令和5年度 第1回 大阪連合会総会

健保連大阪連合会は8月2日、大阪市北区のホテルモントレ大阪で令和5年度第1回総会を開催した。出席組合136組合、委任状提出38組合、合計174組合が参加した。
議事に先立ち、久保俊裕会長からあいさつがあった。
久保会長あいさつ要旨

久保俊裕
大阪連合会会長
健保組合の財政は、新型コロナ感染の影響を含め、医療費の増加や高齢者医療への拠出金とあわせて大変厳しい状況である。今年度予算では、大阪165組合の約8割に当たる133組合が赤字であり、その額は約596億円となっている。
このようななか、5月に参議院本会議において可決した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための改正健保法」では、来年度から後期高齢者負担率の見直しにより後期高齢者支援金の増加が抑制される。その一方で、前期高齢者納付金の一部において3分の1の報酬調整が導入された。
健保連では「令和6年度政府予算概算要求に向けた個別要望事項」をまとめ、厚労省保険局長あてに要望書を提出した。過重な拠出金負担などで健保組合財政は極めて厳しい状況にあると指摘し、今年度の緊急的な予算対応とともに、財政支援・負担軽減措置を強く要望した。
6月には「こども未来戦略方針」「骨太の方針2023」などが閣議決定された。経済・財政一体改革を着実に推進することや、これまで以上の歳出改革努力を継続することなどが示された。国民が安心できる安全で効率的な医療が実現できるか、現役世代に過度な負担にならないような仕組みとなるか、今後、注視していく必要がある。
また、マイナンバーカードと保険証の一体化では、健保組合の皆様には、加入者情報等の自主点検作業にご尽力いただき、厚くお礼を申し上げるとともに、引き続き、正確なデータ登録へのご協力をお願いする。
今後は、年末に向けた予算編成の時機を視野に入れ、我々の主張をより多くの人に理解していただけるよう、さらに取り組みを進めていくため、どうかご協力をお願いしたい。
続いて、来賓として出席された近畿厚生局の山本道寛保険課長からあいさつがあった。
山本保険課長あいさつ要旨

山本道寛
保険課長
皆様方には、日頃から健康保険制度の円滑な事業運営に対し、一方ならぬご尽力を賜り、この場をお借りして厚くお礼申し上げる。
本人のものと異なるマイナンバーが中間サーバーに登録される事案の発生について、厚労省としては、加入者の安心と制度の信頼回復に努めるため、また同様の事案を起こさないため、登録データの正確性を高めることが必要と考える。新たなデータ登録が誤った情報と紐づけられないための対応のほか、既存の登録情報が正確に登録されているかを徹底して確認していく必要があり、健保組合の皆様にもご協力いただきながら、国と保険者が一体となって取り組みを進めることが重要と考えている。
被保険者にデータ登録状況を知らせる仕組みの整備として、2つの協力依頼について厚労省保険課長から通知が発出されている。一つ目は、対応可能な保険者から順次、被保険者証の交付時に中間サーバーへの登録状況を被保険者に知らせていただけないか。二つ目は、加入者に対し、マイナンバーカードによる受診のメリットと併せて、受診前にマイナポータルで資格情報を確認の上、積極的なオンライン資格確認の利用を周知すること。
これまで、マイナンバーに関し、忙しい中、色々な作業をしていただいているところだが、引き続き、ご理解とご協力を賜りたくお願い申し上げる。
総会では、規約の定めにより久保会長が議長となり、議事録署名者にパルグループ健康保険組合、大阪金属問屋健康保険組合を指名した。
議事に入り、議案第1号から第5号までの審議を行った。
議案第1号
大阪連合会令和4年度 事業報告
議案第2号
大阪連合会令和4年度 収入支出決算
議案第3号
大阪連合会令和4年度 収入支出決算残金処分
以上、議案第1号から議案第3号までの3議案を一括提案し、事務局から各議案を詳細に説明。監事組合を代表して髙島屋健康保険組合から監査結果を報告。質疑・異議の有無を確認し、異議なく承認された。
議案第4号
大阪連合会令和4年度 被用者保険運営円滑化 推進事業報告
議案第5号
大阪連合会令和4年度 被用者保険運営円滑化 推進事業収入支出決算
以上、議案第4号と議案第5号を一括提案し、事務局から説明。異議なく承認された。
また、来賓として健保連本部の河本滋史専務理事が出席した。
総会終了後には、河本専務理事による中央情勢報告に加え、社会保険診療報酬支払基金 近畿審査事務センターの藤田浩史センター長から「新しい組織体制の確立に向けた取組」について説明があった。
河本専務理事中央情勢報告要旨

河本滋史
健保連専務理事
1点目は「健康保険法等の改正」。その概要として
①こども・子育て支援の拡充
②高齢者医療制度の見直し
③医療保険制度の基盤強化等
④医療・介護の連携機能および提供体制等の基盤強化
―が挙げられ、多岐にわたる報告を織り込んだ束ね法案となった。
2点目は、「2023年度健保組合の予算早期集計」。経常収支は5623億円の赤字で、組合全体の約8割が赤字を計上している。高齢者医療への拠出金は対前年度比7.3%増で、特に後期高齢者支援金は同9.9%増となった。保険給付費も、2475億円(同5.5%)増となり、新型コロナの第7波、8波の影響もあり極めて高い伸びである。保険料収入は同2.8%の増加であるが、2019年度決算と比べると依然として低い水準である。2024年度以降、高齢者医療拠出金が毎年増加するなかで、賃金引き上げによる保険料収入への効果が予測しにくく、今後の財政影響が懸念される。
3点目は、「マイナンバーカードと保険証の一体化」。ここ数ヵ月、マイナンバーカード関連では、政治やマスコミを賑わせている。しかし、そもそもマイナ保険証での受診は、国民にとってもメリットがあり、しっかりとPRしていくことが極めて重要である。6月2日に可決・成立したマイナンバー法等の一部改正法の概要は、保険証の廃止が明記されたり、利用範囲の拡大や戸籍等の記載事項に氏名のフリガナを追加したりするなどが規定されている。マイナンバーの誤登録や紐付け誤りなどが生じているなかで、登録データの正確性の確保の観点から、
①5情報によって照会を行うなど、新規登録誤りの発生防止
②登録済みデータの点検として、全保険者による点検と国による登録データ全体のチェック
―を行う。2024年秋に向けたロードマップとして、8月以降、順次、登録データ全体のチェックが始まり、データの抽出について、現在厚労省と検討中である。8月末、9月初旬にはお示ししたい。
4点目は、「保険者機能の強化」。4月に発表された我が国の将来推計人口において、2043年には65歳以上が約4000万人とピークになる一方、56年には総人口が1億人を割る見込み。こうした状況のもと、健保組合の保険者機能の発揮、あるいは保健事業の展開は、健康寿命の延伸、支える側を増やして社会保障制度、医療保険制度の持続可能性を高めていく上で不可欠な取り組みである。
そして5点目、「今後の動き」。あくまでも現時点での想定であるが、8月末に次年度の概算要求が締め切られる。これに向けて政治への対応を行っていく。9月以降、年末に向けて色々な検討が進むが、こども未来戦略方針における少子化対策の財源については、留意する必要がある。加えて、介護保険の給付と負担の見直しや、かかりつけ医機能の制度整備に向けた検討など、それぞれ進められていく。
藤田センター長説明要旨

藤田浩史
センター長
今年度は、支払基金の支部集約後の本格稼働に向け、統一的なテーマの取り組み事項をまとめた。新組織の安定稼働に向けた基本的な方針は、新生支払基金を本格稼働させるための方針として、差異解消に向けた一体感の醸成、組織目標達成のための底上げ、組織体制の最適化に変更した。
集約当初は、各府県出身者の自己主張が強く、なかなか相容れない部分があったが、組織風土改革により、現在は相手を尊重し、協力し合い業務に取り組んでいる。その効果が審査実績の目標に対する姿勢にも影響し、徐々に向上している状況である。
数値目標達成に向けた取り組みとして、
①担当者ごとにPDCA管理ツールにより数値実績を管理し、課題の把握や審査事務後の検証を毎月実施
②毎月の実績を本部で分析し、数値の低下が継続したことなどの詳細な要因分析や対応策の策定を本部から指示
③実績における要因分析や具体的な対応策を策定する目標達成会議を毎月実施
④本部役員を交えたブロックごとの幹部会議を毎月実施
―を行っている。その結果、各項目において改善が図られている。
また、人材育成の一環として、キャリアパス制度の本格実施も予定している。
そのほかに、医療機関等から直接担当職員へ照会できるダイレクトレスポンス機能を設置しており、医療機関等からは高評価いただいている。
支払基金改革はまだまだ道半ばであり、今後、保険者をはじめ、関係団体の方々にさらに信頼していただける組織でありたいと考えており、今後ともよろしくお願い申し上げる。
事業報告の概要
1.健康保険組合をめぐる情勢
(1)医療保険制度等に関する主な動き
医療保険制度を取り巻く諸情勢と健保連の対応
健保連は令和4年5月11日、「令和5年度政府予算概算要求に向けた個別要望事項」をまとめ、厚生労働省保険局長あてに提出した。健保組合の財政は、10年以上にわたる過重な拠出金負担により、極めて厳しい財政状況を強いられ、解散を余儀なくされる健保組合が続出しかねない危機的状況にあり、令和5年度に向けては、団塊の世代が後期高齢者となる影響で、拠出金負担の急増が見込まれていると訴え、健保組合に対する財政支援措置を強く要望した。
令和4年6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針2022)」が経済財政諮問会議での答申を経て、臨時閣議で決定された。持続可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取り組み方針をあげ、短期と中長期の整合性を確保した経済財政運営と令和5年度予算編成の考え方を示した。社会保障については、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引き上げなど負担能力に応じた負担の在り方の検討、かかりつけ医機能が発揮される整備等、令和5年4月からオンライン資格確認の導入の義務づけ、健康保険証の原則廃止など改革の方向性を明示した。
厚生労働省は令和5年1月23日に開会した通常国会に、高齢者の医療の確保に関する法律、介護保険法、医療法などの改正を含む「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」を提出した。この改正案の主な内容は、
▽出産育児一時金の費用を後期高齢者医療制度でも支援する仕組みの創設
▽後期高齢者1人当たりの保険料と現役世代の1人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じとなるような見直し
▽医療費適正化計画の実効性確保
▽かかりつけ医機能の制度整備
―などである。
令和5年3月7日、政府は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案 」を閣議決定し、国会に提出した。改正の柱である、マイナンバーカードと健康保険証の一体化では、健康保険証を廃止(医療保険各法施行規則(省令)の改正)するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者が、必要な保険診療等を受けられるよう、本人からの求めに応じて保険者が「資格確認書」を提供する仕組みを医療保険各法に法定化するとした。
令和5年3月28日の参議院本会議で、一般会計総額が114兆3812億円の令和5年度予算が可決、成立した。社会保障関係費は、36兆8889億円と昨年度より6154億円増加となり過去最大となった。健保組合関係助成費は、高齢者医療支援金等負担金助成事業など拠出金負担増を軽減するための財政支援が820.4億円、短時間労働者適用拡大に係る財政支援で10.4億円計上された。なお、出産育児一時金の引き上げに伴う健保組合への財政支援として、令和5年度に限って40.6億円の補助が決定された。
(2)健保組合・健保連関連の主な動き
①健保組合全国大会(10月18日)を開催
東京国際フォーラムで「―健康保険法制定100年― これからも健康を支え、皆保険を守る健保組合であるために」をテーマによる健保組合全国大会を開催した。大会では、
①現役世代の負担軽減、全世代で支え合う制度への転換
②国民が身近で信頼できる「かかりつけ医」の推進
③オンライン資格確認などICT化の推進による医療の効率化・質の向上
④健康寿命の延伸に向けた保健事業の更なる推進を決議し、宮永健保連会長から伊佐厚生労働副大臣に大会決議の実現を要請した。
②健康経営優良法人認定
令和5年3月9日、経済産業省は「健康経営アワード2023」を開催し、健康経営優良法人認定法人等を発表した。「大規模法人部門(ホワイト500を含む)」で2676法人、「中小規模法人部門(ブライト500を含む)」で1万4012法人が認定された。認定にあたっては、保険者と連携した健康経営の実践が重視されており、今回は、健保組合も全国で139組合が認定された。企業における健康づくりへの重要性が高まり、保険者と企業の健康づくりへのコラボが推進され、健康に対する意識の向上が期待される。
(3)健保組合の状況
健保組合数は、令和4年4月1日現在、1387組合となっている。健保組合数はピーク時より437組合減少しており、財政状況の厳しさを如実に表している。令和5年4月1日は7組合減の1380組合であった。
2.大阪連合会の事業活動概要
令和4年度も、新型コロナウイルスは変異を繰り返し収束することはなかった。大阪連合会では、新型コロナウイルスの感染拡大防止を図りながら、事業活動を実施した。
総会や研修会も集合方式で開催することができ、令和4年度を通して理事会、各委員会で時宜に応じた活発な論議をはじめ、円滑な事業運営に資するための各種事業を実施した。特に、現役世代の負担軽減と全世代で支え合う制度への転換については、関係各方面に理解と支援を強く要請した。
(1)広報活動(広報委員会関係)
広報誌「かけはし」およびホームページを通して、高齢者医療制度改革、医療費適正化関係情報、健康づくり情報など、健保組合をめぐる情勢および健保連の考え方や各種情報を掲載するとともに、大阪連合会の総会・理事会・委員会・地区会活動など、主要な事業の広報活動に努めた。
(2)組合業務支援活動(組合業務委員会関係)
健保組合役職員の資質向上と連帯感の醸成のため、事務長・中堅職員等研修会、組合業務別実務講習会、個人情報保護研修会、後発医薬品に関する講習会、情報セキュリティ講習会、パソコン研修会を開催した。
(3)医療費適正化対策活動(医療給付委員会関係)
求償事務研修会、療養費適正化講習会やレセプト相談・法律相談等の諸事業を実施した。医療費適正化対策の推進を図り、会員組合の財政健全化を支援した。また、支払基金との事務連絡協議会を通じて、審査等における問題点の是正を要請した。
(4)健康開発共同事業推進活動(保健共同事業委員会関係)
生活習慣病の予防と医療費、メンタルヘルス対策等をテーマに健康教育を実施した。また、保養施設の共同利用の契約、プール施設・アイススケート施設・運動施設の割引利用券の斡旋、各種イベントの後援等、多方面での活動を行った。保健師活動では、健保組合における特定保健指導を支援するとともに、保健師連絡協議会での保健活動を支援した。
(5)総合組合活動(総合組合委員会関係)
総合組合の運営に資するため、特定健診の受診状況や財政状況分析、健康経営、健康保険法等の一部改正内容など調査・研究し、有効活用を図った。
令和4年度 大阪連合会収入支出決算概要


