9月の理事会から
9月7日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。
1.中央情勢
(1)政治動向
〇内閣改造等
8月10日に内閣改造が行われ、厚生労働大臣には3度目となる加藤勝信氏が就任した。
〇2023年度厚生労働省予算概算要求
要求額は前年度比6340億円増の33兆2644億円。そのうち、年金・医療等にかかる経費は、同5376億円増の31兆2694億円。
厚労省の予算概算要求における重点要求は
①コロナ禍からの経済社会活動の回復を支える保険・医療・介護の構築
②成長と分配の好循環に向けた「人への投資」
③安心できる暮らしと包摂社会の実現」
―の3点。特に健保組合に関連するものとして、電子処方せんの安全かつ正確な運用に向けた環境整備の推進などが挙げられる。
健保組合に対する助成の状況として、事務費負担金、特定健診・保健指導補助金、高齢者医療特別負担調整交付金は今年度と同額。また、電子処方せんの環境整備に14億円。コロナ禍における財政支援および第4期医療費適正化計画にかかるシステム改修については、事項要求としての扱いで予算編成過程において検討される。
〇出産費用の実態把握
2021年度の結果のポイントとして
①出産費用は年間平均1%程度で上昇
②公的病院は私的病院や診療所よりも平均出産費用が低い傾向にある
―とのこと。健保連として、さらなる分析、見える化を要請していく。
(2)医療費の動向
2022年度の4月~6月にかけて、健保組合1人当たり医療費の対前年度伸び率は、それぞれ2.47%、5.84%、2.86%の増加。後期高齢者1人当たりについては、これまでは世代間のばらつきがありコロナ前の水準に戻っていなかったが、4月はマイナス1.17%であるが、5月は4.07%、6月は4.05%となっており、プラスに転じた。また、新型コロナウイルスにかかる医療費については減少傾向にあるが、7月のデータが出た際には、第7波の影響で急増する可能性がある。
(3)健保連本部施設再構築事業
現在の本部所有地を売却(8月31日予定)し、JR千駄ヶ谷駅近くに新本部ビルを建設。竣工時期は2025年3月末日を予定。
(4)感染症法の改正に伴う医療機関の減収補償への対応(案)
コロナ禍による病床逼迫などの事態を教訓に、今後の対策が検討されている。その内容は、あらかじめ新興感染症発生時に医療を提供する医療機関を協定締結により定め、当該医療機関が一般医療の提供を制限して経営上のリスクがある感染症医療を提供することに対して減収補償を行うというもの。その減収補償の費用を、公費とともに保険者も負担することが検討されている点が懸念される。
(5)オンライン資格確認
8月14日時点の医療機関等における導入状況は全施設数のうち、カードリーダー申し込み数62.8%、準備完了施設数31.7%、運用開始施設数26.8%と、依然として進んでいない。
2023年4月から、保険医療機関・薬局におけるシステム導入が原則義務化されることや、マイナンバーカードを保険証として利用した方の負担が大きくなることについての見直しなど、8月10日の中医協で公表された。
2.本部委員会報告
(1)企画委員会
8月31日に開催。議題は
①今年度の健保組合全国大会の開催
②今年度の広報事業(健保組合・健保連の主張の理解促進、健保組合の役割と価値の周知、健康保険法制定100年とこれからの100年、健康保険制度の解説・説明)
(2)保険者機能推進委員会
7月15日に開催。議題は、第4期特定健診・特定保健指導等の対応について。制度が始まって10年以上経過し、効果検証がなされているのか、価値があるものなのかなどの意見が出された。厚労省の担当官からは、意見を取り入れるとの返答があり、今後に期待したい。
3.大阪連合会活動
(1)広報委員会
7月20日、8月22日に開催。かけはし8月号、9月号の編集概要について報告があった。
(2)報告事項等
川隅専務理事から、次の3点について報告があった。
①去る7月28日、3年ぶりに対面での定時総会を開催。無事に終えることができたことにお礼を申し上げる
②感染症法の改正における保険者負担については、各健保組合から厳しい意見を厚労省に伝えている。今後、社保審医療保険部会にて議論が行われ、9月末までには結論が出ると思われるので注視する
③10月18日に、昨年度同様ハイブリッドでの健保組合全国大会が開催される。会場への参加について、ご協力をお願いしたい。