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広報誌「かけはし」

令和4年度 第2回 大阪連合会総会

令和5年度事業計画・予算を決定

久保俊裕
大阪連合会会長

健保連大阪連合会は3月22日、大阪市北区のホテルモントレ大阪で、令和4年度第2回総会を開催した。総会には大阪連合会の全173組合が参加(当日出席:131組合、委任出席:42組合)。大阪連合会の令和5年度事業計画、同予算などを審議、承認した。

総会では、はじめに大阪連合会の久保俊裕会長があいさつに立った。久保会長は、これからの健保組合を取り巻く厳しい状況を「医療技術の発展と高齢者人口の増加による医療費増や、支え手である現役世代の減少とともに、財政的に制度の存続が危ぶまれている。昨年末に全世代型社会保障構築会議などで取りまとめられた医療保険制度改革について、今通常国会に提出された。現役世代の負担軽減、世代間・世代内の負担バランスの見直しなど、持続可能な社会保障制度の構築を目指す内容となっている。しかし、2025年問題の解決には程遠い」と述べた。

そのうえで、「従来にも増して過重な拠出金負担の軽減、持続可能な社会保障制度を確立するという観点から、給付と負担のバランス是正と公平性の確保を引き続き訴えていく必要がある。健保組合の実情や改革のための具体案を、多くの人々に対し分かりやすく説明し、改革実現に向けて取り組んでいかなければならない」と強調した。そして「健保組合と健保連がより一層連帯を強め、全力を挙げてこの難局に立ち向かっていく」とまとめた。

山本道寛
保険課長

続いて、来賓として出席された近畿厚生局の山本道寛保険課長があいさつした。

山本課長はそのなかで、現在審議されている「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」について説明。また、法案とは別に、出産育児一時金の引き上げや、それにかかる令和6年度からの後期高齢者医療制度からの支援、さらに、健保組合の負担を抑制するため、企業の賃上げ努力を促進する形で既存の支援を見直すことなど、さらなる支援を行う。実地指導監査においては、財務・経理事務の確認として、歳入簿、歳出簿および現金出納簿の法定帳簿について、4年度から電子データ様式による確認が可能になったことから、システム環境の整った健保組合において電子データを希望する場合は、事前に連絡をいただきたい旨の報告があった。

この後、議事に入り久保会長が議長となって、大和ハウス工業健保組合、近畿化粧品健保組合の2組合を議事録署名者に指名した後、議案の審議を行った。

河本滋史
健保連専務理事

総会終了後には、来賓として出席された健保連本部の河本滋史専務理事から、中央情勢報告があった。河本専務理事は、まず今後のスケジュールについて説明。全世代型社会保障の関連法案は、3月16日に審議入りし、健保連の意見について各政党からのヒアリングなど対応中。健保組合の主張・要望に沿った附帯決議を実現すべく、引き続き政治への働きかけを行っているとのこと。その他に、かかりつけ医機能の制度整備の検討が始まることや、新型コロナウイルス感染症の位置づけが変更されること、少子化対策、医療DXについてはオンライン資格確認の義務化、電子処方箋の運用スタート、マイナンバーカードの保険証との一体化、6年度からの第3期データヘルス計画、第4期特定健診・特定保健指導についての報告があった。また、6年度の政府予算概算要求については春から動き出す。増額される健保組合の補助金、その詳細な制度設計も並行して進むため、厚労省と調整を行っていくとした。

○総会の経過

議案第1号

令和5年度事業計画(案)

こちらに概要掲載

議案第2号

令和5年度収入支出予算(案)

こちらに概要掲載

議案第3号

令和5年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること

以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり承認された。

議案第4号

令和4年度被用者保険運営円滑化推進事業会計収入支出予算および同説明(案)

以上、原案どおり承認された。

Ⅰ健康保険組合をめぐる諸情勢

(1)医療・介護保険制度を取り巻く諸情勢

令和4年6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定された。新しい資本主義を実現するために、持続可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取り組みを明示し、短期と中長期の整合性を確保した経済財政運営と令和5年度予算編成の考え方が示された。社会保障関係は、「かかりつけ医機能」が発揮される制度整備をはじめ、令和5年4月からオンライン資格確認の導入を義務づけ、令和6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制導入、オンライン資格確認の導入状況を踏まえた保険証の原則廃止を目指す方針も盛り込まれた。

同年12月15日に厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会が開催され、次期医療保険制度改革に向けた「議論の整理」を取りまとめた。被用者保険者間の格差是正策として、令和6年度から前期高齢者納付金における報酬調整範囲を「3分の1」としたうえで、「健保組合の負担軽減となるよう国費によるさらなる支援を行う」と明記した。また、令和5年4月から出産育児一時金を42万円から50万円に増額。後期高齢者医療制度が出産育児一時金にかかる費用の一部を支援する仕組みを令和6年度から導入するとした。

並行して進められていた、政府の全世代型社会保障構築会議が翌日の16日に報告書を取りまとめた。「報告書」では「こども・子育て支援の充実」や「医療・介護制度の改革」など4分野の改革工程を明示。こども・子育て支援の充実では、出産育児一時金の大幅な引き上げ、医療保険制度の改革では、被用者保険者間の格差是正、かかりつけ医機能を発揮するための制度整備の内容を年内に固め、本年の通常国会に改革案を提出するとした。一方、介護保険制度の給付と負担の見直しは先送りする方針が決定された。

令和4年12月23日に閣議決定された令和5年度政府予算案での社会保障関係費は、36兆8889億円と昨年度より6154億円増加となり、健保組合関係助成費は、934.1億円と決定された。このうち、高齢者医療支援金等負担金助成事業など拠出金負担増を軽減するための財政支援が820.4億円、短時間労働者適用拡大に係る財政支援で10.4億円計上された。なお、出産育児一時金の引き上げに伴う健保組合への財政支援として、令和5年度に限って40.6億円が補助するとされた。

令和5年1月23日に開催した通常国会に厚生労働省は、高齢者の医療の確保に関する法律、介護保険法、医療法などの改正を含む「全世代型対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」を提出。この改正案の主な内容は、

▽出産育児一時金の費用を後期高齢者医療制度でも支援する仕組みの創設

▽後期高齢者1人当たりの保険料と現役世代の1人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じとなるような見直し

▽医療費適正化計画の実効性確保

▽かかりつけ医機能の制度整備などである。

(2)健保組合(大阪)の財政状況

令和3年度決算では、経常収支が68億円の赤字を計上、前年度の黒字から反転して大幅に収支が悪化した。法定給付費は、コロナ禍の令和2年度は令和元年度より減少したが、令和3年度は一転して大幅増となった。また、保険料収入に対する拠出金の割合は43.49%と、前年度より1.07ポイント上昇し、52%の組合が経常収支赤字となっている。一方、保険料率の平均は前年度より0.01ポイント上昇し、92.58‰、協会けんぽの平均である100‰以上の組合は、前年度と同様の45組合、全体の27%となった。

昨今の健保組合を取り巻く情勢は極めて流動的で、変化の波が大きくなってきている。高齢者医療への拠出金負担の急増が見込まれる中で、現役世代の過重な負担を軽減し、財政健全化を図るためには世代間の給付と負担の不均衡の是正による公平性の確保について広く示す必要がある。また、増大する医療費の適正化対策として、事業所とのコラボヘルスの実施による第2期から第3期データヘルス計画のさらなる推進、レセプト点検の強化、療養費の適正化、後発医薬品の使用促進など、きめ細かく取り組んでいくことが求められている。

(3)大阪連合会の事業等

大阪連合会では、各地区会をはじめ、理事会・各委員会において、常に議論を重ねて、当面する課題に取り組んでいる。

本年度は、引き続き各関係団体と連携しながら、皆保険制度を守り抜くため広く国民に理解していただくよう積極的に活動を展開していくこととし、主張の実現に向けた活動も含め、次の事業計画に基づき、所期の目的を達成すべく、事業活動を実施する。

〔基本方針・活動〕

(1)重点事業活動

次なる改革に向けた健保組合・健保連の主張実現および保険者機能の強化に向け、会員組合の協力を得ながら健保連本部との連携を密にして、下記事項について取り組む。

①理事会・委員会・地区会活動を積極的に推進する。

②健保組合・健保連の主張実現に向け、政党・国会議員への効果的な要請活動を展開する。

③広報誌「かけはし」やホームページなどを通じての広報活動により、健保組合・健保連の主張や活動の周知を図り、理解度を高める。

④第3期データヘルス計画・コラボヘルスの推進に向けて、保険者機能強化への支援を行うとともに、健康経営・健康宣言の普及促進を図る。

⑤健保組合のICT化推進に向けて支援を行う。

⑥健保組合全国大会への積極的な参加を推進する。

⑦健保組合の円滑な運営のため、行政機関と密接な連携を保つ。

⑧関経連、連合大阪、協会けんぽ大阪支部との連携を図る。

⑨医師会等医療関係団体とは意見交換を通じて相互理解を深める。

⑩大阪府保険者協議会では、医療費の適正化・有効な保健事業・地域医療構想の取り組みについて、健保組合・健保連の意向を反映させる。

⑪国保運営協議会へは、被用者保険サイドの意向を反映させるよう積極的に参加する。

⑫近畿地区各連合会と密接な連携を図る。

⑬他府県の健保組合も加えた保健事業等に取り組み、連帯感を醸成する。

⑭組合運営サポート事業など、時宜に応じた諸対策を実施する。

(2)組織活動

組織活動の強化を図り、下記事項を実施する。

①理事会および総会を開催する。

②地区会長会議、各種委員会等を開催する。

③地区会を中心とした諸活動を支援する。

④主張実現に向けたシンポジウム等を開催する。

(3)組合運営に対する支援活動

会員組合の円滑な業務推進に資するため、下記事項を実施する。

①会員組合専用サイトを活用し、円滑な情報提供・充実を図る。

②組合予算編成等事務説明会を開催する等、行政機関および健保連本部と連携を密にして支援する。

③永年勤続者の表彰を行う。

④会員組合の保健事業、医療費適正化対策の推進を支援する。

⑤会員組合に有効な健保事務、法律、レセプト・保険給付、特定健診・特定保健指導等の相談事業を充実する。

⑥事業活動における研修会等の開催にあたっては、集合形式のみならず、集合形式とオンライン形式の組み合わせや動画配信などにより、一層の積極的な参加を促す。

〔事業活動〕

1.広報活動の推進

広報活動の充実を図るため、次の事業を実施する。

(1)機関誌「かけはし」の発行

①月1回発行する。

②次の項目を重点的に掲載する。

  • 医療保険制度改革関連(全世代型社会保障構築に向けた改革、現役世代の負担軽減等)。
  • 医療費適正化関連と健康づくり関連。
  • 大阪連合会の事業活動。
  • 会員組合の財政状況と地区会の事業活動。
  • 政党、国会議員への要請活動。
  • 主張実現に向けたシンポジウム等。

(2)広報活動の強化

①会員組合の事業活動の推進に役立つようホームページの充実を図る。

②会員組合が行う広報活動に役立つ研修会を開催する。

③会員組合の広報活動に具体的に役立つ広報資料を提供する。

(3)関係団体等に対する対外広報の強化

次の関係団体等への広報誌配布を通じ、健保組合・健保連の主張と事業活動への理解の浸透を図る。

  • 国会議員(大阪府選出および社会保障関係)。
  • 経営者団体、労働団体および医療関係団体。
  • その他必要な関係者。

2.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・効率化の推進

会員組合の円滑な事業運営を支援するため、次の事業を実施する。

(1)会員組合役職員の資質向上

①事務長・中堅職員等研修会を開催する。

②組合業務別実務講習会を開催する。

③個人情報保護研修会を開催する。

④後発医薬品に関する講習会を開催する。

⑤健保事務相談を実施する。

(2)組合業務の改善・効率化の推進

①情報セキュリティ講習会を開催する。

②パソコン研修会を開催する。

(3)保険者機能の強化

データヘルス・コラボヘルスに関する研修会等を開催する。

3.医療費適正化対策の推進

医療費の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。

(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化

①近畿厚生局・医療関係団体との連携を図る。

②大阪府保険者協議会医療費調査部会との連携を図る。

③国保運営協議会委員の活動強化を図る。

(2)審査支払機関との連絡・調整の緊密化

事務連絡協議会を開催し、審査結果事例等について審査委員との意見交換を行い、結果資料を提供する。

(3)医療費適正化に関する情報の収集と活用

①関係各方面からの情報収集および情報提供の促進を図る。

②柔道整復等療養費に関する情報の収集を行い、適正化の促進を図る。

③後発医薬品の使用促進を図る。

(4)レセプト点検等に関する研修会の実施

①レセプト点検事務に関する研修会を開催する。

②柔道整復等療養費に関する研修会を開催する。

③求償事務に関する研修会を開催する。

(5)医療対策室の活動強化

レセプト・保険給付相談および法律相談を実施する。

4.保健共同事業の推進

会員組合における健康寿命の延伸を目指した保健事業の実施を支援する。

(1)健康教育の実施

生活習慣病対策に加えて、がん予防・メンタルヘルス等をテーマに研修会を開催する。

(2)保健師活動の実施

①保健師による特定健診・特定保健指導の円滑な実施を支援する等、相談事業を実施する。

②保健師の資質向上を図るため、研修会等への参加を支援する。

③保健師連絡協議会活動を支援する。

(3)大阪府保険者協議会との連携

保健活動部会との連携を図る。

(4)感染症対策

新型コロナウイルス感染症やノロウイルス感染性胃腸炎など、感染症対策の普及啓発に努める。

(5)運動施設等との契約

健康増進に寄与する運動施設(プール、アイススケート等)利用券の斡旋。

(6)健康づくり活動の推進

①生活習慣や生活環境が健康に及ぼす影響などの啓発活動に努める。

②健康経営・健康宣言の普及促進を図る。

③健康ウオーキング等、各種健康づくり活動を後援する。

5.総合組合の運営推進

総合組合の運営に資するため、次の調査・研究事業を実施する。

①総合組合の実態に関する調査資料を作成するとともに、財政状況を分析し検討する。

②第3期データヘルス計画の効果的な実施について検討する。

③医療費適正化対策について検討する。

④協会けんぽと財政状況等について比較し検討する。