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2019年4〜7月の医療費等の動向 |
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医療保険医療費は、14兆5000億円。対前年度伸び率は3.2%増。なお、同じく診療報酬改定のなかった2017年度と比較しても、伸び率は高い。
加入者数の伸びについては、総計で0.2%減、75歳未満が0.9%減、75歳以上が2.9%増。また、被用者保険は0.3%増、国保が3.8%減であり、被用者保険が増加し、国保が減少しているという傾向に変化はない。さらに被用者保険に限れば、健保組合の本人は1.8%減、家族が3.1%減となり、大規模健保組合の解散が影響している。なお、協会けんぽの本人は4.1%増、家族が0.2%減である。
また、2018年度における医科診療所の主たる診療科別の医療費、特に心療内科については、対前年度比8.0%増と大きな伸びとなっている。レセプト件数についても8.6%増と大きい。また、1施設当たりの医療費は2.5%増。これらから、心療内科の診療所数が増加していることが分かる。メンタル疾患の増加、そして心療内科の医師を目指す方の増加が相まったことが、このような結果となっていると推察できる。 |
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後発医薬品の推移(数量ベース) |
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2019年3月で75.1%。また、速報値として2019年9月は76.7%となっていることから、半年で1.6%の上昇である。国における目標値は2020年9月に80%である。2019年3〜9月の上昇率が1.6%、これを倍にすれば3.2%となり、2019年9月の76.7%に1年間分の3.2%を加えると79.9%になると考えることができる。したがって、国の目標値達成に近づいている状況といえる。 |
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2020年度診療報酬改定の概要 |
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@「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」については、救急医療体制における評価や加算の新設が挙げられている。A「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」については、かかりつけ機能の評価や、医療におけるICTの利活用、調剤報酬について挙げられている。B「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」については、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価や外来医療の機能分化が挙げられる。C「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」については、薬価制度の見直しとして、イノベーションの適切な評価や、後発医薬品の使用促進が挙げられている。
また、診療報酬制度にフォーミュラリ策定を盛り込むことや、治療用装具の採型・採寸料の算定要件の明確化については今回見送られたが、附帯意見とされた。 |
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新改革工程表等に対する健保連の考え方 |
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後期高齢者の窓口負担を検討することについて、全世代型社会保障検討会議の中間報告を見る限り、75歳以上の一定所得以上の人を一斉に2割負担とするとされている。これに対しては、低所得者に配慮しつつ、原則2割負担にすべきであるが、1割負担の対象範囲を下回らないような所得基準を設定し、具体的には、高額療養費の一般区分の方をすべて2割負担にすること。また、高額療養費の自己負担限度額は引き下げず、2割負担の範囲によっては引き上げを検討すべきなど。 |