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広報誌「かけはし」

健康セミナー(オンデマンド配信)

11月11日~12月13日、健康セミナーについてオンデマンドにて講演動画を配信。公益社団法人兵庫県栄養士会 管理栄養士 上野樹世氏が「糖尿病予防・重症化予防~特定保健指導における食支援を通して」をテーマに講演されました。(以下に講演要旨)

糖尿病予防・重症化予防について
~特定保健指導における食支援を通して~

上野 樹世 氏

栄養・食生活は、生活習慣病の発症予防および重症化予防に深く関係しています。日本では世界に類を見ない規模で超高齢化社会を迎え、2020年の平均寿命は、男性81.64歳、女性は87.64歳となっており、健康寿命との差がまだまだあるというのが現状です。健康寿命延伸、健康格差の縮小のためにも、生活習慣病の予防は重要です。

国は、2008年4月「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、医療保険者に対して「特定健康診査(以下「特定健診」)・特定保健指導」を義務付けました。この特定健診・特定保健指導は、内臓脂肪型肥満に起因する糖尿病、脂質異常症、高血圧症は予防が可能であり、発症後でも血糖、血圧等をコントロールすることで、心血管疾患、脳血管疾患、人工透析を必要とする腎不全等への進展や、重症化予防が可能という考え方です。そして、特定保健指導の対象者は、不適切な生活習慣を起因とする発症リスクを持っており、特定保健指導により疾病の発症や重症化を予防でき、指導の成果を健診データ等の客観的指標を用いて評価できるものとしているのが特徴です。

今回、生活習慣病のなかでも「糖尿病」の予防についてお話をさせていただきました。健康保険組合連合会2019年の調査で「生活習慣病の医療費」を分析したところ、入院では「脳血管障害」、入院外では「糖尿病」が増加しています。受診率についての調査でも、入院1000人当たりで高血圧症が最も多く、糖尿病、脂質異常症と続いています。入院外の受診率は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病の順に高いことが明らかになりました。

また、コロナ禍の生活習慣の変化により、糖尿病のリスクも高まっています。そこで、糖尿病予防の食事のポイントは、

①適正なエネルギーを守る

②三食規則正しく食べる

③バランスよく食べる

④嗜好品は適量食べる

⑤食べ方に注意する

―ことです。日常生活で気を付けることは、運動、禁煙、睡眠、ストレスをためないことも重要です。

日常生活のなかで、家に常備しているもの(乾物や缶詰)を使って簡単に作ることができ、少しの工夫で栄養バランスが良くなる料理を動画で紹介させていただきました。

今後も保健指導を通し、管理栄養士として生活習慣病や医療費の適正化に貢献し、対象者の気づきと生活習慣改善に貢献していきたいと思います。