70歳になられると「高齢受給者証」が交付されます。
この「高齢受給者証」とは窓口での自己負担割合を示す証明書で、診療を受ける際には「保険証」と「高齢受給者証」を医療機関に提示してください。高齢受給者の自己負担割合は所得区分によって1~3割負担のいずれかになりますが、この「高齢受給者証」を提示することによりその負担割合が適用されます。
また、入院した場合には医療費の自己負担とは別に、食事の費用(食事療養標準負担額)を自己負担します。さらに入院先が「療養病床」の場合には、食材料費と居住費(生活療養標準負担額)を自己負担します。「療養病床」とは、慢性的な病気で長期入院するためのベッドのことをいい認知症などの症状がある高齢者の多くは「療養病床」を利用しています。
なお、75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」の対象となります。
病院にかかる時に支払う医療費(法定自己負担)
外来・入院時医療費負担割合
区分 (70歳以上75歳未満) | 負担割合 |
---|---|
現役並み所得者 (標準報酬月額28万円以上) | 3割 |
一般 市区町村民税非課税世帯 |
2割 |
入院時の食費(食事療養標準負担額)
入院したときは医療費の自己負担とは別に、食事の費用(食事療養標準負担額)を自己負担することになっています。
令和7年4月1日から
自己負担額(1食あたり) | ||
---|---|---|
一般 | 510円 | |
指定難病・小児慢性特定疾病の患者 | 300円 | |
低所得者Ⅱ(※1) | 1年間の入院日数が90日目まで | 240円 |
1年間の入院日数が91日目以降 | 190円 | |
低所得者Ⅰ(※2) | 110円 |
令和7年3月31日まで
自己負担額(1食あたり) | ||
---|---|---|
一般 | 490円 | |
指定難病・小児慢性特定疾病の患者 | 280円 | |
低所得者Ⅱ(※1) | 1年間の入院日数が90日目まで | 230円 |
1年間の入院日数が91日目以降 | 180円 | |
低所得者Ⅰ(※2) | 110円 |
※1:低所得者IIとは、低所得者Iに該当しない市区町村民税非課税である被保険者とその被扶養者
※2:低所得者Iとは、被保険者および被扶養者すべてが、収入から必要経費・控除額を引いた後の所得がない場合の被保険者とその被扶養者(収入が年金のみで単独世帯の場合、約80万円以下)
療養病床に入院したときの食費・居住費(生活療養標準負担額)
療養病床に入院した場合は、食費(食事代)の負担と、居住費(光熱水費相当額)の負担が必要になります。 また療養病床とは、慢性的な病気で長期入院するためのベッドのことをいいます。
令和7年4月1日から
食費(1食) | 居住費(1日) | ||
---|---|---|---|
一般 | 入院時生活療養(Ⅰ)を算定する 医療機関に入院している者(※1) |
510円 | 370円 |
入院時生活療養(Ⅱ)を算定する 医療機関に入院している者(※2) |
470円 | 370円 | |
指定難病の患者 | 300円 | 0円 | |
住民税非課税世帯 | 低所得者Ⅱ | 240円 | 370円 |
低所得者Ⅰ | 140円 | 370円 |
令和7年3月31日まで
食費(1食) | 居住費(1日) | ||
---|---|---|---|
一般 | 入院時生活療養(Ⅰ)を算定する 医療機関に入院している者(※1) |
490円 | 370円 |
入院時生活療養(Ⅱ)を算定する 医療機関に入院している者(※2) |
450円 | 370円 | |
指定難病の患者 | 280円 | 0円 | |
住民税非課税世帯 | 低所得者Ⅱ | 230円 | 370円 |
低所得者Ⅰ | 140円 | 370円 |
※1:入院時生活療養(I)を算定する医療機関とは、栄養管理師または栄養士による管理が行われている等、生活療養について一定の基準に適合しているものとして社会保険事務局に届けている医療機関のこと
※2:入院時生活療養(I)を算定する保険医療機関以外の医療機関のこと
医療費が高額になったとき(高額療養費)
医療費が高額になり法定自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻しされる「高額療養費」という制度があります。 70歳以上の方は高齢受給者証を提示することにより、窓口での支払いが自己負担限度額までになります。
ただし、適用区分が「現役並み所得者 I 」(※1) および 「現役並み所得者 II 」(※2)に該当する方が、窓口での支払いを自己負担限度額に抑えたい場合は「限度額適用認定証」が必要になります。(平成30年8月診療分より)
高額療養費の自己負担限度額(70歳以上)
区分 | (A)自己負担限度額 | (B) 付加給付 控除額 |
|||
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外来(個人ごと) | 外来・入院(世帯ごと) | ||||
現役並み所得者Ⅲ (標準報酬月額83万円以上) |
252,600円+(医療費-842,000)×1% 《多数該当:140,100円》 |
20,000円 | |||
現役並み所得者II(※2) (標準報酬月額53~79万円) |
167,400円+(医療費-558,000)×1% 《多数該当:93,000円》 |
||||
現役並み所得者I(※1) (標準報酬月額28~50万円) |
80,100円+(医療費-267,000)×1% 《多数該当:44,400円》 |
||||
一般 (標準報酬月額26万円以下) |
18,000円 (年間144,000円上限) |
57,600円 《多数該当:44,400円》 |
|||
市区町村民税 非課税世帯 |
低所得者II | 8,000円 | 24,600円 | ||
低所得者I | 15,000円 |
《多数該当》とは、直近12ヵ月の間に3回以上高額療養費の対象になった場合、 4回目以降はさらに自己負担限度額が引き下がり、多数該当の限度額が適用される特例制度のことです。
当健保では、さらなる自己負担額の軽減をはかるための独自の給付(付加給付)がありますので、自己負担限度額のうち付加給付控除額20,000円を超えた分が一部負担還元金(付加給付)として支給されます。
※但し、他の法令で公費負担される場合は除きます。
※負担した食事・居住費の費用(生活療養標準負担額)は高額療養費の支給対象にはなりません。
限度額適用認定証の交付について
70歳以上の方は高齢受給者証を提示することにより、窓口での支払いは自己負担限度額までの支払いとなりますが、適用区分が「現役並み所得者II」 と 「現役並み所得者I」の方の場合、窓口での支払いを限度額までに抑えるにはあらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受ける必要があります。
高額療養費の支給を受ける(事後払戻しを受ける)場合と、事前に手続きをして限度額適用認定証を利用する(窓口での支払いを限度額に抑える)場合の二通りの方法がありますが、最終的に自身が負担する支払い額は同じ(付加給付控除額まで)になります。
世帯で合算する世帯合算高額療養費
医療費の支払いが1件だけでは自己負担限度額に達しない場合でも、同一世帯で医療費負担が複数あれば「世帯合算」という高額療養費の特例があります。70歳以上の方は金額の制約はなく同月の自己負担をすべて合算することができます。
この場合の世帯とは、住民票上の世帯とは異なり当健康保険組合に加入している家族となります。
また70歳未満の方と世帯合算する場合は、70歳未満の法定自己負担限度額が適用される他、自己負担額が21,000円以上であること等の条件があります。
詳しくは「70歳未満の方の高額療養費自己負担限度額」をご覧ください。