健康セミナー(オンデマンド配信)
4月27日~5月31日、健康セミナーについてオンデマンドにて講演動画を配信。京都先端科学大学 健康医療学部 健康スポーツ学科 准教授 新野弘美氏が「筋も血管も若返り「バスキュラー・ストレッチ」」をテーマに講演されました。(以下に講演要旨)
筋も血管も若返り「バスキュラー・ストレッチ」

新野 弘美 氏
広報誌「かけはし」をご覧の皆様、日頃から運動はされていますか? 運動となると気が張るかもしれませんね。では、身体活動はいかがでしょうか。今回、動画において配信したのが“バスキュラー・ストレッチ”です。聞き慣れない単語かと思います。実は、人を対象とした介入研究の結果から後付けした造語です。
ストレッチングは、意図的に筋や関節を伸ばす運動です。体の柔軟性を高めるのに効果的であり、準備運動や整理運動の一要素として活用されています。ヨガやピラティス等もこの運動の範疇に含まれます。柔軟性は体の柔らかさを表す体力の一要素であり、一般的にROM(range of motion:関節可動範囲)や座位体前屈などで評価されています。柔軟性は他の体力要素と違った特徴を有しています。それは、ほぼ全ての世代にわたって男性よりも女性の方が優れているという点です。
ストレッチングにより柔軟性が増す理由は、筋の伸張反射の感受性が低下することと、筋や靭帯の弾性要素が組織化学的変化を起こすことが要因です。また、ストレッチングは2~3メッツの強度(日常生活では料理・洗濯・掃除等が同強度)でありますので、筋温や体温を高める効果があります。これらが柔軟性の向上やウォーミングアップ効果と関連しています。これらの効果に加えて、研究から血管が柔らかくなることもわかってきました。ストレッチングを継続施行することによる抗動脈硬化の運動として期待できます。そのメカニズムは、ストレッチングをすることで筋が伸ばされます。と同時に、血管も伸ばされていることも私の研究で証明しました。伸ばされるという機械的な刺激により、血管の内側にある血管内皮細胞が活性化し、NO(nitric oxide:一酸化窒素)等が分泌され、血管が柔らかくなり動脈硬化度への影響がみられます。さらには、リラクゼーションの効果も明らかとなってきました。
運動には、ウオーキング・ジョギング・水泳等の有酸素運動、筋トレと言われているレジスタンス運動もあり、継続的に施行することでそれぞれの運動効果が期待できます。しかしながら、体力や関節に問題がある場合、運動方法や施設の問題等も考えられます。特別な道具が不要で、ご自身のライフスタイルに合わせてストレッチングを施行してください。
実施上のポイントは、次に示す通りです。動画は、姿勢別(立位・椅座位・座位&臥位)に全身のストレッチングができるようにプログラムしました。一つのプログラムを通して施行するも良し、細切れにて施行するも良しです。筋がストレッチされることで柔軟性が向上し、血管も若返るご自身をイメージしながらストレッチングを継続してみてください。
- ストレッチングの部位を意識する
- ストレッチングの時間は1部位15~30秒
- ストレッチングの頻度はできるだけ毎日
- ストレッチングの強度はややきつい感覚