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平成27年度(2015年度)の健康保険組合予算編成等事務説明会が1月20日、大阪市・新大阪のメルパルク大阪で開かれた。説明会には、大阪、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の2府5県から282組合、658人の健保組合責任者、担当者が出席。午前・午後の2部制で行われたこの日の説明会では、近畿厚生局健康福祉部保険課の係官から、27年度予算編成に関する健保組合事務の留意事項などの説明を受けた。 |
予算編成等事務説明会は午前・午後の2部制で行われた。近畿地区各連合会を代表して、午前の部では健保連大阪連合会副会長の兼松連合健保組合・山本吉平常務理事、午後の部では同副会長のパナソニック健保組合・堀精宏専務理事があいさつを行った。近畿厚生局からは、大西正洋保険課長があいさつ。山本副会長、堀副会長、大西保険課長のあいさつ要旨は、大要次の通り。 |
山本副会長 健保組合財政は深刻な状況にある。昨年4月の消費税引き上げ後の景気の動向、高齢化にともなう医療費の増大、高齢者医療制度への過度の負担などにより、かつてない危機的な状況に陥っている。
平成27年度の予算編成にあたり、各健保組合では保険料率の改定、保健事業の見直し、業務の効率化等による危機を乗り越えるための対策に、真剣に取り組んでいることと思う。
一方、1月9日、社保審・医療保険部会に厚労省から「医療保険制度改革骨子案」が提出された。内容は、29年度に後期高齢者支援金の全面総報酬割に移行する。全面総報酬割に向けて27年度には総報酬割を2分の1、28年度には3分の2に拡大するというものだ。それにより協会けんぽに投入している国費2400億円が浮き、その分を国保に1700億円、健保組合を含めた被用者保険支援に700億円回すとのことだ。
厚労省の試算では、健保組合は全面総報酬割導入により1300億円の負担増となり、さらに前期高齢者加入率の調整で200億円の負担が上乗せされることとなっている。国保への国費投入を29年度に3400億円増やしたうえで、30年度に国保の財政運営の責任を市町村から都道府県に移行させるのが大まかな流れだ。
これに対して、医療保険部会では、被用者保険関係委員から不満が続出した。健保連本部の白川副会長は、「国保制度中心の改革案だ」と指摘。削減国費を国保へ優先転用する考えは、被用者関係5団体の共同要望をまったく無視したもので、断固反対を表明した。
さらに、われわれが主張してきた高齢者医療制度の負担構造改革が手つかずの内容となっており、強い不信感が残るものだ。
このように、引き続き厳しい情勢だが、今後も健保組合、国民皆保険を継続していくために、健保組合は一致して、また都道府県連合会間で協力して、全力をあげてこの難局に立ち向かっていかなければならない。健保組合の団結と連帯で、厳しい1年を乗り切っていこう。近畿地区各連合会の活動に、ご理解ご支援をいただきたい。 |
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堀副会長 経済面をみると、アベノミクス効果があり、企業業績、株価が徐々に回復、新しい成長が得られ、これまでの流れが切りかわるのではないかとの期待感がある。
だが、残念ながら健保組合を取り巻く状況は厳しさを増しつつある。先般公表された医療保険制度改革骨子案をみると、後期高齢者支援金の総報酬割を平成27年度から段階的に引き上げ、2年後の29年度には全面総報酬割となる。
そして、削減される国費の7割強が国保財政の基盤強化のために使用されることになっている。
一方、27年度には、いわゆる団塊の世代が完全に前期高齢者に入る。さらに10年後には、国民の3人に1人が65歳以上という超高齢社会に突入する。加えて、医療の高度化にともない、医療費の決定的な増加が予測される。現役世代の負担が重くなり、われわれはますます困難な状況に追い込まれてくる。
しかし、手をこまねいてばかりいては、われわれ健保組合の役割を果たすことにならない。
世界に冠たる国民皆保険を次世代に引き継いでいくためにも、また、われわれ健保組合の加入者の健康をしっかりと守っていくためにも、取り巻く環境や事象を正しく認識して、きっちりとした予算を作成し計画的に事業を推進していかなければならない。
予算は健保組合にとって事業計画であり、1年の行動計画のベースとなるものだ。それぞれの健保組合を取り巻く環境を十分踏まえて、適切な予算を策定していただきたい。 |
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大西保険課長 医療保険制度改革については、社会保障制度改革国民会議の報告書を受け、一昨年成立した「プログラム法」に沿って、今年の通常国会に関係法案が提出される。
制度改革は、社保審医療保険部会で議論されてきた。ところが、昨年末の解散総選挙の動きのなかで11月中旬以降、いったん審議が中断。年明け再開され、医療保険制度改革骨子案が示された。1月13日、社会保障制度改革推進本部が同案を決定、14日に政府予算案が決定されたところだ。
今後は、この骨子にもとづき、各年度に必要となる予算措置が講じられる。また、関係法案が今通常国会に提出されることになる。
このような情勢のなかでの予算編成だが、昨年末に予算編成準備についての事務連絡を示したのにとどまり、保険局長通知は先般発出したばかりである。
予算編成にあたり、とくに3月1日からの適用となる保険料率改定にあたっては、2月中に変更認可を受ける必要がある。それに先立つ手続きも必要なので留意いただきたい。
「骨子案」には、高齢者医療制度における後期高齢者支援金への全面総報酬割の導入、個人や保険者が予防・健康づくりを促進していくうえでのインセンティブの強化、負担の公平の観点からの標準報酬上限見直しなどの事項もあげられている。
27年度予算に関係するのは、支援金の報酬割部分の割合変更だ。今後、医療保険制度改革の動きに注視されたい。また、現在取り組んでいただいているデータヘルス計画、社会保障と税番号制度に留意した予算編成を願いたい。
近畿厚生局管内の状況をみると、毎年多くの健保組合が保険料率の引き上げを実施。とくに総合組合では、半数以上が10%以上に保険料率を設定しており、それでもなお経常赤字の予算編成をせざるをえない状況だ。
一方で、日本の医療制度をなんとしても支えていき次世代に引き継いでいく必要がある。健保組合の皆様方のご尽力にあらためて敬意と感謝を申し上げる。 |
予算編成等事務説明会では、近畿厚生局保険課の久保西美代子課長補佐から予算編成について、奥田慶子社会保険監査専門官から組合運営等における留意事項について、それぞれ具体的な説明を受けた。
また、説明会終了後、支払基金大阪支部の内山守支部長が「『支払基金サービス向上計画』の第4次フォローアップ(平成26年度)」をテーマに講演を行った。 |
日 時 |
1月20日(火) |
会 場 |
メルパルク大阪 「メルパルクホール」 |
内 容 |
○平成27年度健康保険組合 予算編成事務等の説明 |
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・あいさつ |
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近畿厚生局保険課長 大西 正洋 氏 |
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・予算編成について |
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近畿厚生局保険課 課長補佐 久保西 美代子 氏 |
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・組合運営等における留意事項 |
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近畿厚生局保険課 社会保険監査専門官 奥田 慶子 氏 |
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○講演 |
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「『支払基金サービス向上計画』の
第4次フォローアップ(平成26年度)」 |
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支払基金大阪支部支部長
内山 守 氏 |
出席者 |
282組合 658人 |
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(内訳) |
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大 阪 |
172組合 |
454人 |
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福 井 |
8組合 |
11人 |
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滋 賀 |
9組合 |
16人 |
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京 都 |
30組合 |
52人 |
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兵 庫 |
56組合 |
110人 |
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奈 良 |
2組合 |
5人 |
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和歌山 |
5組合 |
10人 |
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