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広報誌「かけはし」

時評

子ども・子育て支援金制度創設に伴う健康保険法の改正

改正子ども・子育て支援法が、6月5日に可決・成立し、同月12日に公布された。健康保険法の改正では、第160条の2第1項に「子ども・子育て支援金率は、各年度において全ての保険者が納付すべき子ども・子育て支援納付金の総額を当該年度における全ての保険者が管掌する被保険者の総報酬額の総額の見込額で除した率を基礎として政令で定める率の範囲内において、保険者が定める」とある。この「保険者が定める」という文言に大変驚いた人も多いのではないか。

支援金率は実務上国が一律の率を示すという「健康保険料とは別枠」の話は、実際どうなるのか。介護納付金についても、子ども・子育て支援金と同様に説明責任を国が負うよう求めてきたが、実現するのか。改正法が公布された今でも、見通せない。一方で、支援納付金の納付義務を保険者が負うことや、滞納した場合は国税滞納処分の例により支援納付金および延滞金が徴収されることは、子ども・子育て支援法第71条の9に明確に示されている。

国会審議のなかで政府は、「支援金は、医療保険料と合わせて賦課・徴収するため、健保組合などの事務負担やコストは効率化されると考えている」「社会保障負担率という具体的なメルクマールを設け、歳出改革によって社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することを基本とする。支援金を導入しても社会保障負担率は上がらず、国民に新たな負担を求めるものではないことを約束する」としている。しかし、組合の事務負担は確実に増加する。組合員から徴収する支援金率は、健保連推計によると健康保険料率0.4%に相当する。

改正法の附帯決議に、「支援金は、医療保険料や介護保険料とは区別して支援金率が設定されることから、医療保険料等とは異なるものであることを健康保険者等に周知すること」「国が実務上一律の支援金率を示す取扱いを堅持すること」が明記された。これを足掛かりに、健保組合の事務負担に対する十分な支援について議論を進めたい。現役世代の負担軽減に向けた徹底した歳出改革を国に求めることも必要だ。

(Y・I)