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広報誌「かけはし」

時評

財政危機が増す中で

朝食をとりながら新聞を読むことが、毎朝のスタート。時間がない中でも、スーパーや家電のチラシは見てしまう。しかし、2023年は記録的な「値上げラッシュ」の1年で、多くの飲食料品等が値上げされ、値上げ前の価格と変わらない品物に「特売」「値下げ」の文字が付けられたチラシに魅力を感じなくなった。

総務省が公表した23年平均の全国消費者物価指数は、総合指数が105.2と前年比3.1%上昇し、1982年に並ぶ41年ぶりの高い伸びとなった。直近では、24年2月に主要な食品メーカーにおける家庭用を中心とした1626品目の飲食料品が値上げとなり、4月以降も値上げされる商品が各社から発表されている。さらに、郵便料金の30年ぶりの値上げも発表されている。

そうした中、24年の春闘がスタートした。昨年、連合が公表した23年春闘の最終回答集計結果では、賃上げ率は平均で3.58%で、率では1993年以来30年ぶりの高さとなった。賃金の引き上げ額は、定期昇給分とベースアップ相当分とを合わせて平均で月額1万560円と、前年と比べて4556円高くなったとしている。

しかしながら、実質賃金は今年1月分まで22カ月マイナスが続いている。連合などは24年春闘を「昨年を上回る賃上げを」「+5%以上」(定期昇給分2%+ベースアップ3%以上)とし、経団連も物価上昇に負けない構造的な賃上げの継続を目指すとした。実際の労使交渉では、労働組合側の昨年を超える要求に対し、満額回答した企業が相次いだ。

さて、当組合においては、2月の組合会で承認いただいた24年度予算は、これまでにない厳しい内容となった。保険料収入は、こうした賃上げを背景に対前年度比で増加を見込むも、物価上昇の影響や保険給付費および高齢者等拠出金の増加で、23年度予算の赤字を上回る見通しだ。  

当組合は別途積立金からの繰り入れにより対応することとしているが、同様の対応や保険料率の引き上げを行う組合も少なくないと思われる。健康保険組合の財政状況は、高齢化のピークを迎えるであろう2040年に向け、一層厳しさを増し、このままでは健保組合の存続が危ぶまれるとの見方もされている。ぽつぽつと組合員や職員から先行き不安の声もあり、健保組合離れも危惧されるところだ。  

財政危機を乗り越え、国民皆保険制度を維持発展していけるよう、引き続き健保連に結集し、健保組合の主張、必要性を内外にアピールしていくことが大切だ。  

(Y・I)