健保問答
第519回
Q
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「年収の壁・支援強化パッケージ」とはどのような内容で、健康保険組合にはどのような影響があるのでしょうか。
A
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106万円・130万円の年収の壁を意識せず、パートやアルバイトの方が働けるように促進する制度です。このパッケージでは、事業主が短時間労働者に社会保険を適用させる際に、労働者の収入を増加させる取り組みを行う場合に助成金を支給するものです。
一方、健保組合では、一時的に収入が増加し、直近の収入に基づく年収の見込みが130万円以上となる場合でも、直ちに被扶養者認定を取り消すのではなく、総合的に将来収入の見込みを判断することとなりました。具体的には、人手不足による残業の発生など一時的な収入変動である旨を事業主が証明する書類を、本人を扶養する配偶者(被保険者)が加入する健保組合(協会けんぽの場合は日本年金機構)に提出することで、年収が130万円以上となっても引き続き被扶養者として認定する運用となります。ただし、この時の証明書は、厚生労働省が指定した様式を使用する必要があります。
このように、「年収の壁・支援強化パッケージ」は、健保組合に対して、被扶養者の認定基準をより柔軟に適用することを求めています。一時的な収入増加による社会保険料の負担増を避け、労働者が安心して働ける環境を整備することを目指しています。
ただし、あくまでも暫定的な措置で、被扶養者認定に関しては同一の者について原則として連続2回までが上限となっています。