広報誌「かけはし」

■2020年11月 No.590
健保問答 

第 481回

     
Q
   新型コロナウイルス感染症対策を機に、新しい働き方への対応が求められていますが、紙媒体での処理も多く、健保組合の基幹業務システムが使えない環境での在宅勤務やテレワークは困難です。また、健保組合内で感染者が発生した場合は、事務所の閉鎖や業務の停止をせざるを得ない状況も想定されます。
 時差出勤を交代で行う、加入者からの問い合わせはメールを優先していただくなどの対応をとっていますが、他に有効な策はないでしょうか。

A
   厚労省保険局保険課から、今年4月6日付で「健保組合における事業継続について」の事務連絡が発出され、健保組合に対し、「外出自粛要請の拡大を踏まえた健康保険組合における業務継続について」が示され、業務継続環境の整備を進めるよう要請されています。
  ○基本方針として
新型コロナウイルス感染症対策においては、医療機関への適時・適切な受診が重要であるとともに、患者の生活基盤を確立するための感染症による労務不能時の所得補償も併せて重要である。
このため、これらの業務を担う健保組合にあっては、外出自粛要請が拡大されたとしても、不急以外の業務は遂行しなければならない。
  ○健康保険組合の業務を継続できる環境整備
基本方針に基づき、健康保険組合では業務継続できる環境を整備されたい。
環境設定基準を満たしたうえで、テレワークの導入・実施を検討されたい。
テレワーク導入が困難な健保組合については、適用、給付、徴収、経理事務を行える人的体制を整備されたい。
 このほか、組合会の書面審査を特例的に認めるなどの対応も示されています。
 テレワークの環境設定基準としては、
健康保険事業の運営に支障がない体制を構築して実施すること。
職員自宅でのテレワークでは特定個人情報および診療報酬明細書情報を取り扱わないこと。
テレワークセキュリティガイドライン第4版」(平成30年4月総務省)にて挙げられている各種対策や「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成30年2月厚生労働省)を踏まえ、システム環境や各種規程を整備すること。
  などが提示されました。まずは基幹システムベンダーとも相談して、各健保組合の運営に沿ったBCP対応を構築していく必要があります。