健保組合(全国)の2021年度決算見込み
経常収支は825億円の赤字
―赤字組合は5割を超え、赤字総額2750億円―
健保連は10月6日、全国1388健保組合の2021年度決算見込みを発表した。経常収支は825億円の赤字となり、8年ぶりに赤字決算となった。また、赤字組合は全体の5割を超えており、その赤字総額は2750億円にものぼり、健保組合財政は依然厳しい状況が続いている。
2021年度決算見込み(1388組合)
2021年度健保組合決算見込みは、全国1388健保組合の決算状況を集計したもの。それによると、経常収支は825億円の赤字。2013年度以来8年ぶりに赤字となった。また、5割を超える組合が赤字、赤字総額は2750億円である。
保険料収入は前年度比810億円(1.0%)増。標準報酬は、月額0.3%増、賞与額2.9%増と、前年度に比べ回復基調にあるものの、新型コロナ感染拡大前の2019年度決算と比べ、月額0.2%減、賞与額1.6%減と、依然として低いままである。
一方、保険給付費は前年度比3408億円(8.7%)増、高齢者等拠出金は同1057億円(3.0%)増と、保険料収入の伸びを大きく上回るペースで増加している。
平均保険料率は0.01ポイント増の9.23%。収支均衡に必要な財源を賄うための実質保険料率は0.45ポイント増加し9.35%となった。
保健事業費は、前年度比248億円(7.2%)増の3698億円。対2019年度決算比では1.9%の伸び。
経常収支は、2020年度の新型コロナの影響を受けた
▽繊維製品製造業
▽飲食用品小売業
▽運輸業
▽宿泊業、飲食サービス業
▽生活関連サービス業、娯楽業
―等でさらに悪化。
介護保険料率は、前年度比0.08ポイント増の1.77%。被保険者1人当たり介護納付金額は、前年度比1561円(1.42%)増の11万1456円。

今後の財政見通し(健保連推計)
2022年度は、一時的な高齢者拠出金の精算戻り等の支出減により、収支が一時的に改善することも見込まれるが、7月以降、外来医療費が予想を大きく上回る勢いで伸びており、今後の動向を慎重に見極める必要がある。
2023年度は、75歳に到達する団塊世代の増加により、拠出金は2700億円(対2022年度比7.9%)増と急激に増加。収支は1700億円減と再び赤字に転じ、2023年度以降、毎年増加する拠出金により、さらなる財政悪化が見込まれる。
