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広報誌「かけはし」

時評

どうなる? オンライン資格確認

来年の4月1日に原則義務化されるオンライン資格確認導入について、関連通知の発出や療養担当規則の改正など、着々と準備が進んでいる。

一方、以前からの課題として、医療機関等の導入準備の進み具合が芳しくない。10月30日時点では、全体23万0000施設のうち、カードリーダーの申し込み数は19万7089施設(85.7%)、準備完了施設数は9万0033施設(39.1%)、そして肝心の運用開始施設数は7万5095施設(32.7%)となっている。

政府が目標としていた9月末時点で概ね5割の施設での導入は達成されなかった。そして、今年度中に概ね全ての施設での導入という目標の達成も、今のままでは難しそうだ。ただ、導入促進の動きも活発化しているため、今後に期待したい。

また、今年度の診療報酬改定において、マイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として利用した際に、患者の負担が従来の保険証を利用した場合に比べて大きくなることも物議を醸した。この「電子的保健医療情報活用加算」の創設について、このような結果になることは誰もが予想し得ることであり、支払い側である我々保険者は反対の姿勢を見せてきた。

このような経緯などから、政府は現行の加算を廃止し、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設した。これは、施設基準を満たした医療機関に対して、初診時、マイナ保険証を利用した場合、月に1回に限り2点(調剤は6カ月に1回1点)、利用しない場合は4点(同3点)を加算するというもの。批判を受けたからといって、早々に態度を変える対応には疑問を抱くのだが、一応は、マイナ保険証を利用したほうが負担は低くなる形がとられた。

同加算を算定する医療機関等は、

①オンライン資格確認を行う体制を有している

②患者に受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行う

―ことを院内やWEBサイト等に掲示し、必要に応じて患者への説明を求めるとされた。この加算は、本年10月1日から適用となった。

しかし、この新設された加算について注意しなければならないところがある。

まず、少なくとも同加算による患者負担は増加していることから、国民の理解を得ることは必須。加えて、同加算を算定するための体制を整備することが求められる。

健保連は中医協総会において、同加算に関して医療機関等の情報閲覧体制が未整備の場合、算定不可となることを明確化するよう厚生労働省に要望した。薬剤や特定健診、診療に関する情報も閲覧可能となるなか、医療機関等に閲覧できる環境が整っていなければ、情報を活用した質の高い医療を患者が実感できないためである。これに対して厚労省は、「医療DXの推進、点数の適切な算定を図る観点から、必要な対策を講じる」とした。

現状、順風満帆な船出とは言えないオンライン資格確認という新しい試み。国民のために有益になるであろうこの制度を安定した軌道に乗せるためには、支払い側、診療側などの垣根を越えた関係者全員の努力が不可欠である。

(M・S)