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広報誌「かけはし」

令和4年度 第1回 大阪連合会総会

健保連大阪連合会は7月28日、大阪市北区のホテルモントレ大阪で令和4年度第1回総会を、新型コロナウイルス感染症の感染対策を十分に講じたうえで開催した。対面で実施するのは、実に3年ぶりである。出席組合105組合、委任状提出67組合、合計172組合が参加した。

議事に先立ち、久保俊裕会長からあいさつがあった。

久保会長あいさつ要旨

久保俊裕
大阪連合会会長

先の参議院選挙において、自民・公明両与党の安定政権が保たれた。我々としては、早急に全世代型社会保障構築会議において十分に議論し、人生100年時代に対応する、すべての世代が安心して生活できる社会となるように取り組んでいただきたい。

健保組合の財政は、医療費が年々増加し、高齢者医療への拠出金や新型コロナウイルスの影響もあり、大変厳しい状況である。今年度予算では、大阪の167組合の約7割にあたる119組合が赤字であり、その額は約365億円となっている。そのため、今年度は20組合が保険料率を引き上げることとなった。

健保連では5月11日に「令和5年度政府予算概算要求に向けた個別要望事項」をまとめ、厚生労働省保険局長あてに要望書を提出した。過重な拠出金負担等により危機的状況にあり、来年度はさらなる拠出金の急増が見込まれ、今年度の緊急的な予算対応とともに、財政支援措置を強く要望している。

そのようななか、6月には骨太の方針2022が閣議決定された。維持可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取り組み方針が示されている。かかりつけ医の制度整備や、オンライン資格確認の導入義務付けなどの方針が盛り込まれた。国民が安心できる安全で効率的な医療が実現できるか、現役世代に過度な負担にならない仕組みになるか、これから注視していく必要がある。

今後は、年度予算編成の時機を視野に入れ、「現役世代の負担軽減と世代間の公平性確保」「医療費適正化対策の推進」「健保組合に対する財政支援の継続、拡充」などを重点において、我々の主張をより多くの人に理解していただけるよう、さらに取り組みを進めていくため、どうかご協力をお願いしたい。

続いて、来賓として出席された近畿厚生局の山本道寛保険課長からあいさつがあった。

山本保険課長あいさつ要旨

山本道寛
保険課長

皆様方には、日頃から健康保険制度の円滑な事業運営に対し、一方ならぬご尽力を賜り、厚くお礼申し上げる。

健保組合の財政運営に関し、4月から診療報酬が改定され、リフィル処方せんの交付、電子的保健医療情報活用加算などが新設された。

10月には、現役世代の負担上昇をできる限り抑え、全世代型社会保障を推進する観点から、一定以上の所得がある後期高齢者の窓口負担が2割となる。後期高齢者全体の20%にあたる約370万人が対象見込みで、4年度の財政効果額として、給付費780億円減、後期高齢者支援金300億円減、国費290億円減と試算されている。

同じく10月から、従業員数101人以上の企業で、短時間労働者の適用拡大が行われる。この適用拡大により法定給付費にかかる所要保険料率が増加する健保組合に対し、段階的に一定割合の財政支援が行われることが決定している。しかし、人口の多い団塊の世代が、今年度から75歳に到達することにより、現役世代の負担増は避けられない状況である。

健保組合の皆様に提出いただいた3年度決算見込み、今年度予算から、このコロナ禍にありながら健保組合の運営に大変ご尽力いただいていることがよく分かる。ご苦労をおかけするが、引き続き財政健全化に向け、よろしくお願いしたい。

最後に、健保連大阪連合会の益々のご発展と、本日お集まりの皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、あいさつとさせていただきたい。

総会では、規約の定めにより久保会長が議長となり、議事録署名者に東淀川健康保険組合、田辺三菱製薬健康保険組合を指名した。

議事に入り、議案第1号から第8号までの審議を行った。

議案第1号 学識経験理事選出の同意

(議長をパナソニック健康保険組合《大阪連合会副会長組合》に交替)

議長は、「令和4年4月1日開催の4年度第1回理事会で、会長 久保俊裕氏と専務理事 川隅正尋氏を大阪連合会規約第12条第3項から第5項に規定する学識経験理事として選出したので、本総会において同意を得たい」と発言。出席者全員が異議なく賛意を示し、久保会長、川隅専務理事の学識経験理事選出に同意した。

議案第2号 監事の選任

(議長を久保会長に交替)

監事は、規約第12条第6項の規定により、総会において選任することになっているため、次の3組合を監事に指名し全員異議なく選任された。

カネカ健康保険組合

タカラスタンダード健康保険組合

髙島屋健康保険組合

議案第3号 顧問委嘱の同意

議長は、次の4氏に特別顧問、および顧問を委嘱したいと発言し、全員の賛同を得て委嘱した。

特別顧問 岡澤元大氏

特別顧問 加藤幹雄氏

特別顧問 小笹定典氏

顧問 置田榮克氏

議案第4号 大阪連合会令和3年 度事業報告

こちらに概要掲載

議案第5号 大阪連合会令和3年度 収入支出決算

こちらに概要掲載

議案第6号 大阪連合会令和3年度 収入支出決算残金処分

以上、議案第4号から議案第6号までの3議案を一括提案し、事務局から各議案を詳細に説明。監事組合を代表してカネカ健康保険組合から監査結果を報告。質疑・異議の有無を確認し、異議なく承認された。

議案第7号 大阪連合会令和3年度 被用者保険運営円滑化推進事業報告

議案第8号 大阪連合会令和3年度 被用者保険運営円滑化推進事業収入支出決算

以上、議案第7号と議案第8号を一括提案し、事務局から説明。異議なく承認された。

また、来賓として健保連本部の宮永俊一会長、河本滋史専務理事、伊藤悦郎常務理事が出席。総会終了後に、宮永会長からあいさつ、河本専務理事からは中央情勢報告があった。

宮永会長あいさつ要旨

宮永俊一
健保連会長

皆様には、日頃から健保連活動を中核として支え、格別のご尽力をいただき、厚く御礼申し上げる。

我が国においては、急速な少子高齢化の進展という難題が立ちはだかっている。6月に公表された令和3年度の合計特殊出生率は1.30、出生数は約81万人と、戦後最少を記録した。自然減数も約63万人と、人口減少が一段と加速していることが浮き彫りとなった。生産年齢人口の減少は、健保組合にとっても運営に直結する大きな問題であり、拠出金などの支出増により、財政も依然として難しい状況が続いている。

大阪の健保組合の状況として、令和3年度の決算見込みは経常赤字であり、賃金収入が伸び悩む一方、医療費がコロナ禍前の水準に戻りつつあるなかで、大変難しい内容と受け止めている。支出の半分を高齢者医療への拠出金として負担するという構造的な問題は解決されておらず、今後、高齢者医療費が急増し、これまで以上に厳しい状況に追い込まれることが見込まれる。制度の持続安定性確保に向け、残された時間は少ないと言わざるを得ない。

岸田首相は、6月に骨太の方針2022を閣議決定し、「新しい資本主義」の実現に向けた政策を打ち出した。先の参議院選挙での勝利も得て、この夏以降、いよいよ実行に向けた動きが加速していくと思われる。

今年は健康保険法制定100年の記念すべき年である。健保組合は、皆保険制度を支えるとともに、健康長寿の延伸にも寄与してきた。また、コロナ禍にあっては、感染対策やワクチンの職域接種にも取り組んだ。健康経営やコラボヘルスなど、これからの100年も保険者機能を一層発揮し、これまで以上に加入者の健康を支え、国民が安心を享受できるよう貢献していかなければならない。

河本専務理事中央情勢報告要旨

河本滋史
健保連専務理事

6月に閣議決定された骨太の方針2022に関し、健保連が主張してきた多くの内容が盛り込まれている点は評価できる。一方、新たな負担増が懸念される内容もあり、今後は各事項の具体化に向けて、関係委員会において検討を進めていく必要がある。

令和6年度(2024年度)は、診療報酬・介護報酬の同時改定や第4期医療費適正化計画、第4期特定健康診査等実施計画などの改革が行われる。そういう意味では、6年度は当面の制度改革のターゲット年と言える。

法改正が必要な項目は来年の通常国会での審議等が必要で、実質的には先の参議院選挙終了後から年末までの半年間に、審議・検討が行われることとなる。

こうした状況を踏まえ、健保連の当面の活動として、

①令和6年度改革に向けての対応

②令和5年度政府予算概算要求、臨時国会における今年度2次補正予算への対応

③リフィル処方せんの周知・広報、オンライン資格確認関係

―が挙げられる。

①について。令和66年度をターゲットに、少子化対策や全世代型社会保障の構築、負担能力に応じた負担、医療提供体制における機能分化と連携の強化など、医療保険制度、医療提供体制、介護保険制度などの見直しの検討に、我々の主張・意見を反映させていくことが重要である。

②について。5年度政府予算概算要求に向けては、今年の3月以降、議連とも連携しながら対応してきた。秋の臨時国会では、コロナ禍を踏まえ、有事の医療提供体制を強化する感染症法の改正案が想定される。これに合わせて、対応医療機関への財政支援も検討される可能性もあり、財源問題を含めてウォッチして主張していく必要がある。

③について。今年の4月から国の制度として、リフィル処方の運用が始まった。症状が安定していると医師が判断した場合、最大33回まで使用可能なリフィル処方せんが交付される仕組みで、患者の通院負担軽減につながり得ることから、かねてより健保連が早期の導入を求めていた。また、オンライン資格確認について、健保組合に対して行った導入状況に関するアンケート結果によると、回答者の約7割がマイナンバーカードを保険証として利用できなかったと回答。約8割が保険証として利用したい、使える医療機関が増えれば利用したいと回答している。利用したくないとの回答の理由については、持ち歩きたくない、窓口負担の増加が上位に挙がった。

医療費の動向として、令和3年度と元年度における11人あたり医療費を比較すると、被用者保険4.48%増、健保組合4.28%増で、現役世代は従来の年率2%程度の2年分に相当する伸びとなっている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前の状況に戻りつつある。一方、後期高齢者については従来の水準には戻っておらず、現役世代との間には、医療費の動向に差が生じている。

事業報告の概要

1.健康保険組合をめぐる情勢
(1)医療保険制度等に関する主な動き

①医療保険制度を取り巻く諸情勢と健保連の対応

2020(令和2)年度に続くコロナ禍の中、健保連は2021(令和3)年5月12日、「令和4年度政府予算概算要求に向けた個別要望事項」をまとめ、厚生労働省保険局長あてに提出し、過重な拠出金負担により逼迫し危機的状況にある健保組合の財政は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で企業実績の悪化が重なるなどの窮状を訴え、今年度の緊急的な予算対応を含めて、健保組合に対する財政支援措置の早期実現を強く求めた。個別要望事項は、新型コロナウイルス感染症による健保組合の財政悪化に係る財政支援措置、高齢者医療のための拠出金負担に対する財政支援措置、短時間労働者の適用拡大に対する支援などを柱とした。

2021(令和3)年6月4日参議院本会議で、後期高齢者の窓口負担割合について1割、3割に加え、新たに2割負担の区分を設け、現役世代の高齢者医療費に対する支援金の伸びを抑えることなどを柱とした「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」が可決、成立した。2割負担導入の時期は、2022(令和4)年1月4日に政令第14号が公布され、10月1日から施行するとした。

続いて、2022(令和4)年3月22日の参議院本会議で、一般会計総額が107兆5964億円の令和4年度予算が可決、成立した。社会保障関係費は、36兆2735億円と昨年度より4393億円増加となり過去最大となった。健保組合関係助成費は、高齢者医療運営円滑化等補助金などを含む一般会計分が884.4億円が計上された。このうち、主に健保組合の拠出金負担を軽減する財政支援措置は、支援金等の負担に対する助成事業720.4億円と、高齢者医療特別負担調整交付金の100億円を合わせて820.4億円、短時間労働者適用拡大に係る財政支援で4.9億円計上された。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた健保組合に対する財政支援は、令和3年度補正予算で9.8億円が計上されたことを踏まえ、本予算への対応は見送られた。

②骨太方針2021

2021(令和3)年6月18日には、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定された。令和4年度から6年度までの3年間は、社会保障関係費の伸びを高齢化による増加相当分におさめる「歳出目安」に沿った予算編成を継続する方針が示された。また、社会保障改革については、感染症を機に進める新たな仕組みを構築、団塊の世代の後期高齢者入りを見据えた基盤強化・全世代型社会保障改革に向けた施策が打ち出された。

③健康経営優良法人認定

2022(令和4)年3月、日本健康会議が企業・団体を認定する健康経営優良法人に、「大規模法人部門(ホワイト500を含む)で2297法人、「中小規模法人部門(ブライト500を含む)」12,268法人が認定された(5月1日現在)。認定にあたっては、保険者と連携した健康経営の実践が重視されており、今回は、健保組合も全国で122組合が認定された。企業における健康づくりへの重要性が高まり、医療保険者と企業の健康づくりへのコラボが推進され、健康に対する意識の向上が期待される。

④令和4年度診療報酬改定

政府は4年度診療報酬改定における改定率を、診療報酬本体で0.43%引き上げるとした。うち、医科・歯科・調剤の実質的な改定率は0.23%引き上げ、看護の処遇改善のための特例的な対応として0.20%、不妊治療の保険適用のための特例的な対応として0.20%の財源を確保した。一方、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化などで0.20%引き下げた。

(2)健保組合・健保連関連の主な動き

①健康強調月間(10月)の行事を実施

2021(令和3)年度は、依然として感染拡大が続く新型コロナウイルスの影響を考慮し、感染症対策に重点を置いた事業展開を図った。感染拡大を機に加速する就業環境の多様性とそれに伴う生活様式の変化を踏まえた穏やかな生活習慣の形成を促すとともに、健康不安の解消の一助となる情報提供等を行い、国民のヘルスリテラシーの向上に寄与することを目的とした。

②健保組合全国大会(10月19日)を開催

東京国際フォーラムで「未来のため、皆保険を守るため、全世代で支え合う制度の構築へ」をテーマに、オンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式による健保組合全国大会を開催した。大会では、

①国民が安心できる安全で効率的な医療の実現

②現役世代の負担軽減と世代間の公平性確保

③健康寿命の延伸に向けた保健事業のさらなる推進

―の3項目を決議し、宮永会長から厚生労働省の濵谷保険局長に大会決議の実現を要請した。

(3)健保組合の状況

健保組合数は、2021(令和3)年4月1日現在、1387組合となっている。健保組合数はピーク時より437組合減少しており、財政状況の厳しさを如実に表している。なお、2022(令和4)年4月1日では1387組合で、前年度と同様であった。

2.大阪連合会の事業活動概要

2021(令和3)年度も新型コロナウイルス感染症に翻弄された1年であった。大阪連合会では、コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図りながら、事業活動を実施してきた。書面審議による総会、WEBによる研修など、様々な影響を受けながらではあるが、2021(令和3)年度を通して理事会、各委員会で時宜に応じた活発な議論を展開、円滑な事業運営に資するための各種事業を実施した。特に、高齢者医療制度改革については、関係各方面に理解と支援を強く要請した。

(1)広報活動(広報委員会関係)

機関誌「かけはし」およびホームページを通じ、高齢者医療制度改革、柔道整復等関係情報、健康づくり情報など、健保組合をめぐる情勢および健保連の考え方や各種情報を掲載するとともに、大阪連合会の総会・理事会・委員会・地区会活動など、主要な事業の広報活動に努めた。

(2)組合業務支援活動(組合業務委員会関係)

健保組合役職員の資質向上と連帯感の醸成に有効な、事務長・中堅職員等研修会、組合業務別実務講習会、個人情報保護研修会、後発医薬品に関する講習会、情報セキュリティ講習会、パソコン研修会を開催した。

(3)医療費適正化対策活動(医療給付委員会関係)

求償事務研修会、療養費適正化講習会やレセプト相談・法律相談等の諸事業を実施。医療費適正化対策の推進を図り、会員組合の財政健全化を支援。また、支払基金との事務連絡協議会を通じて、審査等における問題点の是正を要請した。

(4)健康開発共同事業推進活動(保健共同事業委員会関係)

生活習慣病の予防と医療費、メンタルヘルス対策等をテーマに健康教育を実施した。また、保養施設の共同利用の契約、プール施設・アイススケート施設の割引利用券の斡旋、各種イベントの後援等、多方面での活動を行った。保健師活動では、健保組合における特定保健指導を支援するとともに、保健師連絡協議会での保健活動を支援した。

(5)総合組合活動(総合組合委員会関係)

総合組合の運営に資するため、特定健診の受診状況や財政状況分析、健康経営、健康保険法等の一部改正内容など調査・研究し、有効活用を図った。

令和3年度 大阪連合会収入支出決算概要