169組合が料率引き上げ423組合が赤字 |
2018年度健保組合決算見込みは、全国1391健保組合の決算状況を集計したもの。それによると、経常収支は3048億円の黒字。2022年危機を前に、一時的な黒字決算となった。
経常収入は8兆3906億円。このうち大半を占める保険料収入は、1884億円増(2.33%増)の8兆2730億円だった。
健保連では、保険料収入増加の要因を次のように分析している。被保険者数の増加1121億円(増額の59.5%)、報酬月額の増加345億円(増額の18.3%)、賞与額の増加256億円(増額の13.6%)、保険料率の引き上げ162億円(増額の8.6%)。
また、保険料率を引き上げた健保組合は169組合あり、引き上げざるを得ない一番の要因は、高齢者医療への多額な拠出金。法定給付費と高齢者医療への拠出金を合わせた義務的経費に占める拠出金割合は46.36%に達している。
保険料率引き上げの結果、全国の健保組合の平均保険料率(調整保険料率含む)は、前年度より0.043ポイント増加して9.210%となった。
平均保険料率は、2008年の高齢者医療制度創設以降、毎年上昇し、協会けんぽの保険料率(10.0%)にさらに近づいた。個別にみると、すでに協会けんぽの料率以上の組合が312組合(22.4%)である。
健保組合全体の経常収支は黒字だったが、個別組合の状況をみると、1391組合中、423組合(30.41%)は赤字となっている。
2018年度に解散した6組合の平均保険料率は10.751%(最高12.089%、最低9.800%)であった。そのうち、10%以上の組合は5組合であった。
おもな適用状況は、被保険者数が対前年度比約24万人増(1.45%増)の約1675万人で過去最多を更新した。ただし、2019年4月に解散した大規模健保組合の被保険者数(54万人)を除くと30万人の減となる。被扶養者数は約17万人減(1.28%減)の約1282万人で、こちらも過去最少を更新した。被保険者数と被扶養者数を合わせた総加入者数は約2957万人で約7万人増(0.25%増)となった。平均標準報酬月額が1970円増(0.53%増)の37万2409円、賞与額が1万7542円増(1.55%増)の114万7658円だった。 |
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表1.過去5年間の推移 |
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1年間の拠出金は対前年度比728億円の減少 |
おもな経常支出科目をみると、法定給付費が対前年度比738億円増(1.88%増)の3兆9955億円となっている。被保険者1人当たり額は1015円増(0.43%増)の23万8508円、加入者1人当たり額では2166円増(1.63%増)の13万5078円となった。
拠出金総額は728億円減(前年度比2.06%減)の3兆4537億円。内訳は、後期高齢者支援金が1兆8928億円(同3.30%増)、前期高齢者納付金が1兆5396億円(同3.42%減)、退職者給付拠出金が211億円(同78.89%減)。
後期高齢者支援金は、全面総報酬割により604億円増加した。一方、前期高齢者支援金は、診療報酬のマイナス改定により、前期高齢者1人当たり給付費の伸びの抑制が見込まれたため、概算額が前年度から減少したほか、2年前の精算分で追徴が発生しなかったことなどから545億円減少した。退職者給付拠出金は、2014年度末までで退職被保険者の新規適用が終了し、対象者数が急減したことなどにより788億円の減少となった。
とはいえ、1年間の拠出金総額はゆうに3兆円を超え、義務的経費に占める拠出金負担割合は前出のとおり46.36%となり、拠出金が義務的経費の5割を超える組合は397組合(全組合の28.5%)である。
一方、財政指標をみると、義務的経費の保険料収入に対する割合は90.0%となっている。なかには、保険料収入では義務的経費すら賄えない100%超の組合が162組合(全組合の11.6%)あった。
保健事業費は、データヘルス計画やコラボヘルスなどの実施に伴い、対前年度比3.60%増の3509億円となった。
これらにより、経常支出は前年度に比べて207億円増(0.26%増)の8兆0859億円となった。経常収入から経常支出を差し引いた3048億円が2018年度の黒字額となっている。 |
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介護納付金の増加 |
総報酬割の拡大により介護納付金は前年度比411億円増(5.00%増)の8628億円と増加した。1人当たり額は9万5609円で、前年度比2808円増(3.03%増)となった。これには、介護保険料率の引き上げや準備金の取り崩しで対応せざるを得なかった。
平均介護保険料率は1.521%で、前年度比0.055ポイント増加し、料率を引き上げた組合は448組合(全組合の32.21%)だった。 |
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