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広報誌「かけはし」

「あしたの健保組合を考える大会PART6」を開催
安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて

健保連大阪連合会は12月8日、「あしたの健保組合を考える大会PART6」を開催した。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大防止を考慮し、一部会場参加とZoomウェビナーによるものとなった。大会には、会場、ウェビナーあわせて154人の健保組合関係者などが参加。近畿地区各府県からも多数の参加があった。大会では、「安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて―健保組合・健保連の提言―」をテーマに、佐野雅宏健保連副会長による講演が行われた。

健保連は高齢者医療の負担構造改革や実効ある医療費適正化対策の強化など、要求実現活動を全国で展開している。大阪連合会による「あしたの健保組合を考える大会」は、その一環として今回で6回目の催し。当初は9月に開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により延期となり、今般の開催となった。

大会には、大阪府内の健保組合役職員をはじめ、府外の近畿地区各府県の健保組合からも多数参加があり、154人が参加した。

久保俊裕
大阪連合会会長

主催者を代表し、大阪連合会・久保俊裕会長が開会のあいさつを行った。久保会長は、「今回は、WEB配信を通じて、大阪を含む近畿の多くの健保組合の皆様にもご参加・ご視聴いただいている。また、健保連本部から、宮永俊一会長、佐野雅宏副会長にお越しいただき、のちほど、あいさつ、講演をお願いしている。未だ新型コロナウイルス感染症の終息が見えないなか、日本のみならず世界経済にも大きな打撃があり、私たち健保組合も事業運営等に大きな影響を受けている。ワクチン接種が進み、新規感染者が減少したことにより、緊急事態宣言も解除されるなど、わずかながら明るい兆しが見えてきた。しかし、先月末に新たな変異株の感染が国内で初めて確認された。私たちにできるのは、今までの適切な感染予防策を続け、正しい情報を見極めることである。このようななか、健保連では、去る10月19日、全国大会終了後に記者会見を開き、『安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて』とする健保組合・健保連の新たな提言を発表した。

提言の柱は

①コロナ禍を通じて明らかとなった課題と対応

②社会情勢の変化に応じた課題と対応

③健保組合の価値向上へ取り組む課題と対応

―の3つ。

皆保険制度の維持に向け、医療保険制度をどのように、安心、納得できる制度にしていくのかを皆様と共に考えていきたい。この大会を通じ、参加者全員での意志結集を図り、健保連本部と連携のうえ、今後の取り組みを強化していくことをお願いする」と述べた。

久保会長のあいさつの後、佐野雅宏健保連副会長が「安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて―健保組合・健保連の提言―」をテーマに講演。そして、宮永俊一健保連会長の閉会あいさつにより、本大会は幕を閉じた。

佐野雅宏健保連副会長 講演
「安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて―健保組合・健保連の提言―」

佐野雅宏
健保連副会長

団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年が迫るという難局に直面している。そんななか、誰もが必要な時に必要な医療にアクセスできる体制を維持するため、地域医療構想の実現や、質の高い医療提供体制の構築および社会情勢の変化に対応した全世代で支え合う制度への転換が急務である。

健保組合は、これまでも事業主との緊密な連携のもと、保険者機能を発揮しながら色々な取り組みを行ってきた。現在のコロナ禍においても、加入者の健康を守るという使命を全うすることに変わりはない。

まず1点。コロナ禍のなかで、医療提供体制の改善の必要性が顕在化してきたと思う。ワクチン接種や発熱による外来受診など、思うように受けることができないといったことを耳にした。我々としては、まさにかかりつけ医の推進、特に安全・安心で必要なときに必要な医療にアクセスできる体制を堅持することが重要と考える。ただし、現時点では、かかりつけ医の推進については議論を深めているわけではなく、まず、共通認識を作っていこうというところである。

2点目。社会情勢の変化に応じた課題としては、国民皆保険制度の持続確保のために、医療重点化と効率化、現役世代の負担軽減である。人口構造の変化を踏まえた全世代で支えあう制度の構築こそ、我々がずっと主張してきたことである。世代間のアンバランスの是正として、今年の通常国会において、一部の後期高齢者の窓口負担割合が2割に引き上げられることが決まった。しかし、現役世代の負担軽減には全く足りず、引き続き、国と折衝していかなければならない。また、拠出金の財政調整の見直しや負担の明確化も必要である。加えて、介護納付金の料率問題もある。健保組合は、介護納付金については徴収を行うだけのはずが、料率まで決定しなければならない。これは国が定めるように組み直すよう要望する。

3点目。健保組合の価値向上へ取り組む課題について。当然、健保組合としてやるべきことをしっかりとやる。コロナ禍においても、加入者の健康づくり、特定健診・特定保健指導、企業と連携した取り組みなど、すでに果たしている役割をアピールしていく。一方で、コラボヘルスのさらなる推進や、健康教育講座を通じた健康リテラシーの向上など、結果として国民全体の健康度を高め、健康医療の延伸を図る。無論、データ活用についても深め、スコアリングレポートなどを活用していきたい。

会場から質問と要望

丸山国男
常務理事

佐野副会長に対して、会場参加者である大阪線材製品健保の丸山常務理事から、次の質問と要望があった。

「自健保組合の財政状況は、高齢者医療制度への過重な拠出金負担により、極めて厳しい状況である。2021年度予算では、保険料収入に対する高齢者拠出金割合が44.5%、経常収支は大幅な赤字となった。特に新型コロナ感染の拡大により、標準報酬月額や標準賞与額が昨年度から大きく減少し、コロナ前の水準には戻らず、保険料収入の減少という影響が顕著に現れている。

質問:給付と負担の見直しは長年の主張であり、本年6月の通常国会で健保法等の一部改正法案が成立。改革のスタートラインに立ったという思いである。健保連本部として、提言にある『保険給付範囲の見直し』『拠出金負担の上限設定』などを取り上げているが、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか。

要望:先日の衆議院選挙の自民党公約には『医療費負担について、改革を進め持続可能な全世代型社会保障を構築する』とだけあった。成長と分配を約束するならば財源も示すべきであり、何か違和感を覚える。国として、新しい資本主義実現本部を設置し、全世代型社会保障構築会議で議論すると聞いているが、健保連としてオピニオンリーダーの活用、広報活動強化など、ぜひ進めていただきたい。」

佐野副会長は、まず質問に対して「今まで、何でも保険で対応してきたが、新しい医療や薬剤が出てくれば、負担が増えるのは当然である。加えて、高齢者の医療費についても現役世代の負担は増加する。医療費全体が膨らめば、給付範囲の見直しは不可避の課題となる。保険は、超高額な医療等に対して給付し、低額なものについては保険給付外、もしくは減額などの措置も必要だろう。また、拠出金の上限設定についてだが、現役世代の負担軽減のため拠出金の抑制は訴え続ける。しかし、拠出金の負担率と財政状況が、全組合にマッチしているかといえば、そうでないところもある。総合組合は中小企業が中心となっているため、財政状況が厳しいという反面、拠出金割合が高いところばかりとも限らない。全体の整合性をとることが課題となる。国には、拠出金割合の高い組合への補助を強化して欲しい。苦しい組合にどんな対策ができるかが重要となる」とした。

続いて、要望に対しては「制度の見直しについては、国会議員、マスコミへの働きかけを引き続き行う。自民党が国民皆保険を守る国会議員連盟を設立するなど、我々の働きかけにより、国会議員の社会保障制度に対する理解は深まっていると思われる」と述べた。

宮永俊一健保連会長 閉会あいさつ

宮永俊一
健保連会長

健保組合は高齢者医療への拠出金負担に苦しみ、追い打ちをかけるようにコロナ禍の影響を受け、財政運営や保険者としての事業が思うようにできず、大変な思いをされたことだろう。

先ほどの佐野副会長の話にもあったが、健保組合の厳しい財政状況がさらに深刻化する「2022年危機」を訴えてきたが、コロナ禍に伴う受診控えなどによって医療費が抑えられることで、一旦は拠出金負担が和らぐ見通しである。しかし、これは「危機」が後ろにずれ、2023年の戻り幅が大きくなるだけで、「2025年にかけて拠出金が急増する」という構造的な問題は解決していない。

まさに、今、日本が誇る国民皆保険制度を将来にわたって維持できるか否かの「分水嶺」にあるといって過言ではない。国民全員が一丸となって、皆保険制度を守り抜く覚悟が必要である。
我々が求めてきた次なる改革に向けた協議の場が整いつつあり、このたびまとめた提言を積極的に発信し、実現を訴えていく。

また、健保組合は事業主や加入者と近い関係を生かし、様々な保健事業を通じて健康寿命の延伸に寄与してきた。人生100年時代といわれる今、これまで以上に保険者機能を発揮し、疾病予防・健康づくりを推進していかなければならない。多様性が尊重され、だれもが健康で生き生きと過ごすことができる社会を創り上げていく、その一翼を担う存在でありたいと願う。こうした取り組みを続けることで、健保組合が広く認知され、価値を高めていくことにつながるのではないか。

私も、微力ながら先頭に立って邁進したいと思う。皆様には、さらなるご支援・ご協力をお願いしたい。

国会議員要請

12月3日(金)

矢田 わか子 参・国民民主(比例)

健保連本部  増田 ICT担当部長

パナソニック 玉木 専務理事

近畿電子産業 山川 専務理事

大阪連合会  川隅 専務理事

大阪連合会  長井 参与

大阪連合会  森脇 参与