健康セミナー(オンデマンド配信)
7月28日~10月28日、健康セミナーについてオンデマンドにて講演動画を配信。筑波大学 人間系 教授
“まだ大丈夫”と思った今がはじめどき!
―未来の自分を守る生活習慣―

山田 実 氏
なぜ、フレイル対策が必要?
我が国では高齢化率の上昇が続いており、その中で健康寿命の延伸が重要な課題として位置付けられています。いくつかの研究では、平均寿命よりも健康寿命の延びが鈍化していることが確認されており、両者の差、すなわち「不健康期間」は拡大傾向にあります。この差を縮める鍵がフレイル対策です。フレイル対策は、運動・栄養・社会参加の三本柱を通じて、健康寿命の延伸効果が期待されています。
そもそもフレイルって何?
フレイルには、身体的・心理/精神的・社会的といった複数の要素が含まれており、一つの要素の低下が他の要素にも影響を及ぼすという特徴があります。こうした状態は、高齢者のおよそ10%に認められ、数年以内に要介護状態へと進行する可能性が高いとされています。
運動って大切ですよね?
フレイル対策の中でも、特に重視されているのが「運動」です。筋肉は40歳頃から加齢による変化が始まり、次第に日常生活への影響が出てきます。ただし、筋肉の状態は可逆的(改善可能)であり、年齢に関わらず運動によって機能向上が期待できる点が重要です。とはいえ、運動を始めた直後にすぐ効果が現れるわけではありません。少なくとも1カ月以上の継続により、徐々に効果が確認されるようになります。
また、いわゆる「運動」だけでなく、日常生活の中には多くの“非運動性身体活動”が含まれています。たとえば、料理・洗濯・掃除などの家事では体をよく動かしますし、買い物などで外出すれば自然と歩数も増えます。運動性身体活動と非運動性身体活動の両方を組み合わせて活動量を保つことが、健康維持には重要と考えられています。
どうすれば運動を続けられます?
「身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者には1日6000歩、成人には8000歩の身体活動が推奨されています。しかし、これらは多くの人にとって高い目標でもあります。実際、統計データが整備され始めた20年前から、日本人成人の歩数は減少傾向が続いています。とりわけ近年は、インターネットの普及により、これまで以上に身体活動の維持が難しい社会となっています。運動を継続するためには、行動計画、対処計画、そして休養(休暇)計画を立てておくことが重要です。これらをうまく組み合わせることで、無理なく運動を継続することにつながります。