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広報誌「かけはし」

令和3年度 指導・監査等の実施状況
保険医療機関等取り消し26件
ー対前年度比7件の増加ー

厚生労働省は、令和3年度の「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」をまとめた。3年度に保険医療機関、保険薬局の指定取り消し処分を受けたのは、取り消し相当を含めて全国で26件、対前年度比7件増。保険医等の登録取り消しは、取り消し相当を含めて全国で16人、対前年度比2人減。指導・監査等の実施による返還金額は48億4051万円にのぼった。

日本の医療は、そのほとんどが保険診療である。医療機関や薬局は、厚労省の地方厚生(支)局長に保険医療機関等の申請をして、指定を受ける。医師、歯科医師、薬剤師も、登録の手続きにより、保険医等として保険診療に従事できる。

行政当局は、保険診療が常時適正に実施されているか指導・監査等を行う。極端で悪質な不正の場合には、保険医療機関等や保険医等を取り消す。処分を受けた医療機関等、医師等は処分期間中、保険診療ができない。処分前すでに廃止、登録抹消をしていても、「取り消し相当」として同様の取り扱いを受ける。

令和3年度の保険医療機関等の指導・監査等の実施状況をみると、保険医療機関等と保険医等、合わせて次のとおりとなっている。

▽個別指導1050件

▽新規個別指導4453件

▽適時調査33件

▽監査51件。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から実施を見合わせていた新規個別指導については、十分な感染防止対策を講じた上で令和2年度の未実施分も含めて実施。個別指導については、一部の指導が実施できなかったため、実施件数は減少している。

監査の結果、取り消し・取り消し相当の処分を受けたのは、全国で保険医療機関等が26件、保険医等が16人だった。監査拒否による保険医療機関等指定取り消し処分(取り消し相当含む)の件数が増加している。また、保険医療機関等取り消し26件のうち、不正発覚のきっかけとなったのは、保険者や医療費通知等に基づく被保険者等からの通報によるものが19件で半数以上を占めた。

診療報酬・調剤報酬請求のうち、詐欺や不法行為にあたるのが不正請求。不正のおもな形態は次のとおり。

▽架空請求=実際に診療していない者に対し、診療したように請求

▽付け増し請求=診療行為の回数・日数、数量、内容等を実際に行ったものより多く請求

▽振替請求=実際に行った診療内容を、保険点数の高い他の診療内容に振り替えて請求

▽二重請求=自費診療を行って患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも診療報酬を請求

▽その他の請求=医師数、看護師数等が医療法の標準数を満たしていないにもかかわらず、入院基本料を減額せずに請求―など。

指導・監査の結果、不正または不当請求が確認され、返還された金額は、48億4051万円にのぼった。内訳は、指導で14億7010万円、適時調査で20億7423万円、監査で12億9617万円となっている。