時評
隗 よりはじめよ
春の人事異動などで、健康保険組合の職場に来られた方も多いことと思います。この号の発行は6月、少し時間はたっていますが、医療や保険に関する用語に戸惑っておられることではないでしょうか。
オンライン資格確認やオンライン診療などのICTに関するもの、診療報酬改定や地域医療構想、かかりつけ医などの医療のこと。後期高齢者の自己負担や高齢者医療制度への拠出金負担など財政上の問題。さらには、ジェネリック医薬品の使用促進やリフィル処方の導入、OTC医薬品などの薬剤・投薬に関すること等々、専門的な言葉が
これらの用語のすべてを理解することは容易なことではありませんが、今の健康保険組合や医療・保険の仕組みを知る上での大切なキーワードとなっています。その一つひとつを
では、このなかの一つに簡単ではありますが触れてみたいと思います。
「かかりつけ医」は言葉のとおり、身近に診療でき、定期的に受診する近くのお医者さん。ですが、このたびの新型コロナ禍、医療ひっ迫のなかでその存在と機能面が、クローズアップされることとなりました。
海外においては、イギリスで「家庭医」として制度化され、厳格な仕組みも設けられています。新型コロナ禍での医療体制の課題から、かかりつけ医を制度化しようとする動きがあります。しかし、診療側と支払い側といわれる保険者の主張にそれぞれ微妙な意見の違いが生じて、制度化には至っていないところです。
医療保険に関することは国の社会保障審議会の医療保険部会で審議されますが、今回の診療報酬改定の話し合いにおいても、制度化までの議論には及びませんでした。
なぜ話し合いの
このように、一つのキーワードから様々な問題を掘り下げていけば、多くの知識や健康保険組合として目指すべき方向性が浮かんでくると思われます。
表題の『隗よりはじめよ』は、中国の古い言葉で、かの清少納言も引用しています。現在では、本来の意味とは違う言い回しで使われています。『物事を始めるには、自分自身からやりなさい』、また、『大きなことをなすには、手近なことから始めなさい』という意で、ことわざのように使われています。
健康保険組合にとって、団塊の世代すべてが後期高齢者になる2025年を迎えようとして、その対応が問われています。国民皆保険制度の存続も危ういとも言われる昨今、まずはキーワードを紐解くことです。現在の日本が抱える課題や問題をあぶりだされてはいかがでしょうか。
(H・K)