5月の理事会から
5月17日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。
1.中央情勢
(1)国会の動向
「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」が4月13日に衆議院で可決。5月11日に参議院の厚生労働委員会で可決。翌12日に参議院で可決・成立となった。また、参議院の厚生労働委員会においては、高齢者拠出金の増大等により、特に財政状況が厳しい健保組合に対する継続的な財政支援を行うなどの附帯決議が付された。
可決・成立を受け、健保連の宮永会長は「われわれが主張してきた現役世代の負担軽減を踏まえた内容となっており、全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築を見据えたものとして評価したい」とのコメントを出した。
(2)令和国民会議(令和臨調)の社会保障関係提言
4月25日に次のような提言が出された。
①はじめに―公正・持続・効率の3原則―
②多様な生き方・働き方を選択できる環境をつくる
③平時から信頼でき緊急時に機能する医療・介護提供体制をつくる
(3)日本経済団体連合会の主張
サステイナブルな資本主義に向けた好循環の実現~分厚い中間層の形成に向けた検討会議・報告~との概要を発表。マクロ経済政策、社会保障・税制、労働政策の3つが大きな柱であり、部分的な改革ではなく、全体感を持って取り組む必要があるとした。
(4)経済財政諮問会議、財政審
改革工程表2022のなかで進捗が見られない事項、早急に実現すべき重要課題として、
①地域医療構想の実現
②薬剤自己負担の引き上げ
③介護の多床室室料に関する給付のあり方
④医療・介護における現役並み所得等の判断基準の見直し
⑤介護保険の1号保険料負担のあり方―について指摘されている。
財政審においては、少子化総論として、女性のキャリアと家庭の両立性が出生率向上の要因であり
①父親の参画
②母親の就労に関する社会意識
③柔軟な労働市場
④子育て支援政策
―が重要と指摘。
(5)医療費の動向
2023年2月について、被用者保険計1人当たり医療費は、対前年度比10.68%増、健保組合1人当たりは同10.37%増と大きな伸び。コロナ医療費は、2022年4月~2月の累計で6902億9000万円となった。
2022年12月の入院の対前年度補正後伸び率は3.6%減、入院外は8.9%増となり、大きなギャップが見られる。同月の診療科別にみると、小児科は対前年度比51.5%増、産婦人科は39.7%増、耳鼻咽喉科が31.3%増となり、特に大きな伸びとなっている。
(6)マイナンバーカードと保険証の一体化に向けた今後の取り組み
健保連は、実態調査結果も踏まえ、今後は資格確認書の発行やJ-LIS照会費用などを当面の課題と捉えて検討していく。
今後の方針としては、関係各所と連携・調整を図りながら、一体化に向けて健保組合の業務に支障が生じないよう必要な働きかけを行っていく。
(7)マスコミ対応
4月20日、健保連は2023年度予算早期集計結果について記者会見を実施。マスコミに大きく取り上げられた。また、あるビジネス誌においては、厳しい財政状況のなかで試行錯誤する健保組合の姿を通じて、あるべき社会保障のあり方を探る、といった特集記事が掲載される予定。
2.本部委員会報告
(1)ICT委員会
4月24日に開催。議題は
①省令改正等の対応について
②マイナンバーカードと健康保険証の一体化導入に向けた今後の取り組みについて(実態・意向調査、リーフレット、当面のスケジュール)
3.大阪連合会活動
(1)各種委員会報告
広報委員会を4月13日に開催し、かけはし5月号の編集概要と、今後の事業について報告された。
また、医療給付委員会を4月20日に、組合業務委員会と総合組合委員会を4月27日に、保健共同事業委員会を5月10日にそれぞれ開催した。委員会所管の各種研修会の開催など、2023年度の今後の事業について検討した。
(2)報告事項等
川隅専務理事から、次の4点について報告があった。
①大阪連合会管内165健保組合の2023年度予算概要について。全国版と比較し、対前年度の動きはほぼ同じ傾向。赤字組合数が133組合、80.6%。保険料収入も伸びているが、それ以上に保険給付費と高齢者拠出金が大幅な増加となった。
②2022年度の健保組合実地指導監査結果について。口頭や文書での指摘事項など、本年度対象となる組合においては参考にしていただきたい。
③マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する実態調査について。
④8月2日に大阪連合会の決算総会を開催予定。あわせて、永年勤続者表彰式も予定している。