健保問答
第491回
Q
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がんを患っており、いろいろ治療を試みたものの快方に向かわないため、医師から「先進医療」を勧められている被保険者がいます。しかし「先進医療」は、「自由診療」と同じで公的医療保険が使えなく全額自己負担であることを心配されています。高額療養費制度はどの程度適用されるのでしょうか。
A
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自己負担額が高額になり、ひと月(月初から月末まで)にかかった医療費が、その一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた金額分が支給されるのが「高額療養費制度」です。
「先進医療」とは「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」とされています。特定の医療機関などで研究・開発されている難病のうち公的医療保険の適用対象となっていない新しい治療や手術などが、ある程度実績を積んで治療が確立されると、厚生労働省に「先進医療」として認められます。一方、自由診療とは公的医療保険が適用されない診療全般を指します。
「自由診療」においては保険適用の保険診療を含んでいる場合でも全額が自己負担になります。しかしながら先進医療の場合は、保険診療との併用が認められています。「先進医療に係る費用」は全額自己負担になるものの、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。つまり、一般保険診療と共通する部分は保険給付されるため、この部分は一部負担となり、高額療養費制度も適用されます。
なお、税金の医療費控除については「先進医療」や「自由診療」も対象となります。