広報誌「かけはし」

■2019年8月 No.575

 健保連大阪連合会は7月24日、大阪市北区のホテルモントレ大阪で令和元年度第1回総会を開催した。出席組合141組合、委任状提出30組合、合計171組合が参加した。
 議事に先立ち、小笹定典会長からあいさつがあった。
 小笹会長は、健保組合の厳しい財政状況を踏まえ、「高齢者医療制度への拠出金が増加している。大阪全体では、保険料収入に対する拠出金の割合は42.2%。なかには6割以上の組合もある。このような状況を少しでも改善するため、医療保険制度改革に向けて、健保組合の主張・要望が反映できるよう各地でイベントを開催するなど取り組んできた」と現状を示唆した。
 また、6月に閣議決定された骨太方針2019について、「給付と負担のあり方等については、骨太方針2020で政策をまとめるとなっている。今年は選挙があったため、検討するに留まったと思われる。団塊の世代が75歳に入り始める2022年度までには、後期高齢者の窓口負担などについては必ず決着してもらわないといけない」とした。
 今後について、「国民皆保険の維持・発展、高齢者医療の負担構造改革の実現、医療費適正化対策の推進、健保組合に対する財政支援の継続・拡充などに重点を置き、健保連の主張をより多くの人に理解してもらえる取り組みを進める」とまとめた。
 続いて、来賓として出席された近畿厚生局の久保西美代子保険課長から、あいさつがあった。
 久保西課長は、まず、介護保険納付金の算定係数誤りについて説明・謝罪した。続いて、「今後も進むであろう医療技術の高度化による健保財政への影響は計り知れない。さらに2022年を基点に高齢者拠出金の増大が見込まれ、健保財政の深刻化が急速に進むと予測される」と危惧した。そして、「健保組合がこれまで培ってきた知識と経験を活かし、これからも健康スコアリングレポートによる事業主への働きかけの強化や情報共有により、強固なコラボヘルスの推進体制を構築し、特定健診・特定保健指導をはじめとする保健事業を効率的に推進してほしい」と要請した。最後に、「医療保険制度の発展と健康長寿社会の実現のためには、医療保険制度において長きにわたり中核的な役割を担っている健保組合の理解と協力が不可欠である。今後も格別の支援・協力をお願いしたい」とまとめた。

 総会では、規約の定めにより小笹会長が議長となり、議事録署名者に栗本鐵工健康保険組合、大阪工作機械健康保険組合を指名した。

 議事に入り、議案第1号から第5号までの審議を行った。



議案第1号
大阪連合会平成30年度 事業報告
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議案第2号
大阪連合会平成30年度 収入支出決算
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議案第3号
大阪連合会平成30年度 収入支出決算残金処分
 以上、議案第1号から議案第3号までの3議案を一括提案し、事務局から各議案を詳細に説明。監事組合を代表してカネカ健康保険組合から監査結果を報告。質疑・異議の有無を確認し、異議なく承認された。

議案第4号
大阪連合会平成30年度 被用者保険運営円滑化推進事業報告

議案第5号
大阪連合会平成30年度 被用者保険運営円滑化推進事業収入支出決算
 以上、議案第4号と議案第5号を一括提案し、事務局から説明。異議なく承認された。
 
 また、来賓として健保連本部の河本滋史常務理事と森岡昭宏総務理事が出席し、総会終了後に、河本常務理事から中央情勢報告があった。続いて、社会保険診療報酬支払基金大阪支部の山本久則支部長から支払基金大阪支部における取り組みついて説明があった。
 河本常務理事は、健保組合・健保連を取り巻く情勢について、次の5点について説明した。▽2022年への対応(プロジェクトチームの活動状況):団塊の世代が後期高齢者に達し始める2022年度から急激に高齢者の医療費が膨らむ。その結果、現役世代の負担も急増することが確実であることから、全世代で支え合う新たな医療保険制度を開拓しなければならない。そのため、「骨太方針2020」に向けた主張実現活動や、健保組合の優位性を対外的・体内的にも発信する必要がある。また、保険者機能強化支援プロジェクトとして、財政的に厳しい健保組合に対し、運営サポート事業で支えていく。 ▽国政の動き等:健康保険法等の一部を改正する法律が可決、成立、公布された。オンライン資格確認の導入や、被扶養者の国内居住要件などが盛り込まれ、衆参両方の厚生労働委員会において、我々の主張を踏まえた附帯決議も付けられた。また、今般の参議院選挙の結果を踏まえ、我々の主張を実現できるよう、国会議員への働きかけも継続していく。 ▽ICT関係:中間サーバーのリプレイスについて、コストのわりには役に立たないという声等を受け、業務の効率化等を含めて検討が進められている。オンラインの資格確認については、段階的に実施されることになっているが、健保組合からの疑問や要望を厚労省に発信し、その都度、回答を得ている状況である。また、マイナンバーについては、6月にデジタル・ガバメント閣僚会議にて、普及と利活用の促進に関する方針が決定されたが、カードの普及は、あくまでも国の責任で、国が率先して進めるべきことである。機能のカード一本化や、保険証の廃止など、明確な方針や具体的なタイムスケジュールを示すよう要請している。 ▽データヘルス関係:第1期計画においてばらつきがあった健康課題の事業項目やストラクチャー等をパターン化して標準化を図る。そして、課題ごとの成功パターンをフィードバックすることを目的に、現在は準備作業を進めている。特定保健指導については、モデル事業をさらに拡大し、成果を示すことで、指導内容の柔軟化と実施率の向上につなげたい。 ▽その他:地域医療構想については、2017、2018年の2年間で集中的に病床転換等を検討するとされていたが、実際にはほとんど進んでいない。この状況を踏まえ、現在国は、まず公立・公的医療機関に対しては診療実績等をデータ分析した上で、再編・統合について協議し、改めて合意を得るよう要請するとなっている。我々は、地域医療構想を推進する立場から、この動きをフォローし、停滞しないよう働きかけていく必要があると考えている。次に、支払基金改革への対応として、改革内容が法定化され、審査支払事務の徹底した効率化や審査基準の統一化、組織の見直し、ビッグデータの活用などが盛り込まれた。これらを踏まえ、手数料の更なる引き下げ、審査の支部間差異の是正などが着実に進行するよう、要請を継続していく。最後に、介護保険制度の検討課題については、改革工程表に基づいた現役並み所得者の基準見直しや、軽度者の生活支援サービス見直しなど、どこまで踏み込んだ制度改革が進められるか不透明である。しかし、介護納付金に関わる事務負担を含めた負担軽減については、引き続き、強く訴えていきたい。
 続いて、山本支部長から、次の4点について説明があった。▽審査充実・業務効率化に関する取り組み:効果的な審査事務を実施するための対応や、PDCA管理の徹底、業務の効率化を見据え、全国組織としてのガバナンスを図るため、日程に沿った適正な業務処理ならびに進捗管理を行う ▽適正なレセプト提出に向けた取り組み:審査事務で発見した請求誤りについての保険医療機関等への改善要請や、査定に伴う定型文言の整理および電子審査録への登録ならびに審査委員会への働きかけを行う ▽組織運営に関する取り組み:働き方改革の推進や、個人情報保護法等の関係法令遵守などの情報セキュリティの強化、支払基金が扱う機微情報の流出・漏えいを防ぐため、内部統制の要因として重要な職員のコンプライアンス意識の徹底に努める。また、災害発生時にも事業が継続できるよう、災害発生時行動マニュアルを整備する ▽人材育成・組織協会に関する取り組み:職員研修を充実し、審査事務能力の向上に努める。講習会等により、職員の多様性への理解を促進する。組織風土改革に積極的に取り組み、本部と支部のPTが連携して双方向での改革を行う。

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