時評
今年を振り返って
2024年も健保組合にとっていくつかの大きな変化をともなう出来事があった。
まずは、マイナ保険証について。いよいよ今月2日より現行の健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行した。全国民が安心してマイナ保険証を使えるためには、マイナンバーと健康保険の資格情報が正しく紐づいていることが大前提となる。
これまで、資格情報の迅速かつ正確な登録に尽力し、さらにはマイナ保険証の利用促進に向けた周知・広報について、どの保険者も総力を挙げて取り組んできたことだろう。また、資格情報のお知らせや資格確認書の交付業務の追加、そのための基幹システムの変更等があったことも大きな変化である。
他には、少子化対策の強化が叫ばれる中、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が本年10月より施行された。ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化、全ての子ども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進に資する施策の実施に必要な措置を講じることが目的だ。2026年度に児童手当の拡充等に充てるための「子ども・子育て支援金制度」が創設され、健保組合は支援金等の対応を求められることになる。
医療保険の被保険者や事業主が負担する額は、26年度に6000億円、27年度に8000億円、28年度には1兆円を目安とする方針が示されており、支援金の負担が増えることで、健保組合の基盤がさらに圧迫されることは必至であろう。
話題は変わるが、筆者がすごく感動し嬉しかった出来事に話を向けたいと思う。それは、花の都パリで100年ぶりに開かれたオリンピックだ。コロナ禍により無観客での開催だった前回の東京大会にはない熱気を帯びた声援が競技会場に戻る中、日本選手団は金メダル20個、銀メダル12個、銅メダル13個、合わせて45個のメダルを獲得した。
海外開催大会として史上最多のメダル数となった。国民に勇気と感動を与える成果が続くことで、国民全体の士気を高め、健康への意識も向上させる要因となったことだろう。
2024年を振り返り、直面する変化や課題は多岐にわたるが、素晴らしい結果をもたらした日本選手団のように、我々健保組合も希望を持って未来を切り開く姿勢を忘れずに、引き続き努力を重ねていきたい。
来年もおそらく変化の多い年になるであろうが、健保組合としての役割を果たし、保険者機能を存分に発揮できるように、能動的かつ積極的に変化することを恐れず、チャレンジしていきたいと思う。
(K・F)