広報誌「かけはし」

■2008年8月 No.443
加藤会長あいさつ(要旨)

 最近、世界的に大きな災害が続いております。ミャンマーのサイクロンによる大洪水、中国・四川省の大地震、そうしたところ、今度は日本でも岩手・宮城内陸地震が起き、大きな被害をもたらしました。被害地および被災者の方には、1日も早い復興とご快復をお祈りする次第です。
 さて、第169回通常国会は、さまざまな論議を呼びながら156日間の会期を終え6月21日に閉会しました。われわれが注目していた、国庫負担の肩代わりを主眼とする「政管健保支援特例措置法案」は、国会序盤の2月8日に上程されましたが、一度も審議されずに衆院で継続審議となり、次の臨時国会へ積み残されました。
 この論議は、単に医療保険制度間の財政調整に限らず、制度の一元化につながりかねない危険性をおびています。健保連としては本部に財政調整・一元化阻止特別委員会を設置し、動向を見定めながら対応策の検討を進めていますが、ひとたび行動をおこすときには全健保組合が結束してことにあたる必要があると考えています。
 今年4月からは、長年の懸案であった老人保健制度の廃止とともに、高齢者医療制度が実施に移されました。この制度は、高齢化が進むなかにあって、国民全体で高齢者の医療を支え、将来にわたって安定的な医療保障を提供する仕組みとして導入されました。
 ところが、制度がスタートしたとたん、ご承知のように、後期高齢者医療制度の運用面で、年金からの保険料徴収や一部負担の賦課に対して、「年寄りいじめ」とか「姥捨て山」とか、批判的な意見が相次ぎ、いまだに論議を呼んでいます。しかも一部のマスコミには徒に不信感を感情的に煽る風潮があり好ましくありません。
 確かにいくつかの問題点を抱えながらも、今回の制度は給付と負担の枠組みをより明確にしたこと、まがりなりにも、広域連合という運営主体をつくったことは、前進であります。
 政府には目先の論議に振り回されずに、この制度に対する正しい理解を深める努力を求めたいと思います。
 今後の課題はかねてから私どもが主張している、前期高齢者も一体になった高齢者医療制度であり、そのために公費を前期高齢者にも入れることであります。
 そのためには財源の論議が欠かせません。選挙を控えて、消費税の論議はトーンダウンしていますが、今後急増が予想される前期高齢者医療制度への公費投入を目的とすることを明確にした社会福祉目的税として、消費税の増税を行うしか方法はないと考えます。
 この点について引き続き関係方面への要請活動を強めて行く必要があると考えます。
 これらの医療制度改革と同時に、4月から特定健診・特定保健指導が開始されました。各健保組合におかれましては、初めてということもあって、試行錯誤をしながら取り組み、ご苦労をされていることと思います。しかし、長い目でみれば、被保険者・家族のうち、とくに中高年層の健康のレベルアップが図られ、ひいては医療費の節減につながります。
 まさしく、保険者機能を十分発揮するのにふさわしい事業といえるでしょう。保健事業のノウハウは、健保組合のほうが他の医療保険者より数段先んじています。健保組合方式のメリットを示すいい機会であると考えます。
 さて、健保組合の財政状況は、一時、小康状態にありましたが、再び厳しい状況になってきております。
 健保組合の平成20年度予算の集計によりますと、全体で6、322億円の赤字見通しとなっており、約9割の組合が赤字予算を計上しております。
 大阪連合会の状況をみましても、平成20年度予算で651億円の赤字で、赤字組合は、昨年の132組合から159組合へと悪化しており、拠出金総額は12・2%増加して3、182億円にも達し、財政状況は厳しさを増してきています。
 このような厳しい環境下ではありますが、多くの課題に真摯に取り組み、私たちの目指す「次世代につなぐ安心・納得の医療制度」へ全健保組合が、より絆を強めてこの難局を克服していくよう努力していきたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。
 本日の総会の議題は、役員の選任と、平成19年度の事業報告・収支決算です。十分ご審議いただきますようお願い申し上げますとともに、会員組合の皆様には、引き続き本会事業にご協力賜りますようお願いしまして、私の挨拶とさせていただきます。


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