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広報誌「かけはし」

時評

「マイナ保険証」への期待
~現行の健康保険証廃止に思う~

マイナンバーカードを健康保険証として使えるよう登録する「マイナ保険証」は、2021年から本格的に導入が始まり、本年7月末の時点でマイナンバーカード保有者の約7割が登録をしています。マイナ保険証の一層の普及を進めるため、国は、従来の健康保険証を2024年秋ごろに原則廃止することを決めました。

しかしながら、別人の情報が紐づけられるなどのトラブルが相次ぎ、マイナンバーカードを保有していない、または、保有していても健康保険証登録をしていない者が円滑に医療を受けられるのかなどの不安から、廃止の延期を求める声が出ています。

岸田首相は8月4日の記者会見で、情報の紐づけ誤りについては、総点検を実施すること、マイナ保険証を保有しない者については、申請によらず、いわゆるプッシュ式で「資格確認書」を全員に交付する対応を表明しました。

また、政府の「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会(議長・河野太郎デジタル相)」は8月8日に最終とりまとめを公表。国民の不安を払拭するため、来年秋までにデータの総点検と修正作業、医療現場での負担の扱いなど窓口対応の円滑化、マイナンバーカードや資格確認書の取り扱い環境の整備などの措置を完了させていくとしました。

マイナ保険証導入のメリットは様々言われています。主なものとして、健保組合等保険者としては、「健康保険証、限度額適用認定証等の各種証発行に係る事務手続き、コストが軽減される」。医療機関等としては、「本人確認と資格の確認を一度にでき、過誤請求等が減ってコストが削減できる」。加入者にとっては、「薬剤情報や健診情報などを医療機関で共有することが容易になり、効率的でより良い医療の提供を受けられる」「転職・転居等による保険証の切り替えや更新が不要になる」などが考えられます。このメリットが国民、医療関係者、我々保険者などに広く理解されることがマイナ保険証の普及にとっては重要です。

今後、我々健保組合等保険者には、正確で迅速なデータ登録が課題として求められることになります。それを確実に実施していくことはもちろんですが、国としても、「全件J-LISチェック」の進め方や資格確認書、資格取得時などに交付が考えられている「資格情報のお知らせ」の運用などについて、保険者の事務負担が軽減されるようにしっかり検討して、早期にその詳細について示してもらいたいと思います。

これまで、業務関係の部署を担当し、たくさんの健康保険証の発行にも携わってきました。健康保険組合のいわば“顔”ともいうべき健康保険証を廃止してまで、保険証機能が一本化されるマイナ保険証には、それを使う多くの人々、医療機関、保険者らにとって最大限にそのメリットを享受できるよう、しっかり機能を発揮して活躍してくれることを期待します。

(S・F)