員会)は、本制度とは別枠での支援を考えるべきとの意見を表明。
今後、政治状況も鑑みて、健保連としても、状況によっては条件付きで受け入れることも検討せざるを得ない可能性があるとみている。
(2)医療費の動向
2023年1月分の健保組合1人当たり医療費は対前年度比7.78%増と高い伸び率になっている。
新型コロナウイルス感染症にかかる医療費については、1月が858.6億円。2022年4~1月の総額は約6404億円に上る。
(3)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案
4月4日の衆議院厚生労働委員会において、健保連の佐野副会長が参考人として意見陳述を行った。法案について全般的には評価するものであるとし、今後の課題として
①後期高齢者窓口負担割合の更なる見直し
②現役並み所得者の給付費への公費投入
③拠出金負担割合の上限設定
―を挙げた。
また、出産費用の保険適用に関しては、社会保険のあり方にも関連するため、制度も含めて一定期間をかけて検討することが必要と発言した。
(4)こども・子育て政策の強化
出産費用の保険適用について、健保連は、まず費用の見える化が必要と主張。厚労省は、2026年を目途に検討していく模様。
被扶養者の106万円、130万円の壁については、実施の内容によっては適用拡大が起こり、健保組合にも影響が出る可能性がある。
子供・子育て政策の財源は、社会保険料の活用を含めて検討するといわれている。健保連が恐れているのは、給付の議論だけが進み、負担の議論が後回しになることである。
2.本部委員会報告
(1)組織等委員会
3月31日に開催。議題は
①都道府県連合会のあり方
②会費のあり方
―の2点。
①について、2018年に実施した地元連合会の事業に対する評価・要望、1県1連合会の必要性などについてのアンケート、およびそれからの2年間にわたる検討の結果、1県1連合会を基本とし、各地域の実情に応じたパイロットスタディを組む流れとなった。現状、近畿・中国・東海で実施しており、その経緯を踏まえて今後について議論が行われた。
②については、会費の適正水準について議論。意見の一つに、準備金の下限・上限を設定し、それに伴い会費を決定することが挙げられた。会費や準備金のあり方について、今後、議論が行われる予定。
(2)審査支払対策委員会
3月9日に開催。議題は支払基金との2023年度契約について。医科・歯科一般レセプトは71.60円。新たに、判断が明らかなレセプトについては41.50円というものが新設。調剤は35.20円。トータル平均手数料は58.30円となった。この契約締結に当たり、健保連は厚労省、支払基金に対し、支払基金改革の更なる推進、審査における不合理な差異解消の取り組みなどを要請。
また、個人情報の取り扱いについては、支払基金の経営問題として真剣に取り組んでいただきたい旨を伝えている。
(3)交付金交付事業委員会
3月13日に開催。20222年度の高額医療交付金の交付、組合財政支援交付金の2021年度の追加交付、組合運営サポート事業の緊急支援助成金の追加交付等について審議決定を行った。
加えて、交付金交付事業の検討課題や、新たな案件として高額医療交付金の見直し時期の延期と、高額医療交付金の第三者行為にかかる交付申請手続きの一部見直しについて議論を行った。
3.大阪連合会活動
(1)委員会報告
3月16日に広報委員会を開催。かけはし4月号の編集概要について報告があった。
(2)報告事項等
川隅専務理事から、次の4点について報告があった。
①3月22日の予算総会および時局講演会への参加に対するお礼
②2023年度の各委員会開催に対する依頼
③支払基金におけるオンライン再審査請求への対応
④健保連本部において、第3期データヘルス計画、第4期特定健診・特定保健指導に関する説明会および研修会を開催予定