2022年度 健保組合(全国)予算早期集計
高齢者医療拠出金3兆4512億円
対前年度比5.68%減も、新型コロナの感染拡大が要因
健保連はこのほど、2022年度予算(早期集計)概要をまとめた。全国に1387ある健保組合のうち、予算データの報告があった1358組合の数値をもとに推計した。経常収支は2770億円の赤字。赤字を計上した組合は約7割。高齢者医療への拠出金合計は、対前年度比2080億円(5.68%)の減少となったが、新型コロナウイルスの感染拡大が要因であり、一時的なものである。
経常赤字2770億円 963組合が赤字
2022年度予算(早期集計)概要は、今年4月1日現在、全国にある1387健保組合のうち、22年度予算データの報告があった1358組合の数値をもとに、全組合の数値を推計した。それによると、22年度予算は経常収入8兆3869億円、経常支出8兆6638億円で、差し引き2770億円の赤字となっている。
前年度予算との比較では、経常収入が2654億円(3.27%)増加、経常支出が394億円(0.46%)増加した。このため、赤字組合は前年度より減少したものの、全組合の69.43%にあたる963組合が赤字を計上している。
被保険者数が6万9249人(0.42%)増加して1659万人、保険料収入が2628億円(3.28%)増加して8兆2723億円となるなど、収入の増加を見込んだ。
法定給付費は2371億円(5.64%)増の4兆4373億円、高齢者医療への拠出金合計は2080億円(5.68%)減の3兆4514億円となった。
このほか、おもな適用状況では、被扶養者数は約17万人(1.36%)減の1206万1673人。被保険者1人あたり平均標準報酬月額は5060円増の37万7846円。同賞与額は7万7738円増の111万9453円となっている。前年度に比べて回復基調にあるが、新型コロナ感染拡大前の2019年度決算と比べると、月額0.1%減、賞与額5.1%減と、以前として低いままである。
高齢者医療への拠出金、5.68%の減少
拠出金の内訳は、後期高齢者支援金等が1兆9956億円(対前年度比1.05%減)となった。前期高齢者納付金は1兆4555億円(同11.39%減)、退職者給付拠出金は9166万円(同29.00%減)。義務的経費に対する拠出金の割合は43.8%となった。
高齢者等拠出金が減少した主な原因は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う、20年度の高齢者医療費の一時的な減少により、2年後(=22年度)の高齢者拠出金精算時の返還額等の影響を受けたことによる。23年度以降は、今回の一時的・限定的な拠出金減少の反動に加え、団塊の世代が75歳に到達し始めることにより、後期高齢者支援金が増加する局面を迎えるため、拠出金全体が急増することが見込まれる。
退職者給付拠出金は、15年度から制度対象者の新規流入がなく、そのため減少している。
なお、保険給付費は対前年度比2379億円(5.54%)増の4兆5348億円を見込み、保健事業費は同73億円(1.66%)増の4483億円を計上した。

平均保険料率9.261%
調整保険料率を含んだ平均保険料率は、前年度より0.028ポイント上昇して9.261%となった。また、保険料率を引き上げたのは145組合。引き下げたのも109組合あった。この結果、協会けんぽの平均保険料率(10.00%)以上の組合は306組合となった。なお、収支均衡に必要な財源を賄うための実質保険料率は、平均保険料率を0.59ポイント上回る9.85%となる見通し。
介護保険関係
介護保険分の予算概要をみると、回答があった1358組合ベースで、平均保険料率は対前年度比0.02ポイント増の1.78%。1人あたり保険料負担額は、同2113円(1.9%)増の11万4470円となった。
また、集計対象の1355組合のうち、保険料率を引き上げたのは233組合であり、全体の17.2%を占め、5割以上となる730組合が、設定料率1.8%以上となっている。
※前述の数字は、単位未満を四捨五入しているため、合計等が一致しない場合がある
