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広報誌「かけはし」

時評

健康保険組合の役割を考える

健康保険組合は、円滑かつ安定的に事業運営を行うため、効果的な事業の推進とさまざまなコストを意識しながら、事業を行っているところです。しかし、増え続ける医療費と高齢者医療制度への拠出金により、財政がひっ迫した状態が続いており、安定的な運営とは言い難い状況が続いています。

そのため、総支出の約半分を占める医療費について、何とか適正化を図るため、レセプトの点検強化やジェネリック医薬品の使用促進、またレセプト分析による重複投薬、多剤投与の個別対応を行うなど、保険者として対策を実施しているところです。

しかしながら、その効果額については、健保財政の安定には程遠い状況であり、これら対策に要する職員の労力も大きく、自助努力にも限界があり、費用対効果についても疑問が残るところです。

医療費の適正化対策については、保険者としての対応では大きな効果は得られず、将来にわたり皆保険制度を維持することは非常に困難な状況となることが予想されます。健康保険制度そのものを大きく改正し、風邪や花粉アレルギーなどについては、セルフメディケーションとして保険診療を行わず、保険で診療するものは「大病」に限定するなど、国が主導となり法や制度改正を伴う思い切った対策を行うことで、適正化が目に見える効果として表れるものと考えます。

健康保険組合の役割は、組合に加入する皆様の健康を維持することであり、そのために、健康保険組合における限られた労力をいかに保健事業にシフトし、余裕のできた予算で効率的に事業を推進できるかがポイントとなります。

まずは、「各種健診の定期的な受診」とその結果に基づく「特定保健指導」の実施を事業所におけるスタンダードとし、従業員とその家族の皆様が将来に向けた健康につながるよう、疾病の予防、病気の早期発見、重症化の予防などに対し、個々人がより高い意識を持ってどうアクションを起こすことができるかが重要となります。

そのためには、事業所との関係を緊密なものとし、事業所主導による従業員の健康管理は必須であることを事業主に認識をいただき、従業員とその家族の皆様が将来に向けた健康に対し興味を持って、一歩踏み出せるよう事業所と健康保険組合が、連携・協議しながら、背中を押すことがそれぞれの役目であり、より一層の事業推進が求められます。

これら、健康管理に関連する健康保険組合としての保健事業を重点事業として位置づけ、健診等の事業のほか、疾病の予防、重症化予防などに繋がるさまざまな事業の推進に努め、事業所の状況に対応した事業展開を図り、健康保険組合は、被保険者及び被扶養者の健康とそれに伴う事業所の発展に寄り添える存在であることが重要です。

(Y・M)