5月の理事会から
5月12日、定例の理事会をオンラインで開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。はじめに、4月1日に就任した久保新会長からあいさつがあった。続いて、理事組合の交代(武田薬品→日東電工)と、出席者の交代があった理事組合(パナソニック、ダイハツ、住友商事)の紹介があった。
1.中央情勢
(1)健保法等改正案の審議状況
健保連が主張してきた後期高齢者の窓口負担2割への改正については、4月8日に衆議院で審議入りした。同20日の厚生労働委員会に、健保連の佐野副会長が参考人として出席し、2割負担の早期実現を要望した。対象は一定所得以上という限定的なものだが、現役世代の負担軽減の観点から、改正自体は評価し、今後、さらなる負担軽減について検討してほしいと回答した。
また、健保連が要請していた財政の厳しい健保組合への拠出金負担に対する財政支援などの附帯決議は盛り込まれなかった。参院審議に向けて、引き続き要請していく。
(2)2021年度健保組合予算早期集計
健保連は4月22日、記者会見を開き、2021年度の予算早期集計を発表し、NHKのニュースや新聞各紙にも取り上げられた。
新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、健保組合の約8割が赤字で、経常赤字は5098億円、前年度比約2800億円増。収支均衡に必要な実質保険料率は10.06%となり、協会けんぽの平均保険料率を超えた。今後、解散を検討する健保組合が増える恐れがあるなど、いかに厳しい状況にあるかが分かる。
(3)医療費の動向
2021年2月の被用者保険1人あたりの医療費は、休日補正後で対前年度比△1.86%、健保組合1人あたりは同△2.69%。新型コロナウイルスにかかる医療費については、204.6億円、2019年12月からの累計では1017.1億円となった。
また、1人あたりの医療費の動向について、本人は新型コロナウイルス感染症の拡大前の水準まで戻っている。未就学児については、まだ落ち込みが大きいがプラスの傾向にある。
(4)「骨太の方針2021」に向けて
健保連は要求実現対策チームを発足し、これまで高齢者医療費の負担構造改革などを提言してきた。来年度の予算編成や診療報酬改定、新型コロナウイルス感染症の影響など、タイミングを失することなく、次の提言を作っていく。
(5)オンライン資格確認
入力データの誤入力について、事実と異なるマスコミ報道がなされたことや、システム運営費の負担金について厚生労働省と協議した。特に運営費については、本格稼働していないものに費用は出せない健保組合と、国家事業のため応分の負担を求める厚生労働省の意見は平行線だったが、これから本格的に交渉し、決着させていかなければならない。
(6)ワクチン接種を巡る状況
新型コロナウイルスワクチン対応プロジェクトチームにおいて、職域での接種について検討された。ワクチンの確保・供給については一定の目途がつき、問題は接種にあたっての場所と人の確保のようである。健保連として、協力を検討していただけている健保組合があることに感謝している。
2.本部委員会報告
(1)ICT委員会
5月10日にWEBにて開催。オンライン資格確認等のシステムにおける資格情報の正確性が極めて重要であることが厚労省から説明された。また、費用負担について、3月分は国庫補助となったが、4月以降については議論が進んでおらず、未定となっている。
3.大阪連合会活動
(1)広報委員会
新型コロナウイルス感染拡大を考慮し書面で実施。かけはし5月号の編集概要について報告があった。
(2)その他
川隅専務理事から、次の4点について報告があった。
①大阪連合会管内165健保組合の2021年度予算概要について。経常収支差引額は△547億1523万1千円。2年連続で赤字額が倍増した。赤字組合数は123組合(74.5%)である。7組合が保険料率を引き上げ、平均保険料率は9.260%、実質保険料率は9.852%となった。
②永年勤続者表彰式について。コロナ禍で実施できるかは未定だが、8月の総会とあわせて挙行する予定。該当者については、各健保組合において漏れのないようにご報告いただきたい。
③新型コロナウイルスワクチンの接種に関するアンケート調査について。ご回答いただいたことに対するお礼と、職域での接種に関する今後の対応。
④健保組合の事務効率化の事業継続体制に関するアンケート調査について。現在、全国の回答率が61%のため、未回答の健保組合にはご協力をお願いしたい。