時評
子ども・子育て支援金制度の開始
いよいよ4月から、2023年12月に国が策定したこども未来戦略「加速化プラン」に基づき、少子化対策の財源として導入される「子ども・子育て支援金制度」が新たに始まる。少子化対策を「社会全体で支える連帯の仕組み」とするため、すべての医療保険加入者が対象となり、医療保険の枠組みを活用することで、全世代からの拠出を求めることを可能とした。
これにより健康保険組合は、これまでの健康保険料等に加えて、子ども・子育て支援金を事業主や被保険者から徴収することとなる。支援金の額は、国が一律に示す支援金率に基づき報酬により計算され、原則、労使折半として負担が生じる。なお、育児休業中や産前産後休業中は徴収免除となる。
少子化対策は、国民皆保険制度を支える将来の現役世代を確保し、皆保険制度を維持するために重要なものであることは重々承知している。そのため、健保組合はこの重要施策が実施されることへの協力自体は惜しまない。しかし、その実務を担う健保組合へ、過度な負担がのしかかることは確かである。
そもそも健保組合は医療保険を担っており、この支援金制度においては、あくまでも少子化対策の財源を“代行的”に徴収し、納付する窓口である。それにもかかわらず、制度導入に伴うシステム改修や徴収事務、加入者からの照会対応など、代行としての立場以上に、実務への負担が増加することは間違いない。
財政運営が厳しい多くの健保組合は、健康保険料率の設定に苦慮している。そのようななか、事業主や被保険者にさらなる負担を求めることとなる健保組合の負荷は計り知れず、何らかの支援が必要である。
例えば、徴収事務の簡素化として、事務負担を軽減するため支援金率を早期に決定し、ミスが起きにくいルールを作る。支援金制度への理解や納得感が浸透していないであろう現状への対応として、加入者から健保組合に対して厳しい問い合わせが向かないように、制度の趣旨や必要性の周知を積極的に行うことなどは、国がより一層主導して行うべきではないか。
国が「徹底した歳出改革で実質的な負担増は生じない」として導入された支援金制度。現状、健保組合や被保険者等がそれを実感できるのかどうか、不安でしかない。これからは、支援金による負担増をどのように相殺するのか、それが確実に実行されるのか注視していかなければならない。また、少子化対策のためだけに徴収された支援金が、どのような形で使用され、どのような結果につながったのか、詳細について国からの報告を待ちたい。
(M・S)


