10月の理事会から
10月4日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。
1.中央情勢
(1)政府等の動向
いわゆる「年収の壁」への当面の対応について。
岸田内閣総理大臣が、9月25日の記者会見にて、若い世代の所得向上や人手不足への対応の観点から、「年収の壁」支援強化パッケージを決定し、10月から実施すると発言。現在、社会保険料の負担が発生しないように年収を調整している方への対応である。
まず、106万円の壁については、キャリアアップ助成金として労働者の収入増への取り組みを行った事業主に対して、労働者1人当たり最大50万円を支援する。社会保険適用促進手当として支給する場合も対象とし、被保険者の標準報酬の算定において考慮しないとした。
130万円の壁への対応としては、例えば、労働時間の延長等に伴う一時的な収入変動の場合、事業主の証明の添付による迅速な判断を可能とする。
また、配偶者手当への対応として、企業の配偶者手当により年収106万円、130万円を超えるために支給されない場合には、その見直しの促進を図る。
(2)医療費の動向
2023年6月における被用者保険1人当たり医療費は、対前年度比7.07%増。健保組合1人当たりは同7.90%増となり、非常に高い伸び率を継続している。また、2022年度の診療科別にみると、小児科が同30.2%増、産婦人科が同41.7%増と、特に顕著な伸びとなっている。
(3)健保組合全国大会
10月25日(水)に開催。テーマは「将来世代が希望を持てる制度へ! 医療DXを推進し、改革実現と健保組合のさらなる機能強化を」。スローガンは「社会情勢の変化を見据え、全世代で支え合う制度へ」「医療DXを推進し、国民の健康と安心を確保」「安全・安心で効果的・効率的な医療提供体制の構築」「保険者機能の推進による健保組合の価値向上」の4点。
(4)経済団体との意見交換
健保連の主張を実現するため、経済団体との意見交換を行っている。9月21日には、「医療分野における当面の重要課題」について、経団連と意見交換を行った。10月には経済同友会と、「健保組合の財政状況と今後の見通し」について意見交換を行う予定。
(5)診療報酬改定の基本方針
2024年度の改定に向けて、中医協において人口動態や社会情勢の変化、医療提供体制改革等を踏まえて検討される。
また、新聞報道にもあるように、アルツハイマー病の薬「レカネマブ」が承認された。市場規模は1500億円を超える可能性がある。
(6)少子化対策への対応方針
健保連の現時点における対応方針として、
①出産費用の保険適用については、出産費用の「見える化」を着実に実行し、透明性・公平性を担保すること。加えて、自己負担3割、対象となる分娩の範囲、選定療養の取り扱いなど適切な保険適用範囲等の設定を求める。
②財源については、全世代で拠出すること。一般・介護とは別勘定とし、拠出額を明確にすること。被用者保険一律の負担割合を設定し、説明責任を国が負うこと―を求める。
2.本部委員会報告
(1)保険者機能推進委員会
10月3日に開催。女性の健康、少子化、ロコモ対策、PHRを含むICTの活用、かかりつけ医を含む医療者との連携について検討している。また、2024年度の集合契約等への対応についても協議した。
(2)交付金交付事業委員会
10月4日に開催。交付金申請における準備金の保有状況に制限をつけることや、組合財政支援交付金基準の見直しなどを審議した。また、高額レセプト上位および直近の高額医薬品の保険収載状況について説明があった。
3.大阪連合会活動
(1)各種委員会報告
9月20日に広報委員会を開催。かけはし10月号の編集概要について報告があった。9月19日に組合業務委員会、同20日に医療給付委員会、同27日に総合組合委員会、10月2日に保健共同事業委員会をそれぞれ開催。今年度事業の進捗状況と、今後の事業について報告があった。
(2)報告事項等
川隅専務理事から、次の5点について報告があった。
①先月の理事会終了後に実施した「時局講演会」への参加のお礼(講演内容は「かけはし」10月号に掲載)
②10月25日(水)、健保組合全国大会を開催。皆様のご協力により、たくさんの方に出席いただける状況となった。大会終了後には、国会議員への要請も予定している
③10月31日(火)に、近畿ブロックにおける「第3期データヘルス計画、第4期特定健診・特定保健指導グループディスカッション」が開催
④11月21日(火)、大阪府の各市町村における国民健康保険運営協議会委員に就任いただいている方を対象に、研修会を開催予定
⑤12月6日(水)、理事会終了後に「あしたの健保組合を考える大会 PART7」を開催予定。