安藤会長あいさつ(要旨)

われわれを取り巻く環境は、まさに警戒警報を発令せざるをえない局面にさしかかっている。
先般、日銀は、景気判断を「緩やかに回復しつつある」と、2年半ぶりに「回復」という言葉を使い、上方修正した。雇用・所得の改善の足取りは遅いものの、積極的な金融緩和にともなう円安株高傾向を背景に、消費や企業心理の改善がみられ、経済状態は徐々に明るさを増してきているようだ。
このようななか、参議院選挙が行われた。今後の局面を左右する重要な選挙だったが、大方の予想どおり、与党が議席を増加させて「ねじれ国会」がひとまず解消される事態になった。停滞気味だった政治の動きも加速されるものと思われる。
今回の結果が、これからの健保組合の運営にどのような影響を及ぼすか、選挙向けの発言から脱して本音で議論していただき、医療保険制度の将来をよりよい方向に持っていってもらいたいと切望している。
ところで、社会保障制度改革国民会議は、7月12日から最終報告書のとりまとめの議論に入った。それによると、医療・介護関係で意見が大筋一致した点は、市町村運営の国民健康保険を都道府県単位に広域化すること、また70歳から74歳の医療費窓口負担を、1割から法律に定められた2割にすることなどである。
一方、後期高齢者医療制度への支援金の総報酬割の導入については、報告書に盛り込まれるかどうか、新聞によって、「大筋合意」とか「今後の議論の焦点」とか、ニュアンスの相違がある。報告書は、8月に安倍首相に提出され、これを受けて政府は関連法案の要綱を閣議決定する方針のようである。骨子案では、「すべての世代に受益があり、年齢にかかわりなく負担」と明記されている。これが具体的にどういうかたちで政治判断が加えられていくのか注目したい。
他方、3党協議でまとめることは、考え方の隔たりが大きすぎて、実質的に難しい情勢にあるというのが関係者の見方だ。いずれにしても、国民会議の報告書がまとめられ、秋の臨時国会に関連法案が提出される予定である。
われわれ健保組合・健保連にとって、今後の方向いかんでは、一段と厳しい状況に追い込まれ、さらに解散を余儀なくされる健保組合が増加するのではないかと考えると、一刻の猶予も残されていない。医療保険制度の存続が可能なのか、極めて憂慮すべき時期にさしかかっている。
場合によっては、より一段と厳しい状況が予想されるなか、われわれの考えを、あらゆる機会をとらえて訴えていくことが大切である。健保連としても、閣議決定の内容、国会審議の状況を十分注視し、必要に応じて世論への訴え、国会議員への働きかけを強めていく必要がある。あらためて皆様のご支援・ご協力をお願いしたい。 |