令和3年度 第1回 大阪連合会総会・書面審議
令和2年度事業報告・収支決算等を了承
健保連大阪連合会は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、8月4日の開催を中止した第1回定時総会について、7月28日から書面による審議を行い、8月4日付で、令和2年度の事業報告・収支決算等の議案を議決、了承した。
議案第1号
議案第2号
議案第3号
令和2年度大阪連合会収入支出決算残金処分
以上、議案第1号から議案第3号について、監事による会計監査報告を踏まえた審議の結果、同意を得た。
議案第4号
令和2年度被用者保険運営円滑化推進事業報告
議案第5号
令和2年度被用者保険運営円滑化推進事業収入支出決算
以上、議案第4号と議案第5号について、審議の結果、同意を得た。
事業報告の概要
1.健康保険組合をめぐる情勢
(1)医療保険制度等に関する主な動き
①医療保険制度を取り巻く諸情勢と健保連の対応
2020(令和2)年1月16日、厚生労働省から日本における「新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)」の発表がなされてから始まった新型コロナウイルスの脅威は、2020(令和2)年度の年度末に至ってもその脅威は衰えず、深刻な影響を与え続けている。政府は2020(令和2)年4月7日の閣議で、7都府県に国内初となる緊急事態宣言を発令し、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急経済対策と令和2年度補正予算案を決定した。雇用の維持と事業の継続に関連した税制措置として「収入に相当の減少があった事業所の国税・地方税および社会保険料について、無担保かつ延滞税なしで1年間、納付を猶予する特例を設ける」とした。医療提供体制の整備では、重症感染者への医療に重点を置き、病床の確保や医療資材の確保を強化した。患者を受け入れる医療機関について、診療報酬において感染防止に留意した対応等を特例的に評価した。また、オンライン診療・電話診療の活用を推進し、医師の判断で初診からオンライン診療等を認めた。
健保連は、5月12日付で厚生労働省保険局長あてに「令和3年度政府予算要求に向けた個別要望事項」を提出した。過重な拠出金負担により逼迫し危機的状況にある健保組合の財政が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で企業実績の悪化による賃金・賞与の減少に伴う保険料収入の急減など、甚大な悪影響が生じることが想定されると訴え、今年度の緊急的予算対応と健保組合に対する財政支援措置の早期実現を強く求めた。
新型コロナウイルス感染拡大により2月以降開催が見送られていた全世代型社会保障検討会議が5月22日に再開され、6月25日に開催された同会議において、第2次中間報告がまとめられた。後期高齢者の窓口負担割合を2割へ引き上げなど、焦点である医療保険制度改革については、当初予定していた2020(令和2)年夏の結論を持ち越し、年末の最終報告に向けて改革議論を進めるとした。12月14日の最終報告では、後期高齢者(現役並み所得者は除く)であっても課税所得が28万円以上(所得上位30%)および単身世帯の場合は年収200万円以上、複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上の方に限って、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方は1割とされた。施行時期については、2022(令和4)年度後半とし、施行に要する準備期間を考慮のうえ、その時期は政令で定めることとされた。2021(令和3)年の通常国会に必要な法案の提出を図るとされ、12月15日に閣議決定された。
続いて、12月20日には令和3年度政府予算案が閣議決定された。予算案には、高齢化による社会保障費の自然増の伸び4800億円を3500億円程度に抑えるなど、政府方針による社会保障関係費に対する抑制措置が盛り込まれた。また、健保組合関係助成費は、新型コロナウイルス感染症対策を柱とする令和2年度第3次補正予算案とあわせて、切れ目ない15カ月予算とする政府の方針を踏まえて一体的編成となった。このうち、高齢者医療支援金等負担金助成事業など拠出金負担増を軽減するための財政支援が820.4億円計上され、3年目を迎える保険者機能強化支援事業は、令和3年度分を前倒しして補正予算で一体的に取り扱い、約32億円増の50.6億円が計上された。
②骨太方針2020
政府は7月に「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針2020)を決定した。社会保障分野の改革の取り組みは、新型コロナウイルス禍では、「感染拡大防止」と「経済活動の段階的引上げ」とを両立するために「医療提供体制の強化」が必須とされ、またポストコロナの「新たな日常」に向けては、診療報酬・介護報酬上の臨時特例措置や、オンライン診療・電話診療の臨時特例的な拡大などについて効果検証を行いながら、普及・促進に向けて必要な見直しを行うこととされた。
③健康経営優良法人認定
2021(令和3)年3月、日本健康会議が企業・団体を認定する健康経営優良法人に、「大規模法人部門(ホワイト500を含む)で1795法人、「中小規模法人部門(ブライト500を含む)」で7935法人が認定された(6月4日現在)。認定にあたっては、保険者と連携した健康経営の実践が重視されており、今回は、健康保険組合も全国で94組合が認定された。企業における健康づくりへの重要性が高まり、医療保険者と企業の健康づくりへのコラボが推進され、健康に対する意識の向上が期待される。
(2)健保組合・健保連関連の主な動き
①健康強調月間の行事を実施
10月、健康強調月間の諸行事を実施した。2020(令和2)年度は感染症対策に重きを置きながら、拡大しつつある多様な就業環境とそれに伴う生活様式の変化を踏まえた穏やかな生活習慣の形成を促すとともに、健康不安の解消の一助となる情報提供等を行い、国民全体のヘルスリテラシーの向上に寄与することを目的とした。
②医療保険制度の改革に向けた被用者保険関係5団体の意見書の提出
11月4日、健保連など被用者保険関係5団体から医療保険制度改革に向けた意見書を厚生労働大臣あてに提出した。後期高齢者の自己負担について現役世代に偏った負担を見直す観点から、高齢者にも応分の負担を求める必要性を指摘し、原則2割とすることや高齢者医療拠出金の負担を軽減する必要性を訴え、これらの給付と負担の見直しを含む改革を、全世代型社会保障検討会議が取りまとめる最終報告に反映し、遅くとも2022(令和4)年度までに確実に実行するよう要望した。
(3)健保組合の状況
①健保組合数
健保組合数は、2020(令和2)年4月1日現在、1389組合となっている。健保組合数はピーク時より435組合減少しており、財政状況の厳しさを如実に表している。なお、2021年4月1日では1387組合で、前年比2組合の減となった。
2.大阪連合会の事業活動概要
政府は4月7日の閣議で、7都府県に緊急事態宣言を発令した。それ以来、大阪連合会では、コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図りながら、事業活動を実施してきた。理事会の休会や書面審議による総会など、様々な影響を受けながらではあるが、2020(令和2)年度を通して理事会、各委員会で時宜に応じた活発な論議を展開、円滑な事業運営に資するための各種事業を実施した。とくに、高齢者医療制度改革については、関係各方面に理解と支援を強く要請。
(1)広報活動(広報委員会関係)
機関誌「かけはし」およびホームページを通じ、高齢者医療制度改革、介護保険制度改革、柔道整復等関係情報、健康づくり情報など、健保組合をめぐる情勢および健保連の考え方や各種情報を掲載するとともに、大阪連合会の総会・理事会・委員会・地区会活動など、主要な事業の広報活動に努めた。
(2)組合業務支援活動(組合業務委員会関係)
健保組合役職員の資質向上と連帯感の醸成に有効な、個人情報保護研修会、動画配信による情報セキュリティ講習会などを開催した。
(3)医療費適正化対策活動(医療給付委員会関係)
求償事務研修会、療養費適正化講習会やレセプト相談・法律相談等の諸事業を実施。医療費適正化対策の推進を図り、会員組合の財政健全化を支援。また、支払基金との事務連絡協議会を通じて、審査等における問題点の是正を要請した。
(4)健康開発共同事業推進活動(保健共同事業委員会関係)
健康セミナーを開催した。また、保養施設の共同利用の契約、プール施設・アイススケート施設の割引利用券の斡旋、各種イベントの後援等、多方面での活動を行った。保健師活動では、健保組合における特定保健指導を支援するとともに、保健師連絡協議会での保健活動を支援した。
(5)総合組合活動(総合組合委員会関係)
総合組合の運営に資するため、特定健診の受診状況や財政状況分析、健康経営など調査・研究し、有効活用を図った。
令和2年度 大阪連合会収入支出決算概要
科目 | 収入支出決算額(円) | ||
---|---|---|---|
決算額 | 予算額 | 過不足 | |
会費収入 | 97,204,692 | 96,911,000 | 293,692 |
本部交付金 | 22,522,483 | 53,425,000 | △30,902,517 |
その他の収入 | 31,207,383 | 32,651,000 | △1,443,617 |
収入合計 | 150,934,558 | 182,987,000 | △32,052,442 |
事務所費 | 66,180,198 | 80,200,000 | △14,019,802 |
事業費 | 60,124,799 | 94,105,000 | △33,980,201 |
その他の支出 | 3,887,443 | 8,682,000 | △4,794,557 |
支出合計 | 130,192,440 | 182,987,000 | △52,794,560 |
決算残金 | 20,742,118 | ー | ー |