新年あいさつ

健保連大阪連合会
会長
久保 俊裕
新年あけましておめでとうございます。皆様にはご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
さて、昨年を顧みますと、年初に能登半島で地震が発生、他の地域においても自然災害が多発しました。改めて、被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復興を祈念しています。
政治・社会面では、10月に行われました衆議院議員選挙を経て、11月11日に第2次石破内閣が発足しました。選挙の結果、自民党が191議席、公明党が24議席の215議席で、過半数を下回りました。与党が過半数を割り込むのは民主党政権が誕生した15年前の2009年以来となり、これからは、少数与党による極めて厳しい国会運営となることが見込まれます。「103万円の壁の引き上げ」、「教育費無償化の協議」をはじめ社会保障をめぐる諸問題等が山積する中で、政治の安定とともに、政策の行方を注視していかなければなりません。
世界に目を移しましても、為替レートが、6月には1ドル160円を超え、1990年以来、約34年ぶりの円安水準となり、物価の高騰も続き、長期化するロシアのウクライナ侵略、パレスチナ・イスラエル紛争も終わりが見えない状況が続くなど、依然として不安定な状況が続いた年でした。
スポーツ界では、オリンピック、パラリンピック、パリ大会において、日本選手団は86個のメダルを獲得しました。また、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手は、史上初となるシーズン50本塁打&50盗塁の「50-50(フィフティーフィフティー)」を達成。シーズン終了後には、満票で2年連続のリーグ最優秀選手(MVP)に選出されるなど、勇気づけられる話題があった1年でもありました。
そのような中、医療保険関係に目を移しますと、国民皆保険制度については、医療技術の進歩や高額薬剤の開発により、医療費が増大しています。今年は、団塊の世代がすべて後期高齢者となり、2040年に向けて、生産年齢人口の急激な減少と更なる高齢化が同時に進行し、高齢者医療への拠出金負担が急増することは明白です。
このことは、現役世代の保険料負担が限界に達し、健保組合の存続が危ぶまれる、極めて重大な難局に直面すると言わざるを得ません。世代間の給付と負担のアンバランスを是正して公平性を確保し、全世代で負担を分かち合う制度へ転換しなければなりません。医療費の伸びを中長期的にどう抑制するか、医療の重点化・効率化、保険者機能を発揮できる健保組合方式の維持・発展も必要となります。
今年も多くの課題が山積しています。
「従来にも増して過重な拠出金負担・医療費の増加に伴い益々厳しくなる財政状況」、「医療DXの推進」、「マイナ保険証の問題」、「高額療養費の自己負担額の引き上げや所得区分細分化の見直し」などに対応していかなければなりません。
また、新たな地域医療構想等に関する検討会等で議論されています医師偏在是正対策に対し、被用者保険関係5団体は11月に意見書を厚生労働大臣あてに提出しました。経済的インセンティブの財源に保険料を充当することは、「保険給付との関連性が乏しい使途」であり、「著しく妥当性を欠く」と訴えておりましたが、先の社会保障審議会医療保険部会で、厚生労働省から各保険者の負担について、直近の年度の診療報酬支払い実績に応じて案分し、一般保険料として徴収する予定が示されました。診療報酬上の対応や他の制度改正なども調整し、加入者の追加負担にならない方向性を検討していくとされていますので、今後も、その動向を注視することが必要です。また大きくは、健保組合の財政危機を打開し、国民皆保険制度を維持発展していけるよう健保組合の実情や改革のための具体案を、多くの人々に対して、わかりやすく説明し、改革実現に向けて取り組んでいかねばなりません。
そのためにも、健保組合と健保連が、より一層連帯を強め、全力を挙げてこの難局に立ち向かっていかなければならないと考えております。
大阪連合会は、健保連本部・各都道府県連合会・各関係団体とも十分に連携をとり、成果ある年にしたいと思います。皆様のこれまで以上のご指導、ご支援を心からお願い申し上げます。
最後に、本年も皆様がご健勝・ご多幸で活躍されることを祈念して、新年のあいさつとさせていただきます。