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広報誌「かけはし」

時評

「高額療養費制度見直し」の見送りで思うこと

健保連が昨年秋以降、高額療養費制度の見直しと高齢者の窓口自己負担割合の見直しを要望してきたところ、令和7年度政府予算案に高額療養費制度の見直しが盛り込まれた。現役世代の保険料負担の軽減を図るとともに、セーフティネットとしての役割を今後も維持していくため、3年かけて自己負担限度額の見直しや所得区分の細分化を行うというものだ。

予算組合会での報告事項に盛り込んだが、その数日前に患者団体等からの反対意見の声を受け、「厚労省は一部修正する見通し」との報道があった。組合会では、今夏に第一段階が実施されるとの資料はそのままに報道されている内容を伝え、今後も状況を見守ると締めくくった。

その後、多数回該当の負担増凍結、次年度以降の引上げ等は再検討となり、3月7日に見直し自体を一旦見送りで着地した。

近年、高度医療や高額薬剤などによる医療費増や高齢者医療拠出金の増額により健保財政が逼迫し、保険料率を引上げざるを得ない健保組合が増えている。今回の高額療養費制度の見直しは、健保組合にとって少し息つくことのできる改正になったはずだ。

一方、賃上げで増えた収入も継続する物価高騰の影響によりすぐ消えていくような中、現在治療中の加入者のことを考えると、やはり一旦見送りとなり良かったという思いもある。

当健保組合でも、保険料負担をこれ以上増やさず健保組合を存続させるため、加入者の健康維持増進を図り自助努力でなんとかできそうな生活習慣病にかかる医療費を少しでも削減しようと、知恵を絞りながら保健事業に取り組んでいる。これらの事業が実を結んで、総医療費の10%に満たない生活習慣病関連費が少々削減できたとしても、明らかに医療費が下がった状況にはならないと思う。

医療費の削減という考えよりも、人生100年時代をリタイア後もいかに長く健康で過ごせるかを自身で考え、実践できるスキルを身に付けてもらうことを主眼に保健事業を実施しようと、この原稿をしたためながら思った次第だ。本当ならば第3期データヘルス計画策定時に気づくべきであったのだろう。どうすれば、何をすれば加入者に寄り添った健保組合であり続けられるか、知恵を出し合い少しでも良い結果につなげたい。

最後に、高額療養費制度の見直しの再考について早く進めてほしい想いもあるが、きちんと議論を重ね、我々健保組合も患者さんも納得のいくものとしてほしい。

(Y・S)