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「2022年危機」
― まだ3年先?あと3年しかない? ― |
時は2019年4月。新年度最初の月であるが、平成最後の月でもある。もうすぐ皇位継承があり、改元が行われる。わが国にとって、大きな時代の移り変わりである。
ただし、新天皇が即位され、改元されたとしても、我々健保組合のなすべきことに変わりはない。職務に邁進し、健保組合を取り巻く厳しい現状を乗り越えていかねばならない。
健保連はこれまで、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年に向けて活動を展開してきた。しかし、団塊の世代が75歳に到達し始める2022年から医療・介護費が大きく膨らみ、その後、急速に深刻化することが明白だ。政府は、2019〜2021年度までの3年間において、全世代型社会保障改革を進める方針だが、迫る「2022年危機」を乗り切る改革が不可欠である。
健保連が試算した現行制度を維持した場合の「2022年危機」における状況は、保険料率が10%以上の組合は603組合(全体の43%)、平均保険料率は9.8%、健保組合全体の拠出金割合は49.6%となる。さらに、これらの数値は2025年度に向けて急激に悪化する。
こういった問題は、残念ながら健保組合関係者においても十分浸透しているとはいえない。2022年以降は拠出金負担が急増し、協会けんぽの保険料率の動向にもよるが、健保組合の解散が増えるリスクがある。健保組合としてこの状況を、国会議員やマスコミ、健保組合の事業主、加入者等にも正しく伝え、ひいては全国民に理解を求め、負担構造改革を進める機運を高めることが必要となる。
我々としては、健保組合の存在意義や主張の正しさを訴えるため、保険者機能の発揮に努め、これからの超高齢社会に貢献しなければならない。特に2022年から後期高齢者が急増し、現役世代が減少することが確実である。手をこまねいている時間はあまりない。
そのため、今年度から健保連が本格実施する組合運営サポート事業や、国の保険者機能強化支援事業を生かし、保険者機能の強化と健保組合の解散防止に尽力しなければならない。各健保組合においても、自組合の中期的な財政試算を立て、負担構造改革や保険者機能強化の必要性について、事業主はもとより、加入者への理解醸成を強化することが必要となってくるのではないか。
「2022年危機」に焦点を当て、来年度の「骨太方針2020」に我々の主張を確実に盛り込むため、健保連では、部門横断的なプロジェクトチームを設置し、対応策の検討と準備にあたるとしている。
昨年は大規模健保組合の解散報道など、健保組合が今まで以上に注目を浴びた。国会でも取り上げられ、我々の主張が広がりつつあった。しかし今は、政局の影響等もあり改革は先送りされ、ほとんど進んでいないのが現状だ。このままだと世間の注目度が再び低下し、我々の主張を世間にアピールしやすい環境が崩れてしまう。
2022年まであと3年。“まだ3年先”なのか、“あと3年しかない”のか。間違いなく、我々には悠長に構えている時間はないと考えるべきだ。 |
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(M・S) |
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