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withコロナ時代の健康管理とは
(食事・運動を中心に) |
12月1日、大阪商工会議所で健康セミナーを開催。武庫川女子大学 食物栄養科学部食物栄養学科 教授 内藤 義彦氏が「withコロナ時代の健康管理とは(食事・運動を中心に)」をテーマに講演されました。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加人数を制限し、後日、講演動画を配信することで実施しました。当日の参加数は、20組合・23人。(以下に講演要旨) |

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内藤 義彦 氏 |
2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症(以下、COVID―19)の流行は、世界中の人々の日常生活を一変させ、今が大きな時代の変化点にあることを感じさせます。そのため、健康管理のあり方も大きな変化が迫られており、本講では、今後の健康管理の留意点について、私見を交えて話題提供しました。
最初に、COVID―19の感染予防と感染拡大防止のための基本知識を採り上げ、国が示した新しい生活様式のうち、個々人が留意すべき感染予防(マスクの着用、手指消毒、3密を避ける、咳エチケット等)とともに、新しい働き方による感染予防(時差出勤、テレワーク、余裕あるオフィス空間等)の内容を確認し、これまでとは異なるライフスタイルに合わせた健康管理事業の進め方の必要性を述べました。
具体的には、これまでは平時における長期的ビジョンに基づきPDCAサイクルによる事業展開が重視されてきましたが、今般のような非常時には、時々刻々と変化する状況に応じた対応が必要であり、ビジネスの最前線で注目されていた米国海兵隊の機動型戦略であるOODA(Observe-Orient-Decide-Act)ループの適用が有用でありそうだと紹介しました。次に、緊急事態宣言や自粛要請により、社会活動が制限されるネガティブな面が強調されがちですが、ポジティブな面もあり、それを気づくことによって生活意欲が変わることに触れました。また、自粛はずっと続けるものではなく、効果的な治療法やワクチンが登場するまでは、社会活動の制限(ハンマー)による感染者の減少が達成されたことを確認してから、比較的自由な社会活動を再開し(ダンス)、再び感染者増加の波が押し寄せてきたら、また制限のサイクルを続けるという、トーマス・プエヨ氏による「ハンマーとダンス」、さらにはその発展型である「スイス・チーズ戦略」の考え方を紹介しました。
ここまでが感染対策を進めるための考え方や総論だったので、このあと、COVID―19によって生活習慣がどう変わり、どう対処したか、具体的な報告や事例を紹介し、健康管理の現場で役立ちそうな話題を提供しました。フランスにおけるロックダウンによる嗜癖関連習慣の変化に関する調査、日本における生活リズムの変化に関する調査、女子大学生(武庫川女子大学)の生活習慣の変化に関する調査等の分析結果を紹介し、どのデータも全体として、好ましくない行動変化が起こっていることを(数字を用いて)報告しました。全体としてはCOVID―19の悪影響が示されたわけですが、その影響を最小限に止めた好事例として、女子大学生の生活習慣改善プログラムを紹介しました。対面で会えなくても、ZoomやSNSを利用してコミュニケーションを緊密にし、グループで目標を共有することによって、健康的な食生活と身体活動を維持し目標達成することができ、職域でも参考になるものと考えます。
データと事例紹介のあとは、COVID―19に対抗するための具体的な生活習慣の工夫について、運動・身体活動と栄養・食生活、ストレスに関して、情報提供をしました。 |
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