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広報誌「かけはし」

社会保障制度改革、このままで良いのか
「時局講演会」を開催

健保連大阪連合会は3月22日の定時総会終了後、引き続いて「時局講演会」を開催した。「社会保障制度改革、このままで良いのか~医療保険制度の今日的課題と保険者に求めること~」をテーマに、とかしきなおみ前衆議院議員が講演。

健保組合・健保連の厳しい現状

とかしきなおみ氏

2025年に向けて高齢者人口が急速に増加した後、増加は緩やかになる。一方で、すでに減少に転じている生産年齢人口は、2025年以降、さらに減少が加速する。そのようななか、健保組合の2021年度決算見込みでは、825億円の赤字を計上し、半数以上の健保組合が赤字となった。やはり、高齢者医療への拠出金の増加などが影響している。対策として、それぞれの年齢層における一部負担割合を見直すことや、医療DX等で医療の効率化を図ることが挙げられる。

社会保障費の財源=薬剤費を削減し続けた結果

社会保障費のうち、介護については2000年に比べ約3倍に増加していることに対し、医療の増加はそれほどではない。これは、薬剤費を下げることで抑えられている。しかし、10年以上も同じ政策を続けると弊害もある。医薬品産業は世界的に成長産業として位置づけられているが、日本においてはマイナス産業となっている。こうしたことで、薬の値段が安い日本では新しい薬の承認が進まず、ドラックラグが広がり、国内で使用できない薬が増加している。また、他の問題として、医療費削減のために外用貼付剤に対して処方枚数に制限をかけたが、反対に受診回数が増加。このことにより、余計に医療費の増加を招くといった調査結果も出ている。

健保組合・健保連への提言

今後予想される展開として、社会保障制度全体の制度設計に着手。方向性として、医療保険の対象範囲を絞ることや、超高齢社会の強みを活かし「健康産業」を基幹産業にすることなどがある。いずれにしても、精度の高いデータが必要となる。健保組合・健保連の持つデータを活用し、政策の羅針盤・評価できる組織とならなければならない。最後にお伝えしたいことは「逆境に備えておく」「未来は与えられるものではなく、自らが勝ち取るもの」である。

塩野義健保組合 岡野英仁常務理事が質問

岡野英仁
常務理事

とかしき氏に対して、会場の塩野義健保の岡野英仁常務理事から、「全世代型社会保障への転換のなかで、応能負担の考え方が導入されつつある。応能負担の今後の道筋を明らかにし、恒久財源確保のための消費増税議論も必要と考えるがいかがか」「防衛費増対応の一部に、社会保険料で賄う案が出ていると聞いている。本来の目的外のために保険料を徴収せよというのは論外である。どのようにお考えか」の2点について質問。

とかしき氏は、前者について「応能負担は今後増える。その割合については今後議論されると思う。新型コロナの影響も含めて制度設計が行われるので、おそらく消費税の話も入ってくるのではないか」。後者については「社会保障費で防衛費を補うなど絶対にできるわけがないと考える。むしろ社会保障費に回してほしいぐらいだ。国民の命と生活を守るという意味では社会保障費も同義である」とそれぞれ回答した。

健保連 佐野副会長あいさつ

佐野雅宏
健保連副会長

健保組合としてデータを活かす、政策の羅針盤になるというのは従来から叱咤激励を受けてきた部分である。また、医療保険制度の見直しについては、後期高齢者の自己負担2割への引き上げを審議していた当時、国会に参考人として発言する際にもサポートいただいた。自民党における「国民皆保険を守る国会議員連盟」でもお世話になっているため、今後、早い段階で国会に戻っていただき、色々な面で支援をお願いしたい。