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広報誌「かけはし」

時評

「日本の誇り」であり続けるために

待ち遠しかった日本のプロ野球が開幕して、すでに2カ月が経った。新型コロナウイルス感染症が昨年、5類感染症に移行されて初めてのプロ野球の開幕であり、野球以外の国内スポーツイベントについてもコロナ禍前とほぼ同様に開催されつつあり、胸が躍る。時を同じくして、米国メジャーリーグも開幕。ドジャースの大谷翔平選手が日本人のメジャー通算最多本塁打を放ち、ナショナルリーグの複数の打撃部門成績トップに立つなど、期待どおりの活躍を見せてくれている。まさに「日本の誇り」である。

さて、日本の誇りと言えば「国民皆保険制度」もその1つである。しかし、昨今の少子高齢化社会において、そう遠くない将来、この当たり前の制度が破綻はたんする可能性がある。国民皆保険制度の主な特徴に次の3つが挙げられる。

①国民全員を公的医療保険で保障

②医療機関を自由に選べる

③少ない個人負担で高度な医療――。

この制度を維持していくためには、高齢者医療を含めた医療保険制度全体の収支が健全であることが求められる。

高齢者医療制度を支える仕組みは、高齢者自身の保険料、公費および現役世代からの支援金である。現役世代は保険料の半分近くを高齢者医療制度へ拠出している。高齢者医療費の増加とともにこの拠出が増すことで、現役世代の保険料率の引き上げという形で賄わざるを得ないのが実情だ。

しかしながら、健康保険組合ではそう簡単に保険料率を引き上げるわけにはいかない。事業運営の適正化に取り組みながら、事業や施策を切り詰めるといった自助努力を行ったうえで、それでも財政状況が厳しい場合に、最後の手段としてやむを得ず保険料率を引き上げる。  

日頃から、扶養認定・抹消の申請や傷病手当金、療養費の請求に対する審査強化など、身を粉にして支出抑制を図っている。それでも前期高齢者納付金や後期高齢者支援金の巨額な拠出の前では霞んでしまうという現状は、どうにかならないものか。  

国民皆保険制度が日本の誇りであり続けるために、医療保険制度全体の財源構成の見直しが必要だ。そして、我々健保組合は、財政健全化に向け、ありとあらゆる手段を講じた自助努力がうまく実を結ぶ仕組みづくりを推し進め、実現していかなければならない。そう、切に思うのである。

(M・O)