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広報誌「かけはし」

健康セミナー(オンデマンド配信)

12月16日~1月17日、健康セミナーについてオンデマンドにて講演動画を配信。立命館大学 スポーツ健康科学部 教授 藤田 聡氏が「生活習慣病予防に向けた筋トレの実践」をテーマに講演されました。(以下に講演要旨)

生活習慣病予防に向けた筋トレの実践

藤田 聡 氏

全身の筋肉は身体的な動作を司るだけでなく、糖質や脂質の代謝にも関わっています。そのため、加齢に伴う筋量と筋機能の低下(サルコペニア)は、高齢期における転倒リスクを増加させるだけでなく、成人における生活習慣病の発症リスクを増加することも指摘されています。

コロナ禍における日常的な活動量の減少は、筋量を減少させることが指摘されています。筋肉を守り、健康を維持増進していくためにも、食生活におけるたんぱく質の摂取は特に重要です。朝・昼・夕食のそれぞれの食事でのたんぱく質の摂取が不均等だと、筋肉量の低下リスクが高まります。各食事で、少なくとも20g以上のたんぱく質が摂取できるように心がけましょう。特に日本人は朝食でのたんぱく質が不足していますので、先ずは朝食でのたんぱく質摂取に気を配ることから始めるのがお勧めです。

また、日常生活において、睡眠は身体的・精神的な健康状態の維持に重要です。慢性的な睡眠不足は職場での生産性を低下させるだけでなく、肥満や筋量の低下を引き起こします。日中に眠気を感じない程度の睡眠時間を確保しましょう。

さらに、運動習慣の獲得は、身体的・心理的なウェルビーイングを獲得するのに欠かせません。運動は体力の向上のみならず、ストレス・抑うつを軽減し、肥満・糖尿病など様々な慢性的な疾患の予防にも寄与します。さらに、運動習慣の獲得は、職場での生産性の向上にもつながります。

WHOは中強度(ややキツいと感じる運動の強さ)の運動を週に150分〜300分(あるいはかなりキツいと感じる高強度の運動を75~150分/週)実施することを推奨しています。しかし、国民健康栄養調査の結果では、週に2回以上、30分以上の運動を習慣的に実施している成人の割合は2割程度であることが報告されており(平成30年のデータ)、運動習慣を身につけることの難しさが分かります。特にコロナ禍においては、オフィスや自宅での座位時間が長くなっていますが、座ったままの状態が30分以上続くと、死亡リスクが増加することが指摘されています。生活習慣病予防の観点からも、長時間のデスクワークを行う際には定期的に立ち上がって歩きまわるなど、座位時間が長時間とならないように注意しましょう。

現在、運動習慣を有していない方は、まずは意識的に少しでも日常生活での活動量を増やすことから挑戦しましょう。例えば、職場に向かう際に、エスカレーターを使わずに階段を利用するなど、ちょっとした工夫で活動量を増加できます。より具体的に筋肉を鍛える運動に取り組みたい方は、特別な道具なしで実施できるスクワット運動などを、少しずつ実施してみてください。1日1種目のみ、2回だけ実施する、でも構いません。まずは1カ月、継続的に運動することで、運動を習慣化できれば、より多くの回数や種目を無理なくこなせるようになります。